正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識“は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれませんね。
「脳トレ漢字」第33回目は、「杮落」をご紹介します。「杮落とし公演」という形で、ニュースや新聞などで目にしたことがあるかもしれません。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
■「杮落」はなんと読む?
「杮落」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「かきおとし」と読んでしまいそうですが……
正解は……
「こけらおとし」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「新築または改築した劇場の初興行。また、開場行事」と説明されています。本来は劇場の初興行を指す言葉ですが、転じて運動施設など劇場以外の場所の開場行事に使われることもあります。「杮落とし」「杮落し」と、送り仮名が続く場合もありますが、読み方はいずれも同じです。
■「杮落」の漢字の由来とは?
「杮落」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「柿」は「木材の削りくず、削りくず」のことを指します。建築工事では、最後に屋根に残った削り屑を払い「落」としてきれいにするため、「杮落」というのが「新しい劇場の初公演」を意味する言葉になりました。
なお、近年「こけら」に「柿(カキ)」という漢字が使われていますが、本来「柿(カキ)」と「杮(コケラ)」は別の字です。違いは漢字の右部分で、「柿(カキ)」は「市=なべぶた+巾」ですが、「杮(コケラ)」は、縦棒が突き抜けて1本になっています。
見た目が似ているので、混同されることが多く、読み間違えられることも多いのでしょう。
■他にもあった難読の劇場用語 「緞帳」は何と読む?
「杮落」は日常会話の中ではあまり使われない劇場の用語でした。そんな「杮落」と同様に、読みづらい劇場用語は多数存在します。その中の一つ「緞帳」をご紹介します。この漢字の読み方に心当たりはありますか?
正解は……
「どんちょう」です。
「緞帳」とは、劇場の舞台と観客席とを仕切る垂れ幕のことです。「緞」は厚くてつやのある上等の絹織物を指しています。
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いかがでしたか? 今回の「杮落」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「杮」と「柿」との区別に注意して覚えたい言葉ですね。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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