万感の思いで家康とのやり取りを見る。日本史上屈指の巨星墜つ！ 豊臣秀吉の死はどう描かれたのか？【どうする家康 満喫リポート】39

ライターＩ（以下Ｉ）： お拾、後の豊臣秀頼が誕生した時、秀吉（演・ムロツヨシ）は56歳。

編集者Ａ（以下Ａ）：徳川家康（演・松本潤）が、後に徳川御三家を形成する九男義直（尾張）、十男の頼宣（紀伊）、十一男頼房（水戸）をもうけたのは56歳以降ですから、側室の相手が出来るか否かは健康のバロメーター的側面もあったのはないでしょうか。

Ｉ：秀吉の場合は、このお拾の誕生で、晩節を汚した感がありますが、その最たるのが甥で関白職を継がせていた秀次を自害に追い込み 、その妻妾子供たちを根絶やしにするという凄惨な事件を引き起こしたことですね。

Ａ: 本作では秀次の妻妾を根絶やしにする場面は登場しませんでしたが、戦国屈指の悲劇が展開されました。1987年の大河ドラマ『独眼竜政宗』で坂上香織さんが演じた駒姫の悲劇を想起される方も多いのではないでしょうか。

Ｉ：山形の太守最上義光の娘で東北一の美女と噂された姫ですね。諸説ありますがその噂を聞きつけた豊臣秀次が側室にと所望し、山形から秀次のもとにわたって、まだ正式に側室になっていないにもかかわらず処刑されたという姫。私は駒姫の悲劇のことを思い出すと自然に目が潤んでしまいます。

Ａ：周囲が必死になって懇願したため、秀吉も翻意して駒姫の助命を命じました。しかし、「駒姫助命」を処刑現場に伝える使者が到着した時は、すでに駒姫の処刑は済んでいたという物語ですね。駒姫の悲劇や、真相いまだ闇の中の「千利休切腹」など、「秀吉の理不尽」が描かれていたら、今週の副題「太閤、くたばる」を首肯する人も増えたかなと思います。

Ｉ：ネットでも物議を醸していましたね。秀吉に失礼ではないかって。

最後のえびすくい

Ｉ：さて、何も言わずに退場したかと思われていた酒井左衛門尉（督）忠次（演・大森南朋）が登場しました。家康最側近のひとりですから、そんな扱いになるはずがないと思っていたところで登場してくれました。

Ａ：酒井忠次は、本多平八郎（演・山田裕貴）や井伊直政（演・板垣李光人）などとは親子ほども年が離れています。妻の登与（演・猫背椿）は、家康の叔母（祖父松平清康の娘）ですから縁戚関係もあるという重鎮です。『どうする家康』では、節目節目にえびすくいの舞を披露して、家臣団を鼓舞していたのが印象的です。

Ｉ：酒井忠次のえびすくいは、どのような節回しでどんな舞だったかは伝わっていませんが、織田信長も所望したという筋金入りの演目。10月８日にインターネットでライブ配信された「どうする家康 名場面総選挙」では、第26回で家康が舞った「えびすくい」が視聴者投票でトップになっていました。

Ａ：今週は、徳川秀忠（演・森崎ウィン）が登場して、江（演・マイコ）との縁組のことを伝えました。秀忠が関心を寄せていたえびすくいですが、実は、酒井家の庄内藩にはどんな踊りだったのかが伝承されていません。一代限りの宴会芸というのは面白いですね。

Ｉ：忠次を演じた大森南朋さんは山形県鶴岡市でトークショーをされたそうです。その時に訪れたのが致道博物館。

Ｉ：雰囲気のいい品格のある博物館ですよね。庄内藩酒井家当主は今も鶴岡市内にお住まいということで、全国的にも珍しい都市。さて、最後のえびすくいと忠次の臨終。いい場面になりましたね。

Ａ：また涙でも出ましたか？

Ｉ：……。

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