金陀美具足着装で討たれたのは……!(C)NHK

ライターI(以下I):今週はアバンタイトルが入らず、いきなりオープニングのクレジットタイトルからスタートしました。

編集者A(以下A):主人公家康三大危機のひとつ三方ヶ原合戦ですからね。前週、金陀美具足を着用している武者が討ち取られて運ばれるというショッキングなシーンで終わっていました。「まさか家康が!」という場面でした。

I:冷静に考えれば家康が討ち取られることはないとわかっていても、手に汗握る展開になりました。予備知識のあまりない小学生などはドキドキしながら見ていたのではないでしょうか。「家康死す」の知らせがあっという間に信長(演・岡田准一)、藤吉郎(演・ムロツヨシ)のもとへも伝えられていたのも印象深かったです。

A:「小学生がドキドキ」という話が出ましたので脱線しますが、浜松から信長のもとへ派遣された使者は馬に乗っていたのか、走っていたのか。また当時の道路事情はどのような感じで、使者はどのくらいの時間をかけて信長のもとに到着したのか――。ドラマで描かれている背景に思いを馳せたら楽しいですし、そういうところから歴史を探求していきたいという人たちが増えてくれたら嬉しいですね。さて、京の足利義昭(演・古田新太)と明智光秀(演・酒向芳)にもこの報が伝えられ、バカ殿感丸出しの義昭が狂喜乱舞していました。そして金陀美具足の甲冑をかぶったままの首が実検のため信玄の目の前に捧げられます。

I:その首を見た信玄がニヤリとしたところで、〈時を半日ばかりさかのぼります〉と映像が実際に巻き戻されました。なんという斬新な演出!

A:前週の流れを見て、合戦シーンは本作で多用されている回想になるのではないかと予想はしていましたが、まさか映像を巻き戻すとは、これまでの大河ドラマでは見たこともない演出でした。賛否はあるでしょうが、こういうのもありだなと思って見ていました。

I:さて、三方ヶ原古戦場は浜松城からおよそ10km離れた浜松市北区一帯を指します。つい先日、家康役の松本潤さんと瀬名役の有村架純さんが三方ヶ原の戦いの激戦地犀ヶ崖(さいががけ)古戦場記念碑の鍬入れに参加していましたね。浜松は働き盛りの家康が17年間居城にしていた地。うなぎに餃子と食べ物も美味しいですし、大河ドラマ館もありますから、毎年大河ドラマゆかりの地を旅行先に選ぶ人にはお勧めかもしれないですね。

A:浜松城は日本城郭協会認定の「日本百名城」のひとつですからね。すでに何度か攻略済みですが、再度攻略しに行かねばなりませんね(笑)。

夏目広次の「身代わり死」はどう描かれたのか

最大のピンチで苦しい選択を余儀なくされた家康(演・松本潤)。(C)NHK

I:さて、今週のメインは夏目広次(演・甲本雅裕)が金陀美具足を着用して家康になりすまし、身代わりになって討ち死にした場面でした。

A:本作では第1回から家康が夏目広次の名前を間違えることが幾度も描かれました。伏線なんだろうなと思って見ていましたが、その謎が今回明かされることになりました。

I:身代わりになって討ち死にする夏目広次のシーンは家康の人生の中でも「聞くも涙、語るも涙」の感動エピソードのひとつです。これまで伝承されてきたのは、浜松城の留守居役として城内の櫓から戦況を見守っていた夏目広次が、徳川軍の戦況不利を見て、戦場の家康のもとに駆けつけて浜松城に引き返すよう〈身命を軽んずるは匹夫の事なり。進退ともに身を全うし、後日の勝利を謀りたまうこと、大将の任ならずや。命を捨てたまうことなかれ〉と諫言したという話です。

A:それでも引き返そうとしない家康の馬を浜松城に向けて馬の尻を叩いたというんですよね。そして、夏目広次は、自らを家康であると名乗り、十文字の槍を手に敵兵を数名討ち取って、最後は大勢の敵に囲まれて討ち死にしたというものです。

I:大筋、定説通りの描かれ方だったわけですね。

A:そして、本作では、幼かった松平竹千代とよく遊んでいたのが夏目広次だったという設定でした。松平竹千代時代の家康が、織田方に襲われて人質になる場面で夏目広次が警護役で、竹千代強奪という失態を犯した際に松平広忠(演・飯田基祐)から、「名を変えたらいいのでは」と夏目吉信から広次に変えたというストーリーでした。

I:広忠の「広」の字を授かったということなのでしょうか?

A:ああ、そういえば、広忠の偏諱なのですかね……。それはともかく三河一向一揆では、一揆勢に加わって、家康を裏切ったにもかかわらず許された場面も挿入されるなど、全編お涙頂戴の感動場面になりました。

I:私は甲本さんの好演に涙が出てきました。ただ、家康が広次の名前を間違えていた場面がすべて回想されましたが、これは少し尺をとりすぎかなとも感じました。この部分がなくても十分感動したかなぁ。

A:感じ方は人それぞれかと思います。家康は、子供の頃に一番遊んでくれた家臣を忘れていたのか、と思った人もいたかもしれませんが 、そうしたことを忘れてしまうくらい家康の少年時代は緊張の日々だったというふうに解釈しました。

「信玄の病」が歴史を変えた!。次ページに続きます

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