カメラを通して風景や人物の写真を撮っていると、やがて「より芸術的な一枚を撮ってみたい」との欲求が湧いてくるもの。たとえば雨の日ならではのモチーフとして「水滴」があるが、しかし、知識がなければ、芸術的な写真を撮ることは難しい。

そこで今回は、ニコンカレッジ講師を務めている写真家・柿本完二氏の作例を参考に、「水滴を使ったアートな写真の撮り方」を紹介したい。

では早速、こちらの一枚を見ていただきたい。

メイン画像

水滴の向こうに見える黄色、青、赤の物体。その正体は懐かしのビー玉である。水滴の向こうに見える爽やかな3色は、まるで水中から彩りの泡がプチプチと音を立てながら湧き上がってくるような楽しさと、涼しげな彩りを表現している。

水滴を付着させている機材は特別なもの使用しているわけではなく、100円ショップなどで売られているようなプラスティックのCDケース。これに霧吹きなどを使い水滴を作り出しているのだ。

撮り方レシピ

撮影方法は真横から撮るのではなく真上から。使用しているのは手持ち撮影に有用な60mmの小型で軽量なマイクロレンズ。DXフォーマットのカメラにFXフォーマットのマイクロレンズをつけたことで焦点距離が90mmとなり、より水滴部分がクローズアップされアーティスティックな作品となった。

使用レンズ

気になるレンズとCDケースの距離は20cm程度。ビー玉とCDケースとの距離次第で、ビー玉の写り方が変化するので、距離を変えて撮り比べてみるのも楽しいだろう。

続いては18-55mmレンズを最短撮影距離で使用して撮影した一枚。やはりここでもCDケースが活躍し、ピントは水滴に合わせている。こだわりのポイントは雨上がりの港の雰囲気を表現するため、船の形がわかるように絞りをf/32まで絞り込んでいるところだ。

バリエーション1

水滴と海は相性がよく、他にも波飛沫を連想させる写真が撮れそう。各々で「これは!」というシチュエーションを見つけて欲しい。

そして最後の一枚がこちら。

バリエーション2

こちらはCDケースではなく、透明なビニール傘を使用して撮影した一枚。そのビニール傘に色とりどりな落葉を集めて張りつければ準備はOK。背景の階段が分かる程度の絞り値で撮ったことで社寺の雰囲気も醸し出され、雨粒も良いアクセントになった。

一般的に雨模様だと撮影の楽しさが半減するところだが、一工夫加えることによって楽しい一枚を撮影することも可能なのだと先生の写真が改めて教えてくれてた。

以上3写真の使用レンズなどは、以前も紹介した、ニコン公式ホームページ内にある『Enjoy ニコン 好きな写真の撮り方レシピ「水滴で楽しむアート写真」』にて掲載されている。

芸術的な写真の撮り方に興味がある人は、今回紹介した水滴を使った写真に挑戦してみてはいかがだろうか。用意するのはCDケースと霧吹き。水滴フィルターを通して様々な対象を撮影してみると、思いもよらぬ芸術的な一枚が撮れてしまうかもしれませぬぞ。

作例撮影/柿本 完二(かきもと かんじ)
自然が創りだした草花の造形美に魅せられて、『色』と『形』を中心に創作活動を続けている。近年は、宅地開発などで日々変わり行く地元の『里山』風景の記録を続けている。「草花」「里山」をテーマにニコンサロンbisで5回の写真展を開催。大阪市出身。(社)日本写真家協会(JPS)会員。現ニコンカレッジ講師担当。

【参考リンク】
Enjoy ニコン 好きな写真の撮り方レシピ「水滴で楽しむアート写真」
ニコンカレッジ

取材・文/田中十兄

 

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