文豪、皇室、著名人に愛された登録有形文化財の宿５選

長い歴史が息づく老舗旅館では、日本の和とその美しさを今に伝えてくれます。その中には、国の「登録有形文化財」に指定されている旅館も。歴史と伝統を感じさせてくれる旅館に泊まり、ゆっくりとした時間の流れる旅へと出かけませんか？ 文化財として登録された貴重な旅館を全国から５つ厳選してご紹介します。

快適で贅沢な時間を過ごせるホテルや旅館を厳選して取り扱う宿泊サイト「⼀休.com」に 掲載されているホテルの中から、⼤⼈の贅を知り尽くしたサライ.jp 読者におすすめしたい 「文豪、皇室、著名人に愛された登録有形文化財の宿」を厳選しました。文豪、皇室、政治家など多くの著名人に愛された登録有形文化財のある宿で、特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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数寄屋造をはじめとした日本家屋は、今では職人の匠の技を目の当たりにできる貴重な場所となっています。明治時代頃から守り続けられた建造物には、近代建築のホテル等では体験できない趣があります。今回は全国各地から５つの旅館をセレクトしました。

■1：おちあいろう

静岡県の伊豆・修善寺の雄大な山々の中に佇む、登録文化財の温泉宿「おちあいろう」。明治7年からの歴史を今に継承しています。2本の川が「落ち合う」畔に位置することから、「おちあい（落合）ろう」と名付けられました。

「おちあいろう」の前身は145年の歴史を紡いだ「落合楼村上」です。令和元年の秋、株式会社Plan・Do・See Incの監修の下、デザインを一新しリニューアルオープン。伝統的な日本建築にモダンさが調和し、風情ある空間へと進化しました。

▷登録有形文化財の建造物

「おちあいろう」は明治７年創業当時の最高峰の匠の技によって作り上げられたお宿。まるごと国の文化財として登録されています。天城山の緑に囲まれた3500坪の敷地に、部屋数はわずか14部屋。いずれの部屋も庭に面しており、それぞれ異なった趣向を凝らした造りになっています。

また、ご主人による、登録有形文化財をめぐる「館内ツアー」も実施されています。単に宿泊するだけではなく、教養が深められる点も魅力です。明治時代から続く歴史的エピソードとともに、職人の卓越した伝統技術による建築美を堪能できます。

▷この宿ならではの魅⼒

「おちあいろう」は、名だたる文人墨客に愛された旅館でもあります。明治時代には田山花袋、島崎藤村。大正時代には川端康成、梶井基次郎。昭和初期には若山牧水、北原白秋など多くの文豪たちが、この場所で物書きに耽けていました。

歴代の文豪の蔵書を陳列した読書室も設けられています。作者が愛した旅館で作品を楽しむ、そんな贅沢な時間を過ごせるのも魅力の一つです。

問い合わせ先
IN 15:00～18:00
OUT 11:00
室数 全16室
ペット 不可
お子様 可
設備・特徴 無料送迎, 温泉, 源泉かけ流し, 露天風呂, 露天風呂付客室あり, 大浴場, 貸切風呂, エステ施設
TEL／0558-85-0014
住所／〒410-3206 静岡県 伊豆市湯ヶ島1887-1

おすすめのプランは、「【オールインクルーシブ】基本客室プラン」2名で136,400円～。

■2：信州湯田中温泉　よろづや

長野県北部の人気温泉地「湯田中（ゆだなか）温泉」。古くは、松代藩の真田一族や、小林一茶も愛した湯です。中でも江戸時代の寛政年間に創業した老舗旅館「よろづや」は、200年以上の歴史を誇る“湯田中温泉の顔”と言われています。

▷登録有形文化財の建造物

「信州湯田中温泉　よろづや」にある国登録有形文化財の「松籟荘（しょうらいそう）」と「桃山風呂」は、贅沢な非日常感を味わえる空間です。

「桃山風呂」は純木造伽藍建築で、日本の大浴場ベスト10にも選出された名物風呂。広々とした湯殿、クラシックな落ち着きと豪華さを漂わせる趣となっています。

現在では入手困難な銘木を使用して建てられた「松籟荘」は、地元の腕利き棟梁の手により完成した木造数寄屋造となっています。クラシカルな館内にはアンティークや調度品などがさりげなく飾られ、心和む空間を演出しています。

