鳥居彦右衛門との別れ
I:そして、今週の見せ場が家康と鳥居彦右衛門(演・音尾琢真)との別れの場面。Aさんは早いうちからこの日を待ちわびていたようですが。
A:子供のころに見たTBSの『関ヶ原』(1981年)で森繫久彌(家康)さんと芦田伸介(鳥居彦右衛門)さんのシーンが強く心に刻まれていたせいです。家康と家臣団の絆をわりと丁寧に描いてきた本作では、きっと感動するシーンになるだろうと期待していました。
I:ふたりのやり取りが胸に響きました。期待通りの展開になったのではないですか。
A:じわじわと胸に迫る、何度見返しても感動する場面になったと思います。ただ、その一方で、この場面に千代(演・古川琴音)が必要だっただろうかと感じています。もともと武田の間者としての役割だったわけですから、やっぱりこの場面に登場するのは違和感あり、と指摘せざるを得ません。
I:そうですね。私は千代のくだりを出すなら彦右衛門の父・鳥居忠吉(演・イッセー尾形)を登場させて欲しかったですね。家康とその家臣団があるのはある意味、戦費を蓄財していた忠吉のおかげですからね。
A:回想が多いと指摘されてきた本作ですが、確かに鳥居忠吉は見たかったですね。
茶々の真意がわからない
I:さて、今週は三成と大谷刑部(演・忍成修吾)とのやり取りも印象深いものでした。
A:はい。そして、茶々(演・北川景子)の真意がいずくにあるのかわからない展開になりました。三成にも家康にも秋波を送る。得体のしれない雰囲気が漂っていました。
I:悪女茶々という感じですね。本作ではラスボスとして家康の前に君臨するようですが 、目が離せませんね。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。
●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり