『独眼竜政宗』で伊達政宗の母、お東の方を演じた岩下志麻さん

I:「母の発言力」ということでいえば、大河ドラマ関連では、『独眼竜政宗』(1987年)では伊達政宗の母お東の方が政宗よりも弟の小次郎を寵愛し、そのために政宗は弟小次郎を毒殺するという事件もありましたね。

A:戦国時代はいろいろな家で家督争いがありましたが、弟を毒殺するのはショッキングでした。宮城県北部に追分温泉という一軒宿がありますが、そこから数キロの地に小次郎の墓があります。

I:『独眼竜政宗』でお東の方を演じていたのは岩下志麻さんですが、岩下さんは『独眼竜政宗』の13年後の『葵 徳川三代』(2000年)で、徳川秀忠正室のお江を演じています。

A:奇縁ですね。お江与の方は嫡男家光よりも弟の忠長を溺愛していたといわれます。将軍職を家光ではなく忠長にという事態もあったのですが、これは徳川家康が断固家光ということで、「母の発言力」は後退した形になりました。

I:岩下志麻さんといえば、1979年の『草燃える』では北条政子を演じていますよね。強い女性、聡明な女性を演じたら右に出る方はいないですね。『光る君へ』で詮子を演じている吉田羊さんもそうした系譜に連なる俳優ということになるのでしょうか。

A:そうですね。吉田羊さんの演技を見て、つい池禅尼、お東の方、お江まで連想してしまいました。

I:「母の発言力」だけでも時代によって変遷があるのですね。

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。

●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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