ワンコに与える食事量・水分量を知っておこう【一汁一菜 長生き犬ごはん】２

できれば旬の食材を使った栄養豊富なごはんを食べたほうが健康にいいのは、ワンコも同じ。しかし、ワンコのごはん作りは大変だと感じる方が多いのではないでしょうか？　
獣医師が考案した「長生き一汁一菜」は、スーパーで売っている食材で人間のごはんを作る際に、ワンコ用に料理を取り分け、調味料を入れなければ良いだけなので、普段の食事作りのついでに出来てしまいます。
家族の一員であるワンコの健康のために、「一汁一菜」を始めてみませんか？

文／林 美彩　　監修／古山範子

「一汁一菜」ワンコに与える分量を知ろう

毎日カロリーを計算するのはなかなか困難です。 そのため、愛犬の体重によってメインとなるたんぱく質(肉または魚)を決めましょう。炭水化物は少なめに。

基本の分量

上記のバランスやレシピのグラム数は、あくまでも「目安」です。犬によって胃の許容量や消化能力、運動レベルな どで食事のバランスや食べる量が変わります。料理を与える場合、まずは目安量の６〜７割程度から始めて、体調や体重、血液検査の変化などを見ながら、 徐々に量を増減してください。逆に運動量の多い成犬は、全体を1.2倍にし てもOK。ドライフードやウェットフードと併用する場合には、減らした分の半分くらいの量をトッピングしてあげ てください、トータルでバランスが取れていればOKです！

ワンコは水分も大事

犬は体重の約70%（子犬は約80%も！）が 水分でできています。ですので、体内の水分を失うと体の働きに支障が生じ、最悪の場合、死に至ることもあります。 実際には普段食べているフードの水分量 や季節、年齢によっても左右されます。 水分の役割はいろいろありますが、夏場や暑い時には水を飲んで血液を循環させたり、おしっこをすることで体温調節を行っています。また、それ以外にも体の成長や維持に必要なホルモン、酵素、酸素、電解質などを全身に運んだり、毒となる老廃物を尿として体外に排泄するためにも必要なのです。

ワンコの 適正体型を知っておこう

ワンコは同じ犬種でも骨格差があるので、個々によって適正体重はバラバラ。そこでワンコの体を見たり触ったりして、その体型を5段階で評価する方法をBCS（ボディコンディション スコア）といいます。ポイントは、肋骨と腰です。犬種や体格によって若干の違いはあります が、５段階評価の場合「スコア３」の理想的な体型を目指してコントロールしましょう。

肥満の子はここに気をつけましょう

運動不足とカロリーの摂りすぎが大きな原因。 食事は適正量でも、家にいることが多くなれば おやつを与えすぎて、その結果、食べすぎなどに なる場合もあります。シニアになると、 あまり運動ができなくなるため太ることも。 また代謝の低下も要因になりますので、代謝を促す食事を与えましょう。

太れない子はここに気をつけましょう

肋骨、腰椎、骨盤が上や横から容易に見えたり、 腰のくびれと腹部のつり上がりが顕著な子は太れないタイプの子です。年齢・体重に応じた量を与えて いても、運動量の多い場合は、消費カロリーが摂取カロリーを 上回ってしまうことで太れない場合もありますが、 脂肪や筋肉量の減少や食欲や吸収能力の低下によることもあります。「元気がない」「食欲がない」など思い当たることがあるとしたら、病院などで原因を突き止めて早めの対処を。

＊　＊　＊

『一汁一菜長生き犬ごはん』 林 美彩 著　古山範子 監修
（世界文化社）

著者　林 美彩（はやし・みさえ） 獣医師
毎日の食べるもので体は作られているという両親の教えのもと、学生時代に飼っていた愛犬を迎えたことをきっかけに、手作り食を学ぶ。大学卒業後は、西洋医学・代替療法の両方の動物病院の勤務、サプリメント会社での相談対応に従事。西洋医学と代替療法の良いところを融合させた治療、病気にならない体作り、家庭でできるケアを広めるため、2018年3月に「chicoどうぶつ診療所」を開院。現在、全国より数々の相談を受けている。獣医保健ソーシャルワーク協会所属。

監修　古山範子（ふるやま・のりこ） 獣医師
麻生大学獣医学科卒業。愛猫4匹と暮らし、手作り食を中心に愛猫の養生法を提案する、犬猫養生Harmonyを主催。中山動物病院非常勤講師。日本獣医ホメオパシー学会認定獣医師。日本ペット栄養学会会員。国際薬膳師。獣医保険ソーシャルワーク協会所属。