朝、草花を見ると露がついている、そんな光景が見られる頃合いとなりました。日中の暑さも和らぎはじめ、だんだんと秋の気配が深まっていきます。秋の七草が咲き始め、植物を通しても秋の風情を感じられるものです。しかし、こうした自然の変化も、意識しなければつい見逃してしまいそうになります。

古来より日本人は一年を七十二の“候”に区分して、季節のうつろいを楽しんできました。季節の変化を感じづらくなった今だからこそ、旧暦の二十四節気を軸にして季節を愛でる機会を持つことで、「季節感」の衰えを防げるのではないでしょうか?

さて今回は、旧暦の第15番目の節気「白露」(はくろ)について下鴨神社京都学問所研究員である新木直安氏に紐解いていただきました。

目次
白露とは?
白露の行事や過ごし方とは?
白露の季節の花とは
白露に旬を迎える食べ物
まとめ

白露とは?

「白露(はくろ)」とは、9月前半から9月後半にあたる二十四節気の一つです。「露が降り、白く輝くように見える頃」という意味を持ち、秋を6つに分けたうちの3番目の節気にあたります。

二十四節気は毎年日付が異なりますが、白露は例年9月8日〜9月22日になります。2022年の白露は、9月8日(木)です。また期間としては、次の二十四節気の「秋分」を迎える、9月23日頃までが該当します。2022年は9月8日(木)〜9月23日(金)が白露の期間です。

「露」とは、夜の気温がぐっと下がって冷やされた空気中の水蒸気が、水滴となって葉や草花についたものです。その露が、光の反射で白く輝くように見えることから「白露」の名前がついたとされます。残暑が続く日中と気温が下がる朝晩の気温差から、朝露が降り始めるのです。朝、草花の上に降りた露を見かけ、空を見上げると秋の雲が広がる、そんなふとした出来事が秋の深まりを感じさせてくれます。

ただ、秋と「白」とは少し結び付きづらいかもしれません。一般的には、雪の降る冬の方が白を彷彿とさせます。しかしこれは、二十四節気が中国から伝わったものであることが関係しているのです。中国の陰陽五行では、方角にいる神様に応じて色や季節を当てはめて考えており、秋の色は「白」とされています。ちなみに春は青、夏は朱、冬は黒となるそうです。

白露の行事や過ごし方とは?

白露の頃に楽しまれる行事は、お月見です。よく耳にする「十五夜(じゅうごや)」とは満月のことであり、空気が澄んでいる秋の時期は満月が最も美しく見えます。2022年の満月は、9月10日(土)です。「中秋の名月」に月見団子やすすきを供えて、豊作に感謝することが、お月見の意味合いです。

お供え物の定番である月見団子の意味は諸説ありますが、丸い形が満月を連想し、月に収穫の感謝を表していると言われています。そしてすすきは、稲穂と似ているものとしてお供えし、豊作を祈る意味があるとされています。

京都の下鴨神社では、平安時代以来の歴史を持つ、「名月管絃祭」が執り行われます(一般公開されたのは昭和38年から)。ススキの穂を飾り、かがり火がたかれた舞台では、壮重な雅楽にのって舞楽が演じられます。斎庭(ゆにわ)に設けられた観月茶席で名月を楽しむ日です。

また、9月の第3月曜日には「敬老の日」を迎えます。敬老の日は、長寿を祝う国民の祝日。以前は毎年9月15日に固定されていましたが、平成15年(2003)以降は9月の第3月曜日とする規定に変わりました。2022年の敬老の日は、9月19日(月・祝)です。

敬老の日の由来は諸説ありますが、昭和22年(1947)9月15日に兵庫県のある村で「敬老会」を開催したのが始まりであるとされています。この会の活動の輪が広がりを見せ、発足から約20年後には、現在のように国民の祝日となったのでした。

白露に旬を迎える食べ物

白露の時期に旬を迎える野菜・果物、魚、京菓子をご紹介します。

京菓子

着せ綿

日本では奈良時代より、「五節句」を宮中の行事として執り行うようになりました。人日(じんじつ、1月1日)、上巳(じょうし、3月3日)、端午(たんご、5月5日)、七夕(しちせき、7月7日)、重陽(ちょうよう、9月9日)のことを五節句といいます。五節句の由来は、中国の唐時代の暦法で定められた季節の節目のこと。奇数の重なる日(旧暦)に、季節の植物を用いて邪気を祓う習わしが伝わってきました。今でも年中行事として定着しており、京菓子にも反映されています。

