歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして……。うっかり漢字の読み方なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の方は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳をとってきちゃって、なかなか思い出せなくて……」なんて言い訳をするようでは、サライ世代の沽券に関わる?
そんなことにならないように、動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。
「脳トレ漢字」第128回は、「御利益」をご紹介します。寺社仏閣やパワースポットなどに関わる、あの言葉です。
この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「御利益」はなんと読む?
「御利益」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「ごりえき」と読んでしまいそうですが……
正解は……
「ごりやく」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「神仏が人間に与えるお恵み、幸運」と説明されています。例えば「観音さまの御利益」のように、神様が人間に与える恩恵のことです。そこから派生して「金銭、物質がもたらす幸運」を意味するようになりました。また「物事に精進することによって得られる成功や利益」を指すこともあります。
「御利益」の漢字の由来とは?
「御利益」を構成する漢字を見ていきましょう。「御」は尊敬の意を表す接頭語であり「利益」は「神仏から授かる恵み」を指します。
「利益」の「益」の字は、“水”を横にした形と“皿”を合わせた会意文字です。この皿の上に水をいっぱいにした形で「ます」「ゆたか」という意味を表しています。「益」の音読みは「えき」が一般的です。「やく」という読みは、呉音(ごおん)(=古代中国の呉越地方の発音が日本語化したもの)で、「利益」の他にも「益体(やくたい)無し」などに使われます。ちなみに「益体無し」とは「役に立たないこと、しまりのないこと」という意味です。
また「益」の訓読みは「ます、ますます」です。「増す」と同義であり、程度が一層はなはだしくなる様を表します。
「りやく」と「りえき」の違いとは?
「利益」には、「りえき」と「りやく」の2つの読み方があります。
古くは「りやく」が普通だったとされますが、中世には「りえき」という読み方が現れました。近代に入り「りえき」の使用が多くなるにつれ、経済的な意味は「りえき」に吸収されました。そのため、現在では「りえき」と読む場合、宗教的な意味合いを離れ、経済的意味を持っているとされます。
一方「りやく」と読む場合には「神仏から授かる恵み」の意味に。この意味で「利益(りやく)」を用いる言葉は「御利益(ごりやく)」という語形でしか使用されなくなりました。
こういった経緯があるため、神社やお守りなどの「御利益」は「ごりやく」と読むのが適切とされるのです。
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いかがでしたか? 今回の「御利益」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 年末年始はお参りや縁起物など、何かと神様の「御利益」にお世話になる時期です。この機会に、読み方も一緒におさらいしておきましょう。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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