最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。

動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。

「脳トレ漢字」第127回は、「天晴れ」をご紹介します。「天が晴れる」と書きますが、実は天気のことではありません。

脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。

「天晴れ」はなんと読む?

「天晴れ」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「てんせい」や「あまばれ」と読んでしまいそうですが……

正解は……
「あっぱれ」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「驚くほどりっぱであるさま、みごとなさま」を表す形容動詞と説明されています。また「すばらしい」「みごと」のように「褒めたたえる気持ちを表す時に発する」感動詞でもあります。例えば、物事を成し遂げた人に「天晴れ、よくやった」と声をかけることも。賞賛に限らず、感嘆、悲哀、決意など強い感動も表わします。

ちなみに「あっぱれ」は「天晴れ」以外にも、漢字一字で「遖」とも表記されます。

「天晴れ」の漢字の由来とは?

「天晴れ」を構成する漢字を見ていきましょう。「天晴れ」は「天(あま)」「晴れ(はれ)」が組み合わさり、促音化(「っ」になること)した語です。しかし「あっぱれ」という語そのものの由来は漢字にはなく、これらは当て字とされます。

では「あっぱれ」の語源は何かというと、古語「あはれ」と考えられています。「あはれ」とは「感動を覚えて自然に発する叫びから生まれた語」と定義され、しみじみとした情趣・感情を表わすという広い意味を持っていました。それに対して「あっぱれ」は賞賛する気持を表わすという点で「あはれ」とは別の語として意識されるようになったのです。のち「あはれ」は悲哀の意味に限定されたため、ますます両者の意味の差が大きくなったとされます。

「あっぱれ」の語源「あはれ」とは?

「あっぱれ」の語源である「あはれ」は、有名な古語の一つです。「感動」の中でも特に、しみじみと心に深く感じる情緒や美を表します。同時代で似た意味をもつ語が「をかし」です。ただ「をかし」は、好奇心や関心を喚起される感情を指す点が「あはれ」と異なります。

感動したものを感情的・情緒的に褒める「あはれ」と、感動したものを知的に眺め考える「をかし」。同じ「感動」でも対照的だといわれます。

***

いかがでしたか? 今回の「天晴れ」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 当て字でも語源を一緒に知れば、理解が深まります。感動したときには、この漢字も思い浮かべてみてはいかがでしょうか。

来週もお楽しみに。

文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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