白露の時期には、重陽の節句(9月9日)があります。下鴨神社に神饌などを納める「宝泉堂」の社長・古田泰久氏に、この時期に楽しめる京菓子についてお話をお聞きしました。

「端午の節句に比べ、重陽の節句はあまり馴染みがないかもしれませんね。かつては菊の節句とも呼ばれ、宮中では観菊の宴などが催されておりました。数字の並びが他の節句に比べて大きいこともあって、大変おめでたい日とされています。

重陽の節句の時期にご提供する菓子に『着せ綿』がございます。この『着せ綿』という生菓子は菊の花に綿を載せて露を集め、その綿で身を拭うと長寿になるという故事にちなんだものでございます。

『着せ綿』は、白餡を「こなし」で包み、ヘラで菊の形に整えたものです。「こなし」とは、餡(あん)に粉をそのまま入れて混ぜ、蒸し上げた生地を使った菓子になります。上部に綿を模したきんとんを載せて仕上げます。

高貴な方や位の高い方に献上する御前菓子としても、用いられたと伝わっております。まだ菊の季節までには間がありますが、季節の先取りに召し上がってみてはいかがでしょうか」と古田氏。

社長の古田泰久氏。「茶寮宝泉」入り口にて。

野菜・果物

白露に旬を迎える野菜は、茄子(なす)です。晩夏でもあり初秋でもある9月に収穫される茄子は「秋茄子」と呼ばれます。実も締まり、種が少なく、美味しいのが特徴。また、秋茄子といえば「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざが有名です。解釈は様々ですが、いずれも秋茄子が美味しいことを表していると言われています。

他には、里芋も旬です。先述した十五夜は、別名「芋名月」とも言われています。この頃は里芋の収穫時期でもあるのです。一説には、日本人と里芋の関係は稲より古くからの付き合いだともいわれています。

また、旬を迎える果物としては、梨が挙げられます。しゃきしゃきとした歯ざわりは、日本の和梨ならではの食感です。8割が水分でできているため、ビタミン類は多くはありませんが、疲労回復効果があります。梨に含まれるアミノ酸が体内の疲れを取ってくれるのです。夏の暑さで疲れた体にぴったりの果物でしょう。

白露の頃に旬を迎える魚は、太刀魚です。鱗がなく、ピカピカした光沢が特徴的な太刀魚は、夏から秋にかけて産卵期を迎えます。「たちうお」という名は、姿かたちが「太刀」に似ていることからその名前がついたとも、狩りの際に立って泳ぐ様子を指して「立ち魚」としたともいわれています。クセが少なくどんな料理にも合わせやすい白身魚ですので、召し上がる際にはシンプルな塩焼きに加え、ソテーやムニエル、または竜田揚げなどにするのもおすすめです。

白露の季節の花とは

白露、つまり毎年9月8日〜9月22日頃は、だんだんと秋の気配が深まっていく頃合いです。ここからは、そんな白露の訪れを感じさせてくれる植物をいくつかご紹介しましょう。

白露は、秋の風情を感じさせる「秋の七草」が咲き始める季節になります。その内の一つが、お月見には欠かせない、すすきです。すすきの花穂はふわふわしており、種子に生えている白い毛のため、全体的に白く見えます。花期は7~8月ですが花を観賞するのではなく、秋に花穂を眺めることがほとんどです。

また、秋桜(コスモス)も見頃を迎えます。「秋の桜」と書くコスモスは、花弁が桜に似ていることから名付けられました。ピンクや白に加えて、濃赤、黄やオレンジ色などカラフルな花々が見る人の目を楽しませてくれます。爽やかな秋空の下、可憐に揺れるコスモスの姿に、つい惹きつけられてしまうのではないでしょうか。

まとめ

朝晩に空気が冷やされ、草木に露が光る「白露」。朝の光にきらきらと輝く露の美しさが、その名前からも伝わってきます。秋晴れ、中秋の名月、秋の七草、秋茄子など、秋を冠するものに触れ、季節の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。

監修/新木直安(下鴨神社京都学問所研究員) HP:https://www.shimogamo-jinja.or.jp
協力/宝泉堂 古田三哉子 HP:https://housendo.com
インスタグラム:https://instagram.com/housendo.kyoto
構成/トヨダリコ(京都メディアライン)HP:https://kyotomedialine.com Facebook

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