甲斐の武田信玄(演・阿部寛)、まさかの団子盃か!?(C)NHK

編集者A(以下A):今週から武田信玄(演・阿部寛)と家康(演・松本潤)が本格的に絡み始めました! 甲斐武田、駿河今川、相模北条の間の軍事同盟についておさらいしましょう。この三国同盟は、天文23年(1554)に今川義元の軍師・太原雪斎の仲介で実現したといわれています。『北条記』などの軍記ものには、現在の静岡県富士市にあった善徳寺に信玄、北条氏康、今川義元が一堂に会したと記されている同盟です。

ライターI(以下I):とはいうものの、実際には信玄、氏康、義元が揃ったというのはフィクションだといわれているんですよね。Aさんが12年前に編集した『信長全史』の受け売りですが……(笑)。

A:はい。この三国の軍事同盟は、「今川義元の娘が信玄の子義信に」「北条氏康の娘が義元の子氏真に」「武田信玄の娘が氏康の子氏政に」といった具合に、政略結婚を主軸にした同盟です。三家それぞれにメリットのあった同盟ですが、今川家のメリットをざっくりいうと、武田、北条との同盟で相模、甲斐から侵攻される心配がなくなったことでしょうか。

I:今川義元からすれば、この同盟のおかげで後顧の憂いなく尾張に進軍できたということになりますね。その結果、新進気鋭の武将織田信長に討たれてしまったというのは、歴史の強烈な皮肉です。ということで、今週は、信長に鷹狩に呼ばれた家康が、わざわざ今川義元から拝領した金陀美具足を着用して行きましたが、肩透かしにあった上に、信玄を説得せよと、またも無茶ぶりされてしまいました。このふたりの関係性、相変わらず面白いです。

A:信玄と家康が実際に会うシーンというのはなんだかわくわくしますね。本作では、三河と信州の国境という設定でした。これは時代考証の先生方の絶妙なお仕事の結果なんだと思います。こういう絶妙な、リアルっぽく感じるフィクションはいいですね。

I:時代考証担当の平山優さんが、日刊大衆のインタビュー記事で、「この時期のここでなら」ということで設定されたと語っていました。かつて2004年の『新選組!』では江戸で坂本龍馬(演・江口洋介)と近藤勇(演・香取慎吾)が会っていたということもありました。

A:ありました、ありました。そんなことあるわけない、と批判する人もいましたが、「おお、こう来たか」と思った記憶があります。こういうわくわくする絶妙な設定は大歓迎です。歴代大河ドラマには架空の人物2名を主人公にした『獅子の時代』(1980年)などがあります。主人公が架空なわけですから細かいことをいえばすべてがフィクションということになりますが、実際にはかなり骨太なドラマでしたし、大河ドラマは壮大なるエンターテインメントなのですから。

I:違和感なき演出があれば、それもまたよしということですよね。

A:劇中では、信玄がお茶を用意したり、家康に団子を頬張らせたり、熱心におもてなしをしているふうでした。一瞬「団子盃か!」とも思いました(笑)。

I:また、盃とか言いだす……。信玄が大半を一口で食べてしまっていたじゃないですか。さて、信玄は駿河を攻めて家康と分け合おうということでした。信玄と家康の格の話題を家臣団らがしていましたが、鎌倉以来の名門武田家と徳川家では格の差は歴然。

A:その格の差を「松潤家康」が絶妙に表現しているんですよね。

I:あ、それ私も思いました。表情やしぐさが上手かったなあって。

A:さて、ここで押さえておきたいのは、今川義元の娘、つまり氏真の妹が信玄の嫡男義信に嫁いでいるということです。武田義信にとって、今川義元は義父であり、氏真は義兄弟。そのため本編では触れられていませんが、駿河を攻めるか否かということで、武田家内部では、信玄と義信の対立に発展していました。

I:氏真(演・溝端淳平)も正室で北条氏康の娘である糸(演・志田未来)と仲睦まじい関係でしたからね。政略結婚といっても人間同士。そこから育まれる愛があったということですよね。

A:はい。家康と信玄の密会の背景に、妻の実家の今川家に配慮しようとする武田義信がいたということにも思いを馳せていただきたいです。

松平から徳川へ

久々の登場となった登譽上人(演・里見浩太朗)。(C)NHK

I:さて、今週は里見浩太朗さん演じる登譽上人が再登場して、家康が源氏の末裔であるという系図を探し出すシーンが登場しました。

A:登譽上人はもう登場しないと思っていただけに、粋な計らいでした。ほんとうはもっともっと重要な場面で出て欲しかったのですけど……。

I:得川→徳川の系図をつくることも重要といえば重要じゃないですか。それをあのような形でストレートに表現する是非は敢えて問いませんが、系図には僭称が多いということを伝えたかったのですかね。

A:いや、この場面は妙にリアルでしたね。系図なんて、適当に貼り合わせて、作っちゃえ! どうせわかんないよ! という場面でした。

I:ほんとうにあんな感じだったのかもしれないですね。

これが300貫!(C)NHK

裏テーマは「家康の女たち」だったのか! 次ページに続きます

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