真っ白に染まった雪景色を前にすると、純白の世界に想像力を掻き立てられ、カメラに収めておきたいと考える写真愛好家は少なくないだろう。
しかし目の前の幻想的な風景を美しく切り取ろうとしても、これがなかなか難しい。雪景色を「銀世界」と呼ぶこともあるが、そのまま写真を撮ろうとすると、雪というものは“灰色っぽく”写ってしまうからだ。
そこで、以前も「撮影者の腕が問われる!難しい被写体「秋の空」を上手に撮影するコツ」で参考にさせて頂いたニコンカレッジ講師・芳賀健二氏の作例を元に雪景色の撮り方を紹介していこう。
まずは芳賀氏のこちらの写真を見ていただきたい。
まさに雪中で寒さに耐えながら春を待つ樹木の力強さを感じる一枚と言える。そんな一枚がどのような設定で撮影されたのか、3つのポイントを下記にまとめてみたので参考にしてほしい。
■1:露出にプラス補正をかける
雪模様ということは太陽が出ていない状態。そんな状態で普通に撮影しようすると雪は灰色に写ってしまう。そこで「真っ白な雪を撮影したい場合は露出はプラスにして撮影する」ことが基本となる。ちなみに今回の露出は+1.3とのこと。
■2:シャッタースピードを速くして「一瞬」を切り取る
今回は三脚などを使わずに手持ちでの撮影。読者の多くも雪景色を撮る際には手持ち撮影になることだろう。そんな時には「シャッタースピードを速くする」のが良い。同時に手ブレにも注意すれば、舞い降る六花の一瞬をも捉えることが可能となるだろう。
■3:対象のバランスにも注意する
他の撮影時にも同じことが言えるが、特に雪景色はともすれば真っ白で平凡な一枚になってしまいがち。そこでこの芳賀氏の写真だ。手前の木々と右奥上の木々のバランスに注意して見事に雪山での一瞬を切り取っている。雪景色の中に何を写したいかを明確にし、バランスを考えてシャッターを切る。これが満足のいく一枚を撮影するコツと言えそうだ。
芳賀氏が撮影した、その他の雪景色写真もご覧いただこう。
以上、ご覧にいれたこれらの写真は、ニコン公式ホームページ内にある『Enjoy ニコン 好きな写真の撮り方レシピ「冬の寒さのなか、雪景色を撮る」』にて掲載されている。
寒い思いをして撮影する雪景色。その労力に見合った一枚を撮るためにも、上記のポイントをしっかりと頭に入れて撮影に挑んで欲しい。
作例撮影/芳賀健二(はが けんじ)
四季折々の自然風景を追いかけて光、風、そして空気を意識しながら作品作りをしている。 また被写体を見つける楽しみと、出会いの新鮮さを求めての、街スナップにも力を入れている。今までに4冊の写真集とニコンサロンなどで12回の写真展を開催。福島県出身。現ニコンカレッジ講師担当。日本写真作家協会(JPA)会員。
【参考リンク】
※ Enjoy ニコン 好きな写真の撮り方レシピ「冬の寒さのなか、雪景色を撮る」
http://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/recipe/recipe20.html
※ Enjoy ニコン 好きな写真の撮り方レシピ
http://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/recipe/
※ ニコンカレッジ
http://www.nikon-image.com/nikoncollege/
取材・文/田中十兄