「あれ? なんて漢字だったけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第72回目は、「独擅場」をご紹介します。正しいと思っていたあの読み方は、実は誤用かもしれません。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「独擅場」はなんと読む?
「独擅場」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「どくだんじょう」と読んでしまいそうですが……
正解は……
「どくせんじょう」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「その人だけが思うままに振る舞うことができる場所・場面、ひとり舞台」と説明されています。「独擅場(どくせんじょう)」と「独壇場(どくだんじょう)」は、同じ意味でも漢字と読みが異なる言葉です。「独擅場」の「擅」が「壇」と誤読され、「独壇場」という言葉が定着・慣用化したと考えられています。
本来「独壇場」という言葉は誤りであるものの、現在では一般化し、テレビ放送でも「独壇場」が使用されています。
「独擅場」の漢字の由来とは?
「独擅場」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「独」は「ひとり」を、「擅」は「自分の思う通りにすること」を、「場」は「場所」をそれぞれ意味しています。
「擅」は「ほしいままにする、自分勝手」を意味し、「せん」という音を持ちますが、「だん」と読むことはありません。「壇(だん)」と形が似ているため間違えやすいですが、「独擅場」とあれば「どくせんじょう」が正しい読み方になります。
「独壇場」が一般化したのはなぜ?
では、なぜ誤用である「独壇場」が広まったのでしょうか? 理由の一つに「擅(せん)」よりも「壇(たん)」の方が「教壇」「仏壇」「演壇」などの言葉でよく知られていたことが挙げられます。
また、「壇」は「一段と高くつくった所、式場に用いる高い所」などの意味を持った漢字です。そのため比喩的な意味での「独り舞台」と、「独擅場」が持っている「一人の人間がやりたいようにできる場所」という意味とが結びつき、この誤用が広く浸透したのではないかとも考えられています。
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いかがでしたか? 今回の「独擅場」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか?「独擅場」と「独壇場」、同じ意味でよく似ていてもそれぞれ読み方は違います。漢字の由来と結び付けて覚えていきましょう。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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