肩甲骨は、背中側の両肩に甲羅のようにのった三角形の大きな骨。長時間のパソコン作業やスマホ使用によって、肩甲骨を支える筋肉がガチガチに固まってしまうことで、肩甲骨の柔軟な動きが妨げられ、肩コリが起こります。肩コリは放っておくと、つらい症状となり、さらには、頭痛やめまい、腰痛、吐き気などを併発することもあります。
そこで、理学療法学の第一人者、藤縄 理先生の著書『肩甲骨はがし すべての体操の動画が見られるQRコードつき』(宝島社)から、肩コリが起こるメカニズムをご紹介します。
監修/藤縄 理
疲労物質「乳酸」による 悪循環のスパイラル
何をしてもよくならないしつこい肩コリや首コリ。 悪化や慢性化を防ぐには、まず原因を知ることが重要です。肩甲骨まわりをガチガチにし、肩や首の痛みを引き起こすメカニズムを解説します。
肩や首、背中のコリは一度発生すると、なかなか改善しません。つらいコリがいつまでも治らない元凶は、日常的な姿勢の悪さや運動不足、心身のストレスなど複数あります。
これらに共通するのは、肩甲骨まわりの筋肉が柔軟性を失ってしまったことです。動きも悪くなり、常に緊張状態であるため、 筋肉にこわばりが起こり、血管を圧迫。血流が悪くなり、筋肉は酸素不足に陥り、乳酸などの疲労物質が蓄積されます。
乳酸は、 筋肉が収縮するエネルギーとしてブドウ糖が分解される過程でできる物質です。筋肉に柔軟性があり、適度に運動をする習慣があれば、乳酸が生成されても最終的には分解され、エネルギー源になります。
しかし、筋肉がこわばり、酸素不足になりやすい状態では、筋肉内に乳酸が蓄積して筋肉をさらに硬くしてしまいます。すると血液循環はますます悪くなる……という悪循環のスパイラルが生まれ、コリが慢性化してしまうのです。 また、乳酸が筋肉に増えて、筋肉が緊張したままだと、肩や首筋の神経を刺激し、コリの痛みも強くなります。
体型の悩みの原因もガチガチ肩甲骨が原因かも⁉︎
慢性化したコリを放置することは、美容においてもマイナスしかありません。 硬くなった筋肉が原因で血流やリンパの流れが悪くなると、 取り入れたエネルギーや栄養素を体内で消費する代謝のシステムが低下して、太りやすい、老廃物がうまく排出されないということも起こります。
姿勢の悪さが原因でコリが慢性化しているのであれば、上の右のイラストのような体型の悩みがすでに現れているのではないでしょうか。ガチガチ肩甲骨を解消し、コリをほぐすだけで、 体型の悩みも解消できるかもしれません。
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『肩甲骨はがし すべての体操の動画が見られるQRコードつき』 監修 藤縄 理
宝島社
QRコードによる『肩甲骨はがし7日間チャレンジ体操』動画付き。スマホさえあればどこでも気軽にトレーニングできます。動画を見ることで動きがよりわかりやすくなります。
藤縄 理(ふじなわ・おさむ)
福井医療大学保健医療学部教授。1976年、武蔵工業大学(現・東京都市大学)卒業。1980年に国立犀潟療養所附属リハビリテーション学院理療法学科を卒業し、理学療法士免許を取得。アメリカ・ペンシルバニア州ピッツバーグ大学大学院修士課程(スポーツ理学療法・整形理学療法専攻)修了、新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻博士課程修了。博士(医学)。理学療法学の第一人者。著書に『徒手的理学療法 Matual Physical Therapy』(三輪書店)、『運動・からだ図解 筋と骨格の触診術の基本』(マイナビ出版)、監修書に『姿勢と体格の科学』(新星出版社)、『みるみるすっきり体型に! 肩甲骨はがし』『ガチガチ体が一気にほぐれる! 肩甲骨はがし&骨盤ほぐし』『がんこなコリが一気に消える! 肩甲骨はがし 新装版』(すべて宝島社)などがある。