藤原実資の後添えは花山天皇の女御

I:ところで、劇中では、まひろの縁談に気を焼いていた藤原宣孝(演・佐々木蔵之介)が藤原実資(演・秋山竜次)との縁談を持ってきました。

A:「日記にお書きなされ」といいながら睦まじい夫婦だった桐子(演・中島亜梨沙)が亡くなったということでした。それにしてもびっくりな縁談です。

I:ちょうど実資が赤痢に罹患したタイミングでした。衝撃的だったのは実資が「鼻くそのような女との縁談ありき」と日記に書き留めたというくだりです。

A:これまで第5回で藤原道兼(演・玉置玲央)がまひろの母ちやは(演・国仲涼子)を殺害したことを「虫けらのひとりやふたり殺したとて」と断じ、第11回では藤原兼家が、父為時の官職を与えてほしいと懇願しに訪れたまひろのことを「虫けらが迷い込んだ」とうそぶきました。上級貴族にとって自分たちより下位にいる貴族など「虫けら」とか「鼻くそ」扱いだったということです。

I:中下級とはいえ貴族は貴族ですから、それでも虫けらや鼻くそ扱いとは、庶民のことはどのように考えていたのかを思うと戦慄ですね。

A:さて、実資ですが、新たな妻として、後に婉子女王を迎えることになります。花山天皇(演・本郷奏多)の女御を務めていた女性で、父は村上天皇の第4皇子の為平親王という毛並みの良さです。

I:この時代、意外にあちこち「移動」がありますよね。そんなことも今後描かれて来るのでしょうか。

「鼻くそみたいな女」との縁談話と一緒に送られてきた「透けておる」美人画にまんざらでもない様子の実資(演・秋山竜次)。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。

●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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