▷この宿ならではの魅⼒

本館へ入ると、レトロモダンな雰囲気のロビーが広がります。コンクリート打ち放しの土台に木を組み合わせてあり、クラシック調と近代調が融合したレトロモダンな雰囲気です。ロビーラウンジにはオルゴールの穏やかな音色が響きます。

問い合わせ先
IN 15:00～18:30
OUT 11:00
室数 全38室
ペット 不可
お子様 可
設備・特徴 無料送迎, 温泉, 露天風呂, 露天風呂付客室あり, 大浴場, 貸切風呂
TEL／0269-33-2111
住所／〒381-0401 長野県 下高井郡山ノ内町平穏3137

おすすめのプランは、「【露天風呂付純和室】菊　松籟荘3階（74平米）」2名で83,600円～。

■3：下呂温泉 湯之島館

「日本三名泉」の一つである岐阜県の下呂温泉。なかでも昭和6年に創業した「下呂温泉　湯之島館」は、下呂温泉のシンボルとして愛されてきた温泉宿になります。５万坪を越す敷地に建てられた数奇屋造りの構えからは、昭和初期のロマンを感じさせられます。

下呂富士と呼ばれる中根山の中腹に位置するため、日常とはかけはなれた自然と静寂に包まれています。建築物はなるべく樹を切らず、木々を縫うように建てられました。景観・自然・館が三位一体となった空間を楽しめます。

▷登録有形文化財の建造物

「下呂温泉　湯之島館」では、創業昭和６年当時の玄関、渡り廊下、木造三階建て本館が、登録有形文化財に指定されております。宿泊客を出迎える玄関は、重層する屋根伏せと黒漆喰塗の外壁が重厚な雰囲気を醸し出します。本館の部屋は、目に見えぬ細部にいたるまで技術にこだわり建てられたもので、簡素でありながら品位がある造りになっています。

▷この宿ならではの魅⼒

日本三名泉の一つである下呂温泉。室町時代の詩僧・万里集九が「草津、有馬、湯島（下呂）が日本の三名泉である」と書き記した当時は、まだ「下呂」ではなく「湯島」と言われていました。「湯之島館」は、現在も地名として残るその「湯之島」の名を冠しています。こうした名前からも歴史の深さが伝わってきます。

問い合わせ先
IN 15:00～19:00
OUT 11:00
室数 全67室
ペット 不可
お子様 可
設備・特徴 無料送迎, 温泉, 源泉かけ流し, 露天風呂, 露天風呂付客室あり, 大浴場, 貸切風呂
TEL／0576-25-4126
住所／〒509-2207 岐阜県 下呂市湯之島645

おすすめのプランは、「本館 露天風呂付き　特別室「山楽荘」」2名で92,400円～。

■4：料亭旅館　八ツ三館

「料亭旅館　八ツ三館」は、岐阜県の飛騨古川の地で160年余の間続く料理旅館です。創業以来、多くの客人の疲れを癒し、美味しい食事でもてなしてきました。明治時代には製糸工場の宿として多くの女工たちが宿泊した、という歴史も持ちます。小説『あゝ野麦峠』にも紹介されており、同映画の撮影もこの旅館で行われました。

▷登録有形文化財の建造物

「料亭旅館　八ツ三館」では、商家造本館「招月楼」、100畳の大広間を設けた正面玄関の「大広間棟」、観光スポットにもなっている瀬戸川沿いの白壁「土蔵」の3棟が、国の登録有形文化財として登録されています。

建物は、明治38年に建築にされた「招月楼」と、昭和初期に建築された「光月楼」、お茶室と個室食事処がある「観月楼」の3館で構成され、明治・大正・昭和と時の流れを感じることができます。

