肩甲骨は、背中側の両肩に甲羅のようにのった三角形の大きな骨。
長時間のパソコン作業やスマホ使用によって、肩甲骨を支える筋肉がガチガチに固まってしまうことで、肩甲骨の柔軟な動きが妨げられ、肩コリが起こります。肩コリは放っておくと、つらい症状となり、さらには、頭痛やめまい、腰痛、吐き気などを併発することもあります。
そこで、理学療法学の第一人者、藤縄 理先生の著書『肩甲骨はがし すべての体操の動画が見られるQRコードつき』(宝島社)から、「肩甲骨はがし」をご紹介します。
監修/藤縄 理
肩甲骨に心地いいストレッチと体操
慢性的な肩コリを抱えている人は、マッサージや鍼灸などですでにケアを行っているという人も多いかもしれません。しかし、根本的な問題を解決しない限り、マッサージ通いは永遠に続くことになるでしょう。
肩コリと永久に決別したいなら、正しい姿勢を維持し、肩甲骨まわりの筋肉を自分で動かすことが 一番です。
本来の肩甲骨はがしは、猫背の治療のために理学療法的に行う手技です。肋骨にへばりついた肩甲骨を文字通り、バリッとはがすのですが、整形外科や接骨院などでプロの力を借りなければ行えません。
しかし、本誌で紹介するトレーニングは、ストレッチと体操を組み合わせた、毎日5分あればできる運動によるセルフケアです。
肩甲骨の可動域を広げ肩コリや首コリを解消
肩甲骨まわりの筋肉をストレッチや体操で動かすことで、 ガチガチに固まった筋肉を徐々にほぐして、肩甲骨の可動域を広げ、肩コリや首コリを解消します。
息が上がるようなハードなものではなく、コリがじんわりほぐれて心地がいいので、肩コリの解消だけでなく、毎日のストレス解消にも適しています。 肩コリの解消方法は、姿勢の改善と肩甲骨まわりの筋肉の運動が二本柱になります。
症状が出たあとも予防として続けよう
肩甲骨はがしを続けると、正しい姿勢が身につき、ガチガチに固まった肩甲骨まわりのこわばりが徐々にほぐれていきます。 肩甲骨の可動域は広がり、腕の動きもスムーズになり、首や肩のコリが改善。症状が軽快したあとも、肩甲骨はがしを続けることで予防もできます。
接骨院や鍼灸、マッサージなどに定期的に通っていたものの、すぐに症状がぶり返していたという人にとっては、時間と治療代の節約にもなるでしょう。しかも、QRコードで見られる動画つきなので、正しい動きを確認しながらトレーニングが可能です。コリは日常的に起こるものです。自宅で簡単にセルフケアができたほうが断然にいいと思います。
エクササイズとしての効果にも注目
そのほかにも、上のような健康を維持するためのたくさんの効果が期待できます。さらに、女性にとって見逃せないのは、エクササイズとしての効果です。 肩甲骨はがし自体は、筋肉がムキムキになるようなハードなトレーニングではありません。
しかし、何セットも続けることで軽い筋肉トレーニングのような効果があるものがあります。 体を動かすことで滞っていた血流が改善すれば、全身の代謝も活性化します。老廃物の排出もうながされ、コリ固まって落ちにくくなった脂肪も燃焼しやすくなるでしょう。
最初は肩コリのために始めたのに、気づいたら今まで悩んでいた体型の悩みまで改善していた! という、うれしい驚きがあるかもしれません。
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『肩甲骨はがし すべての体操の動画が見られるQRコードつき』 監修 藤縄 理
宝島社
QRコードによる『肩甲骨はがし7日間チャレンジ体操』動画付き。スマホさえあればどこでも気軽にトレーニングできます。誌面と動画を見ることで動きがよりわかりやすくなります。
藤縄 理(ふじなわ・おさむ)
福井医療大学保健医療学部教授。1976年、武蔵工業大学(現・東京都市大学)卒業。1980年に国立犀潟療養所附属リハビリテーション学院理療法学科を卒業し、理学療法士免許を取得。アメリカ・ペンシルバニア州ピッツバーグ大学大学院修士課程(スポーツ理学療法・整形理学療法専攻)修了、新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻博士課程修了。博士(医学)。理学療法学の第一人者。著書に『徒手的理学療法 Matual Physical Therapy』(三輪書店)、『運動・からだ図解 筋と骨格の触診術の基本』(マイナビ出版)、監修書に『姿勢と体格の科学』(新星出版社)、『みるみるすっきり体型に! 肩甲骨はがし』『ガチガチ体が一気にほぐれる! 肩甲骨はがし&骨盤ほぐし』『がんこなコリが一気に消える! 肩甲骨はがし 新装版』(すべて宝島社)などがある。