近年はリビングの大型化に伴い、空調4要素(温度、湿度、気流、清浄度)のコントロールによるリビング空間の快適性に対する意識が高まりつつあります。しかし寝室の空調については、暑さ寒さをしのげる“必要最低限”のものでいいと考える人もいて、その優先順位は低くなりがちです。一方で睡眠はというと「睡眠負債」(睡眠不足が蓄積した状態)という言葉が話題になるほど、睡眠と私たちの生活の質(QOL)との密接な関係性について、今改めて注目が集まっています。
ダイキン工業株式会社が首都圏在住の男女400人を対象に、「冬の睡眠時における空気の困りごとと寝室環境調査」を行いました。加えて、睡眠について詳しい杏林大学名誉教授 古賀良彦先生に聞いた、冬の睡眠の重要性と快適な睡眠のための寝室環境の整え方をご紹介します。

■冬の睡眠に“満足していない”人は約半数(4割以上)存在

冬の睡眠に対する満足度を聞いたところ「満足している」(「満足している」「どちらかというと満足している」)と答えなかった「満足していない人」(「満足していない」「あまり満足していない」「どちらでもない」)の割合は、男性で44.5%、女性で43.0%となりました。男女ともに半数近く、4割以上もの人が冬の睡眠に満足していないようです。

■冬の睡眠時の二大困りごとは「乾燥」と「寒さ」

睡眠に対する満足度が低い理由を探るために、冬の睡眠時に困っていることについて聞いたところ、男性で最も多かったのは「のどの乾燥」(56.0%)で、「肌の乾燥」(38.5%)、「空気の乾燥」(33.0%)が続きます。女性で最も多かったのは男性同様「のどの乾燥」(61.5%)でしたが、続いて「手足が冷える」が「肌の乾燥」とともに同率(48.0%)で挙げられています。「乾燥」と「寒さ」は冬の睡眠時の二大困りごとといえそうです。

■冬の睡眠時にエアコン暖房を使っている人は約5割(48.0%)に及ぶ

冬の寝室の空気環境は実際にはどうなっているのでしょうか。冬の睡眠時にエアコン暖房を使用しているか聞いたところ、約5割(48.0%)の人が睡眠時にエアコン暖房を使用していると回答しています。また、朝までつけっぱなしという人も12.5%おり、冬の睡眠時にエアコン暖房を使用することは、もはや珍しいことではなさそうです。

■冬の睡眠時にエアコン暖房を使うことで気になるのは「電気代」と「空気の乾燥」

ただし、冬の睡眠時にエアコン暖房を使うことに対しては気になることもあるようです。冬の睡眠時にエアコンを使うことについて気になることを聞いたところ、男女ともに最も多かったのは「電気代がかかる」で、以下「空気が乾燥する」、「喉が乾燥する」が続きます。なお「その他」を除くすべての項目で、女性の方が冬の睡眠時のエアコン使用について気になる人が多くなっています。

■杏林大学名誉教授 古賀良彦先生に聞く 冬の睡眠の重要性と快適な睡眠のための寝室環境の整え方

杏林大学 名誉教授 古賀良彦 先生
1946年東京都世田谷区に生まれる。1971年慶応義塾大学医学部卒業。1976年杏林大学医学部精神神経科学教室に入室。1990年助教授、1999年主任教授、2016年名誉教授となり現在に至る。日本催眠学会名誉理事長、日本ブレインヘルス協会理事長、日本薬物脳波学会副理事長、日本臨床神経生理学会名誉会員などを務める。

Q:睡眠にとって、冬はどのような季節といえるのでしょうか?

冬は睡眠にとって難しい季節

冬は日照時間が短く、夜が長くなるため、眠りの質が高くなると思われるかもしれませんが、実は睡眠にとっては厳しい季節です。というのも、良い睡眠には日中に身体や脳をしっかり使っておく必要がありますが、寒い冬は日中の身体活動量が少なくなります。身体活動量が少なくなることで、人とのコミュニケーションが減り、結果的に脳の活動量も低下します。つまり冬は、良い睡眠をとるための条件が整いにくい、睡眠にとってはとても難しい季節なのです。

もっと積極的に冬の睡眠環境について考えるべき

睡眠環境という点から見ても同様です。一般に寝室環境は室温20℃前後、湿度40~60%、寝具内温度30℃前後に保つことが推奨されています。しかし冬の寝室温度は何もしなければ10℃前後で、湿度も低く、寝具内温度も整うことはありません。調査結果を見ても、冬の睡眠に”満足していない”人が4割以上もいることの背景には、冬に特有の睡眠環境の問題があるためと考えられます。睡眠は一年365日、毎日必要不可欠なものです。私たちはもっと積極的に、冬の睡眠のあり方やその対策について考えていく必要があるといえます。

Q:冬に睡眠の質を下げないために注意すべきことはありますか?

寝る直前の「食事」、「お酒」、「熱いお風呂」はNG

冬の睡眠の質を高めようとしてやっていることの中には、実は間違いということも少なくありません。たとえば、夜食として温かいものを取ったり、お酒で身体を温めたり、熱いお風呂にゆっくり入ってから寝るようにしている方がいるかもしれませんが、それらは睡眠にとってすべて逆効果です。眠る直前に食事を取ると代謝が上がり眠りにくくなり、お酒は中途覚醒が生じやすくなりトイレも近くなることで眠りの質を低下させます。熱いお風呂は睡眠時に本来下げるべき深部体温が下がりにくくなり寝入りが悪くなります。

「厚着」、「靴下」は睡眠の質を下げる

また、寒いからといって厚着したり、靴下を履いたりして寝ることもおすすめできません。質の高い睡眠を得るには、寝具の中で身体の表面が温まった上で、身体から熱が適度に放散される状態にする必要があります。厚着や靴下はこの熱の放散の妨げとなるため避けた方がよいでしょう。

Q: 冬に睡眠の質を高めるにはどうすればよいでしょうか。

冬の寝室は室温20℃前後、湿度40~60%を目指す

まずは冬の寝室の睡眠環境として推奨されている室温20℃前後、湿度40~60%の環境づくりを目指しましょう。温度については眠る少し前にエアコンを20℃前後に設定して運転するだけです。理想は寝室の温度を最適な状態で一定にすることなので、朝までつけっぱなし運転がおすすめです。つけっぱなしにしたくない場合はオフタイマーを使うとよいでしょう。ただしその場合は、保温性と通気性を兼ね備えた寝具や寝間着を選ぶなど寝室の温度低下に備えた工夫をするようにしましょう。

加湿は無理のない方法で

冬の寝室はエアコン暖房を使う/使わないに関わらず乾燥しがちです。寝室環境やライフスタイルに合わせた無理のない加湿方法を検討し、寝室内の湿度を40~60%に保つようにしましょう。

***

今回の調査結果から、冬の睡眠に満足していない人、寝室の乾燥と寒さに困っている人が少なくないことが明らかになりました。また、多くの人が行っていた厚着や靴下を履いて寝ることも推奨されないことがわかりましたね。睡眠環境を整えて、冬の睡眠の質を上げていきましょう。

調査概要(図1~6の調査結果について)
■表題 : 冬の睡眠時における空気の困りごとと寝室環境調査
■調査主体 : ダイキン工業株式会社
■調査実施 : 株式会社マクロミル
■調査方法 : アンケート調査(インターネット調査による)
■調査期間 : 2019年12月5日(木)~12月6日(金)
■調査対象 : 首都圏(東京都/神奈川県/千葉県/埼玉県)在住の男女400名
■対象内訳 :

 

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