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健康

「カロリーゼロ」には副作用がある【予防医療最前線】

文/中村康宏

「カロリーゼロ」は救世主?! その副作用に要注意!!【予防医療最前線】

多くの人が人工甘味料は糖尿病肥満を防ぐ救世主だと信じていることでしょう。「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」の飲み物や食べ物を選ぶのが当たり前になっている今日ですが、人工甘味料の与える健康への悪影響が研究者の間では懸念されるようになってきました。それでは、どのような健康への影響があるのでしょうか?

■「甘み成分」は糖だけではない

清涼飲料水などの食品に用いられる甘味物質の代表例は、砂糖をはじめとする「糖類」ですが、それ以外にもグリシンやトリプトファンなどの「アミノ酸」、アスパルテームやサッカリンなどの「人工甘味料」、モネリンなどの「甘味タンパク質」などがあります。これらの甘み成分は、飲み物や食べ物から薬に至るまであらゆるものに含まれていますが、多様な嗜好への対応や加工食品への応用の点から、近年人工甘味料が広く使われるようになってきています。

■人工甘味料はどんなもの?

以下に汎用される人工甘味料として、アスパルテーム、サッカリン、スクラロースをご紹介します。

●アスパルテーム

多くの食べ物や飲み物から医薬品に至るまで広く使われています。アスパルテームはカラダに入るとすぐにアスパラギン酸、フェニルアラニン、メタノールの3つの化合物に分解・吸収されます。

●サッカリン

100年以上前から存在する人工甘味料です。ネズミを使った研究でぼうこう癌の発症リスクがあるとされましたが、ヒトではその傾向は認められず「安全」と考えられています。

●スクラロース

砂糖から作られたものですが、砂糖の一部が塩素に置き換わることで砂糖の600倍もの甘さが生まれます。もともと殺虫剤の原料として開発されたものですが、その後砂糖の代替品として使われるようになりました。

これらの人工甘味料は「糖質ゼロ」「カロリーゼロ」「〇〇レス」「糖分制限」「ダイエット〇〇」という表示されているほとんどのものに含まれています。具体的には、パンやホットケーキ、ヨーグルト、アイスクリーム、飴・ガム、ダイエットソーダ、炭酸水、プロテインバーなど様々な食品に人工甘味料は使われています。

■人工甘味料の5つのデメリット

人工甘味料の最大のメリットは、これまで「健康」を気遣って制限していた食べ物・飲み物を気兼ねなく楽しめる点でしょう。しかし、人工甘味料の与える健康への悪影響も頭に入れておかなければいけません。人工甘味料の与える健康への悪影響は昔から懸念されており、人工甘味料に関する92%の論文でその有害作用について書かれていると言われています。(*1)その中には意外なものも。例えば、カロリーゼロならダイエットに役にたちそうと思いがちですが、体重が増える・糖尿病になる可能性がある、など予想に反する研究結果が報告されています。以下に人工甘味料の代表的な5つのデメリットを解説します。

脳機能が阻害される

アスパルテームは体に入った直後に吸収・分解されフェニルアラニンになります。すると、急速に血中のフェニルアラニン濃度が上昇し、セロトニンなどの脳内伝達物質の分泌が阻害されることがわかっています。(*2)

免疫力が落ちる

人工甘味料の摂取により腸内に悪玉菌が増えると言われています。スクラロースのような人工甘味料は体内で消化吸収されないので小腸の壁を傷つけたり、善玉菌を減らしてしまいます。(*3)腸内環境が悪化することで免疫力が落ちてしまうことがあります。

栄養の吸収が落ちる

上記のような腸内細菌の変化に加え、人工甘味料の種類によっては、腸内のpHが上がりアルカリ性に傾くこともあります。腸内環境がアルカリ性であると、栄養素の吸収が落ちてしまいます。(*3)お通じの色が濃い茶色〜黒色の人は腸内がアルカリ性の可能性がありますのでご注意を!

糖尿病のリスクが増える

人工甘味料とショ糖を食べた時の血糖値やインスリン感受性を調べたところ、人工甘味料を食べた時の方がショ糖を食べた時よりインスリンの感受性が23%減り、血糖値のピークが高くなってしまったという報告があります。これは、糖分の取りすぎによる血糖値の異常ではなく、人工甘味料が糖代謝に何らかの悪影響を及ぼすものと考えられています。(*4)

体重が増える

ヒトと動物の両方の実験結果から、人工甘味料を長く摂取していると体重増加と関連することがわかっています。一方、人工甘味料を使ったから体重が減った、という研究結果はほとんど存在しません。さらに、人工甘味料の使用はメタボ糖尿病高血圧、心疾患のリスクを高めると報告されています。(*5)

■人工甘味料の代わりにこれを使おう!

上記の理由や栄養価の点から、より健康な天然甘味料を求めるのであれば、次の5つを日常生活に取り入れてみましょう。

●ステビア

ステビアはハーブの一種で2000年以上前から砂糖の代わりの甘味料として使われています。砂糖の200倍の甘さがあり、食後血糖を改善する作用があることがわかっています。熱でも変成しないため、加熱料理でもその効果を享受できます。

●生ハチミツ

生ハチミツは酵素の他に、抗酸化物質やビタミン、ミネラルを含みます。これは加熱調理しないようにし、ヨーグルトに入れたりトーストに塗るようにして使うといいでしょう。

●メープルシロップ

メープルシロップは24種類の抗酸化物質を含み、亜鉛やマグネシウム、カリウムなどのミネラルを豊富に含みます。加熱で変成しないためクッキーやケーキにも用いることができます。

●ココナッツシュガー

ココナッツシュガーはビタミンとミネラル、短鎖脂肪酸やポリフェノールなどの抗酸化物質、食物繊維を含みます。これはテーブル砂糖の代替として使うことができます。(*6)

●黒糖蜜(モラセス)

モラセスはテーブル砂糖と比べ非常に栄養価の高い生砂糖になります。ハチミツなどと比べてポリフェノール含有量が多く抗酸化力も強いことが特徴です。(*7)

* * *

以上、人工甘味料の現状と健康への悪影響、人工甘味料の代わりに使える栄養価の高い天然甘味料について解説しました。人工甘味料のおかげでこれまで我慢していたものが食べられるようになったり、新しい味の商品が開発されたりと我々の食生活を豊かにしてくれているのは事実です。そして、「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」を選ぶことで健康に気を使っていると感じている人も多いでしょう。しかし、人工甘味料はダイエットにいいどころか体重を増やすこともありますし、その他様々な健康への悪影響があることを忘れないでください。人工甘味料のいい面・悪い面を理解し、「カロリーゼロ」に頼るのもほどほどに、自己管理の意識をあげましょう。

【参考文献】
1.BMJ 2005; 330: 309-10
2.Neurotoxicology. 1994; 15: 535-44
3.J Toxicol Environ Health A 2008; 71: 1415-29
4.Diabetes Care 2009: 32; 688-94
5.N Engl J Med. 2012: 367; 1397-1440
6.Oncol Rep 2015; 33: 1579-84


文/中村康宏
医師。虎の門中村康宏クリニック院長。アメリカ公衆衛生学修士。関西医科大学卒業後、虎の門病院で勤務。予防の必要性を痛感し、アメリカ・ニューヨークへ留学。予防サービスが充実したクリニック等での研修を通して予防医療の最前線を学ぶ。また、米大学院で予防医療の研究に従事。同公衆衛生修士課程修了。帰国後、日本初のアメリカ抗加齢学会施設認定を受けた「虎の門中村康宏クリニック」にて院長。未病治療・健康増進のための医療を提供している。

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