「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努⼒をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると⾔われています。
「脳トレ漢字」第195回は、「弁える」をご紹介します。普段からよく目にする「弁」という漢字。動詞になると、少し読み方が難しくなりますね。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「弁える」とは何とよむ?
「弁える」の読み方をご存知でしょうか? 「べんえる」ではなく……
正解は……
「わきまえる」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「物事の違いを見分けること」「道理をよく知っていること」と説明されています。「弁え」は大変古い言葉で、平安時代には既に使われていたことが分かっています。当時使われていた、「道理を理解する」「心得る」という意味を持つ「弁ふ」が、現在の「弁え」の意味につながっているそうです。
「物事の善悪を弁える必要がある」「社会人として、TPOを弁えた服装をするべきだと思う」などのように使うことができます。
「弁える」の漢字の由来は?
「弁」という漢字の旧字は「辨(べん)」です。この字には、「裁判をすること」「物事を明らかにすること」「わきまえること」という意味が含まれています。そのため、旧字の「辨」の意味が転じて、「わきまえる」「分ける」という意味を持つ「弁」が誕生したと考えられます。
読めそうで読めない漢字
「弁える」は、「わきまえる」と読めることが分かりました。「弁える」のように、使われている漢字はシンプルでも、意外と読むのが難しい言葉はほかにもあります。例えば、「態と」という言葉です。「たいと」と読んでしまいそうですが、皆さまは正しく読めるでしょうか?
正解は、「わざと」です。「態と試合に負けた」「態とらしい言い方だった」などのように使うことができます。「態」という漢字には、意識して何かをすることという意味が含まれるそうです。そのため、このような表現がされるようになったと考えられます。
ほかには、「認める」が挙げられます。許可するという意味で「みとめる」と読めますが、書き記すという意味で「したためる」と読むこともできるのです。「認」という漢字には、「整理する」「記す」という意味が含まれるため、書き記すという意味の言葉に使われるようになったと考えられています。
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いかがでしたか? 今回の「弁える」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 読めそうで読めない漢字は、ほかにもたくさんあります。実際に調べていただくと、面白い発見ができるかもしれません。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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