皆さんは相続について考えたことはあるでしょうか? いざその時になるまで特に気にしていなかったり、生死が関わってくることなので家族間では話しづらかったりして、どのような資産があるか、どのように対処したら良いか? など、把握していない人も多いのではないでしょうか? 今回は相続手続きの中でも、不動産の「相続登記」の手続きの期限や費用について解説いたします。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
不動産相続の手続きに期限はある?
不動産の名義変更にかかる費用
手続き期限が過ぎたらどうなる?
まとめ
不動産相続の手続きに期限はある?
お亡くなりになった方が不動産(土地や建物)を所有していた場合、相続する人は「相続登記」を行ないます。「相続登記」とは、亡くなった親の名義の土地や建物を、相続する人の名義に変更することをいいます。
具体的には法務局に相続登記の申請をすることで、不動産の所有名義が、亡くなった方から相続する人に変わります。今までは相続登記の申請には期限がなく、相続登記されない土地や建物が数多く存在していますが、2024年4月1日から法改正により義務化されることとなり、期限も設けることとなりました。
相続登記がされないまま「所有者不明土地」となるケースが増えて、周辺の環境悪化や公共事業の阻害など社会問題になっていましたが、この問題を解決していくことを目的として「相続登記」を義務化し、期限を設けることしたのです。
参照:法務省ホームぺージ(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00435.html)
<相続登記の期限>
2024年4月1日からは、相続人(不動産を相続する人)が不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記することが法律上の義務となります。また、2024年4月1日以前に相続した不動産についても、相続登記がされていないものは義務化の対象になりますので注意が必要です。
ただし、3年間の猶予期間がありますので、2027年3月31日までに登記するようにしましょう。また、早めに遺産分割協議を行い、誰がどの不動産を相続するのかを話し合い決めることも重要です。
不動産の名義変更にかかる費用
不動産の相続登記(名義変更)の手続は、相続人の数や相続の仕方などさまざまな違いがあり、手続きの難しさも異なりますが、非常に手間がかかるケースもあります。手続には下記の書類が必要となります。
・登記事項証明書
・被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本や改製原戸籍も含む)
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
これらの書類を、法務局に提出して登記の申請をします。特に、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本の取得は難しいケースが多いので、自分で手続きをすることが大変な場合は司法書士に依頼すると良いでしょう。
<不動産の名義変更にかかる費用>
相続登記には次の費用がかかります。
・登録免許税
・各種証明書の発行手数料
・司法書士に依頼した場合の報酬
<登録免許税>
登録免許税とは、登記を申請するときに国に納める税金のことです。税額は土地や建物の固定資産税評価額に法律で定められた税率をかけて算出します。法定相続人が相続する場合の税率は0.4%で、次の計算式で算出します。
登録免許税=不動産の固定資産税評価額×税率0.4%
相続人以外が相続する場合(遺贈)は、税率は2%と高くなります。令和7年3月31日までは免税措置となるケースもありますので、法務局ホームページの「相続登記の登録免許税の免税措置について」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html)に、詳細が記載してありますので、参照してください。
<各種証明書の発行手数料>
各種証明書は例えば戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が1通450円、除籍謄本(除籍全部事項証明書)が1通750円など、取得する書類の種類や取得枚数によって変わってきます。
<司法書士に依頼した場合の報酬>
司法書士に依頼した場合の報酬は、依頼する司法書士によって異なります。また地域・相続人の数・不動産の個数などによっても異なります。目安としては、5万円~15万円程度をみておくと良いでしょう。
手続き期限が過ぎたらどうなる?
手続きの期限が過ぎた場合は、相続登記の義務化により過料が発生することになります。過料は10万円以下の範囲内で裁判所が決定します。
参照:法務省ホームページ(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html#mokuji3)
過料の他にも相続登記をしなかった場合のデメリットは、次のようなケースが考えられます。
不動産の売却ができない
現在の所有者の名義に変更しない限り、不動産を売却したり担保にしたりすることはできません。例えば、相続人の一人が認知症になった場合、有効な遺産分割協議を行うために後見人を選任するなど、すぐに相続登記ができず、希望者がいても売却できないといったことが考えられます。
相続登記が難しくなる
相続登記を放置し時間が経過することにより、相続人の気が変わったり、相続人の仲が悪くなったりして遺産分割協議が進まず、相続登記が難しくなるケースも考えられます。また、何らかの理由で相続人との連絡が困難になったりすることで、遺産分割の協議が難しくなる可能性もあります。
次の相続で問題になる
相続登記を放置している間に相続人が死亡してしまい、相続人の範囲が拡大していってしまうということも考えられます。遺産分割協議は相続人全員でしなければいけませんので、相続人の範囲が拡大していけばいくほど、話し合いが難しくなっていってしまいます。次の相続人が登記する場合は手順が複雑になります。
相続登記を放置すると、上記のようなデメリットがありますので、早めに遺産分割協議を行い、相続登記をしておくことをおすすめします。
まとめ
相続登記が義務化されたことにより今まで放置していた不動産も登記が必要となり、期限が設けられたことで、速やかに遺産分割協議を行い早めに相続登記することが求められることとなります。まずは相続される不動産について把握することが重要となっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
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