盃を離さなかった道隆が、水ばかり飲むように

I:ついこの前まで、常に盃を離さなかった道隆(演・井浦新)が、水ばかり求めるようになりました。

A:飲水病、現代でいう糖尿病といわれています。道隆の酒好きに関しては尋常な量ではなかったともいわれています。

I:清酒は戦国時代くらいからで、それ以前は糖分の多い濁り酒が主流だったので、上流階級には糖尿病になる人が多かったみたいですね。その道隆が、道兼に対して伊周(演・三浦翔平)の後事を恃みます。

A:500年以上後になりますが、豊臣秀吉が徳川家康らに秀頼のことを「お頼み申す」と懇請したのも同じような感覚でしょうか。自分の息子に地位を禅譲したいという親の思いは時空を超えて不変なんだなと思いましたが、道隆のケースはいかにも無理筋でした。

A:いかんせん伊周がまだ若過ぎました。それは歴代の摂政関白就任時の年齢をみれば歴然です。基経30代半ば(摂政)、忠平50代前半(摂政)、実頼60代半ば(関白)、伊尹(これまさ)40代半ば(摂政)、頼忠50代半ば(関白)、兼通40代半ば(関白)、兼家50代半ば(摂政)で、兼家没後に関白になった道隆の37歳でも若いくらいでした。

I:伊周はまだ20代前半。これでは貴族社会のコンセンサスを得るのは難しいですよね。

A:はい。しかも三男だった兼家が摂政関白になれたのは、長兄の伊尹が49歳、次兄兼通が53歳で亡くなったということで巡って来た地位です。そして兼家はすぐさま息子たちを矢継ぎ早に昇進させていきました。道隆も自らの病状悪化を受けて、伊周の立場を盤石のものにしたいと考えたのでしょう。

「内覧」の前例を探し出した定子。次ページに続きます

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