字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか心配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?
サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を見ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第56回目は、「目深」をご紹介します。帽子などをかぶる際に、よく使われる言葉です。
また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
■「目深」はなんと読む?
「目深」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「めぶか」と読んでしまいがちですが……
正解は……
「まぶか」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「目が隠れるほど、帽子などを深くかぶるさま」と説明されています。「帽子を目深に被る」や「傘を目深にかざす」などの用例が一般的です。何かしらで目を隠すということは、恥ずかしさや人に顔を指されたくない、といった感情の現れでもあります。
ちなみに「目深」以外にも、「目」を「ま」と読む言葉として「目の当たり(まのあたり)」「目蓋(まぶた)」などがあります。
■「目深」の漢字の由来とは?
続いて「目深」の漢字に注目していきましょう。「目深」は文字通り、「“目”が隠れるように、(帽子を)“深”くかぶる」ことから「目深」です。ここで「目」を「ま」と読むのは、「転音」と呼ばれる日本語の変音現象に分類されます。
「転音」とは、前の語の最後の母音が変わることを意味します。「目深」の場合は、「目(me)」が「目(ma)」というように母音が変化していると言えます。
■「目深にかぶる」の関連語|「阿弥陀にかぶる」の意味とは?
帽子などの被り方として「目深」をご紹介しましたが、皆さんは「阿弥陀(あみだ)にかぶる」の意味をご存知でしょうか?
「阿弥陀にかぶる」とは、「(帽子などを)後頭部にずらしてかぶること」を言います。その昔、笠を頭の後ろにずらして被った様子が、正面から見ると阿弥陀如来の背後の光に見える事から、この被り方を「阿弥陀かぶり」と呼ぶようになったと言われています。
「目深に」かぶれば帽子は前方に、「阿弥陀に」かぶれば帽子は後方に傾く… 日本語の表現の豊かさを感じさせてくれます。
***
いかがでしたか? 今回の「目深」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 見慣れた漢字でも組み合わせによって、読み方が変わってくるのが日本語の難しい所であり、深みでもありますね。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com
Facebook:https://www.facebook.com/kyotomedialine/