会席料理に合わせるシャンパン３選【和食にはシャンパン】

フランス料理の食前酒という印象が強いシャンパン。じつは和食全般に合う食中酒でもある。鮨、天ぷらからおせち料理まで、和食に合うシャンパンで新年を祝いたい。

瓶内発酵で泡を生み出す酒ゆえ醬油や味噌などの発酵食品と合う

お造り

京都・室町の呉服街に、昭和10年に開業した『京料理 木乃婦（きのぶ）』。和食の基本に則つつも革新を繰り返し、時代に沿う京料理を供してきた。

３代目の高橋拓児さん（54歳）は、和食のユネスコ無形文化遺産登録にも貢献した京料理界の旗手で、テレビの料理番組でも活躍する。シニアソムリエの資格も持ち、ワインと合わせる会席コースを生み出すといった、京料理の新たな楽しみ方を提案している。

シャンパンの個性が相性の要「シャンパンは、瓶内で発酵させ泡を生み出すお酒です。おのずと、醤油や味噌など和食に用いる発酵食品との相性は良い。ただし、造り手やヴィンテージ（収穫年）によっても個性は様々です。本来ならば、和食のコースでも、料理の味わいに合わせてシャンパンを選び、引き立てあう風味を楽しむのが最良です」

例えば、ポン酢で味わうクエの造りや、炙って醤油をからめた雲丹には、ピノ・ノワール100%のやや厚みのあるシャンパンが合う。華やかな香りやミネラル感が酸味に添うからだ。

栗の渋皮煮とマスカットの白和えには、湿っぽい香りのするシャンパンを。白味噌や隠し味に加えたオリーブオイルがマスカルポーネチーズのような風味を醸し、少し甘みのあるブラン・ド・ブラン（シャルドネ100%）でよりふくよかになる。

白和え

「どんなシャンパンが合うかはご相談ください。その日の料理や会席の流れも考え、最適な１本をお薦めします」と高橋さん。

緩急ある会席料理なら、最初にふたりでボトルを注文し、先付やお造り、お椀までをシャンパンで味わうのがいい。細やかな泡がゆっくりと胃を動かし、最後の料理まで美味しく味わえる。

高橋さんが、自宅で和食と合わせるコツを教えてくれた。

「ミネラル感のあるシャンパンには酸味、ポン酢で食べる河豚鍋など。ふくよかな味わいのシャンパンなら、帆立のバター醤油炒めなど、濃厚な脂と発酵感のある料理がいいでしょう」

自宅の食卓でも、ぜひシャンパンを１本開けて楽しみたい。

鍋物

京料理 木乃婦

京都市下京区岩戸山町416
電話：075・352・0001
営業時間：12時～15時（最終注文13時30分）、18時～21時30分（最終注文19時30分）　
定休日：不定
昼6600円～、夜１万7600円～、ワイン献立２万8600円～（いずれもサービス料別）。

取材・文／中井シノブ　撮影／竹中稔彦
※この記事は『サライ』2023年1月号より転載しました。