道綱のひとめぼれと人違い

「これ以上不幸な女子を作ってはいけない」と道綱らしい台詞で難を逃れようとする道綱(演・上地雄輔)。(C)NHK

I:道綱(演・上地雄輔)がまひろに一目ぼれしてしまったようですが、こともあろうに、まひろとさわを間違えて、さわのもとに忍び込んでしまいました。

A:間違えて忍ぶといえば、『源氏物語』の「帚木(ははきぎ)」帖に、光源氏が紀伊守邸に入り込み、空蝉(うつせみ)と軒端荻(のきばのおぎ)を誤認してしまう場面が描かれています。きっとこういう人違いはざらにあったのではないでしょうか。

I:日常的にこういう「間違い」があったのでしょうね。さて、そのようなこともありつつ、さわと京へ戻る途中に河原に多くの死体が転がっている場面が描かれました。『蜻蛉日記』にも「河原の死体」に言及する個所がありますから、それほど珍しい光景ではなかったのでしょう。

A:とはいえ、今回の光景は、疫病の流行が始まったということを表現しています。ある意味、歴史を大きく動かした疫病になります。次回、どのような展開になるのか注目ですね。

疫病の流行を目の当たりにするまひろたち。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。

●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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