▷この宿ならではの魅⼒

料亭旅館で味わう特別な食事が魅力です。夕食では、飛騨牛をはじめとした、飛騨の旬や高級食材を使った四季を感じる地産の食材を楽しめます。朝食では、飛騨の在郷料理を堪能。飛騨で昔から食されている朴葉みそをはじめ、こも豆腐やぎせい焼き、ころいもなど田舎料理をいただけます。

また、食事とともに「利き酒セット」も楽しめます。町の造り酒屋から選りすぐりの美酒二種ずつと当日最もおすすめのお酒、計五種の飲み比べが可能です。地酒をその地で楽しむ贅沢は、お酒好きの方に是非おすすめです。

問い合わせ先
IN 15:00～18:00
OUT 10:00
室数 全21室
ペット 不可
車５分の距離に提携ペットホテルあり
お子様 可
設備・特徴 無料送迎, 温泉, 露天風呂, 露天風呂付客室あり, 大浴場, 貸切風呂, エステ施設
TEL／0577-73-2121 （090-5872-1415）
住所／〒509-4241 岐阜県 飛騨市古川町向町1丁目8番27号

おすすめのプランは、「国登録有形文化財【招月楼】和室（8帖＋4.5帖）禁煙室」2名で47,080円～。

■5：オーベルジュ豊岡1925

兵庫県の銀行として利用された建物をリノベートしたのがこの「オーベルジュ豊岡1925」です。地元の食材を使用した本格フレンチを、昭和初期の近代建築のしつらえを残すノスタルジックな空間で愉しめるブティックホテルになります。

フランス語で「宿泊できるホテル」を意味する「オーベルジュ」。美食を堪能した後は、近代建築の粋を凝らしたホテルでゆっくりとした時間を過ごせます。６室という限られた客室数で、一人ひとりに合わせた上質なサービスが宿泊客を待っています。

▷登録有形文化財の建造物

「オーベルジュ豊岡1925」の「1925」という数字は、豊岡に壊滅的な被害をもたらした「北但大震災」が発生した1925年を指します。その震災復興建築として建てられた「兵庫縣農工銀行豊岡支店」が、このホテルとしてリノベーションされました。現在は、近代化遺産として、登録有形文化財に指定されています。

銀行の窓口があった吹き抜けが開放的なエントランス、金庫室や応接室など、かつての面影を色濃く残しながらホテルへと変身。昭和の名建築と言われたルネサンス様式のレトロクラシックな建物です。

▷この宿ならではの魅⼒

ホテル1Fには大きな円形のショーケースが配置され、全国から取り寄せられたお菓子がずらっと並んでいます。豊岡にはお菓子の神様を祀る神社があり、その歴史を表現したものです。

ショーケースの中央には、“かばんのまち”豊岡をイメージしたオブジェも。オブジェの最上部に配置された時計の針は、1925年の北但大震災が発生した11時11分を指し示しており、豊岡の復興と現代への出発を象徴しています。豊岡の地と一体となったホテルの歴史がうかがえます。

問い合わせ先
IN 15:00～20:00
OUT 12:00
室数 全6室
ペット 不可
お子様 可
設備・特徴 無料送迎
TEL／0120-210-289
住所／〒668-0033 兵庫県 豊岡市中央町11-22

おすすめのプランは、「【記念日】レトロクラシックな文化財で過ごす上質な1日＜シェフ特製ケーキ・乾杯酒付＞」2名で55,660円～。

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ただ「古くから残る物」が文化財に登録されるわけではありません。保存に努めた人々の思いや刻まれた歴史、時代に合わせた変化などが、文化となってその建造物に息づいています。伝統と歴史ある場所でしか生み出せない空気感は、なかなか味わえるものではありません。ゆったりと流れる時間を求めて、お好みのホテルを訪れてはいかがでしょうか？

※本記事で紹介したプランの価格はすべて税込です。
※本記事は2021年１月23日（土）時点での情報をもとに作成しています。提供されるサービスの内容は随時、変更になる場合があるため、各プランの詳細をご確認のうえお申し込みください。

情報・写真提供／一休.com

文／豊田莉子(京都メディアライン)
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