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【朝めし自慢】宇田左近さん(ビジネス・ブレークスルー大学副学長)「知人から届く季節の恵みを時間をかけ味わいます」

取材・文/出井邦子 撮影/馬場隆

これからは“人生100年”時代だという。“人生50年”といわれた昭和20年代初めに比べ、倍近くを生きることになる。ならば、後半生をどう過ごせばいいのか。

「人生100年時代は、生涯教育の時代。今、学びの形は多様化しており、60歳からでも学び直すことができるのです」というのは、「ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学」副学長の宇田左近さんである。

「朝食は時間をかけて、ゆっくりとがモットー。朝食といえども、食べすぎないように心がけています」と宇田左近さん。季節によって内容は変わるが、少量多種が基本だ。

BBT大学とは、時間や場所に縛られず、いつでも、どこでも学べる、文部科学省認可のオンライン大学だ。学長は大前研一さん。現在、大学・大学院を合わせて18歳~67歳の800人余りが学んでいるという。

「BBTもそうですが、今、学びの場は広がっている。50代を迎えてからの豊かな人生の第一歩は、生涯学び続けること。それも社内研修などではなく、もっと他流試合ができる刺激のある場所に身を置き続けることです」

「BBT」はオンライン学習が基本だが、スクーリングを始め、直接教授から講義を受ける機会もある。スクーリングで講義をする宇田さん。学生と対面できる貴重な時間だ。

昭和30年、東京生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、同大学院修士課程修了。日本鋼管に入社し、東京湾開発プロジェクトチームなどに身を置くが、外を見たくてアメリカ・シカゴ大学に留学。MBA(経営学修士)を取得する。

その後、「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に転職し、郵政民営化をサポートした他、独立してからは国会事故調(東電福島原子力発電所事故調査委員会)の調査統括としても奔走した仕事人だ。

「私は、いわば組織の変革請負人。膠着した組織を動くようにしていくのが仕事です」

現在は、都政改革本部の特別顧問も務めている。

食べすぎ、飲みすぎを慎む

16年在籍したマッキンゼー時代から、朝は早い。午前4時起床。まずメールをチェックし、その後、オンラインでBBT大学の学生に講義。朝食は6時頃だ。献立は下の写真の通りだが、その内容は季節ごとに変わる。

【宇田左近さんの定番・朝めし自慢】

前列中央から時計回りに、パン(胡桃パン・ブリオッシュ)、アプリコットとレーズン、殻付きアーモンド、ヨーグルト、サラダ(フリルレタス・アンディーブ・ラディッシュ・アボカド・トマト・ブロッコリー・オリーブ塩漬け・ゆで卵)、チーズ(カマンベール・ブリーチーズ・ミモレット)、ラ・フランスと生ハム、ソーセージ、ブルーベリー(冷凍)、苺、野菜スープ(人参・キャベツ・じゃがいも・南瓜・玉葱・あさつき)、オリーブオイル、コーヒー、橙スライス、炭酸水。サラダやパンにはオリーブオイルをかけて、ヨーグルトにはブルーベリーをのせて食す。野菜スープはコンソメ味。炭酸水には橙のスライスを浮かべる。炭酸水のグラスは江戸切子で、宇田さんのお気に入りだ。

「友人や知人がその土地で採れた旨いものを送ってくれる。昼は外食で、夜も半分くらいは外で摂ることになりますから、朝食にはそれら到来物が登場することが多い」

たとえば、ブルーベリーは群馬から、オリーブの塩漬けや橙(だいだい)は香川・小豆島から、ラ・フランスは山形から、といった具合だ。

食生活では、塩分控えめと野菜摂取が鉄則。加えて、食べすぎないことで、20数年来体重は変わらないという。

宇田さんの“2分の1の流儀”。食卓のパン皿には最初からパン半枚ずつ、カップにはコーヒー半量を注いでセッティング。食べすぎ、飲みすぎを防ぐために編み出した流儀だ。

「水より炭酸水のほうが飲みやすい」と、水代わりに炭酸水を愛飲。炭酸水はウイルキンソンやイタリアのサンペレグリノを常備。冬季は香川県・小豆島しまの知人から届く橙のスライスを浮かべて、その香りを楽しむ。

サラダに重宝するオリーブの塩漬け。これも小豆島から届き、この塩分とオリーブ油だけでドレッシング代わりにする。

米・サンフランシスコ在住の姉が送ってくれる殻付きアーモンド。塩をまぶしていないので、塩分の摂りすぎを防げる。

マッキンゼー時代から、“ややこしい”ことがあれば飛び込む主義。そんな宇田さんの語録の中からその一部を紹介しよう。

〈火中の栗を拾う〉のではなく、〈食え。意外と旨い〉〈紆余曲折はドリフトで駆け抜けろ〉〈エスカレーターを逆走せよ〉。これらは強制的に刺激の中に身を置くことを意味し、従来の価値観にとらわれるな、ということでもある。また〈健全なる差し出がましさ〉の重要性を説く。これは異論を伝える時の枕詞でもある。

今も多忙な毎日だが、健康法は腹七分目の食事と運動だ。運動は10年以上通っているスポーツクラブでのトレーニングと散歩である。

「スポーツクラブに通いだした頃は週に3回のことも。ですが、今は週1回のペースです。それと散歩も欠かせない。マッキンゼー時代から睡眠時間は4時間ほどですが、お陰で40代~50代の体力を維持できています」

健康維持のためにスポーツジムにも通っているが、時間が許す限り歩くことにしている。速歩で1日6000~8000歩が目標だ。「自宅周辺は坂が多く、僕は坂道を歩くのが大好きです」と宇田さん。

50代半ばから、ひとつの組織に縛られない生き方を選んできた。そんな自分を、しがらみのない“脱藩浪人”と、自虐を込めて呼ぶ。だからこそ、できることがある。組織の変革請負人は恬淡と、どこまでも自然体だ。

著書に『なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか』(PHP研究所)がある。組織の変革請負人が組織に蔓延する思い込みの罠と、その脱却法を説く。次世代への応援歌である。

取材・文/出井邦子 撮影/馬場隆

※この記事は『サライ』本誌2018年4月号より転載しました。年齢・肩書き等は掲載当時のものです。

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