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健康

飲酒しなくても発症するNASH(非アルコール性脂肪肝炎)予防の3ポイント【名医に聞く健康の秘訣】

取材・文/わたなべあや

“沈黙の臓器”と言われている肝臓。病気になっても進行するまでほとんど自覚症状を感じません。

酒を飲まなければ肝臓病にはならないと思われるかもしれませんが、飲酒をしなくても発症する「非アルコール性脂肪肝炎(NASH、ナッシュ)」という病気があります。NASHを予防するにはどうしたらいいのか、武庫川女子大学教授で臨床栄養学がご専門の雨海照祥(あまがい・てるよし)先生に伺いました。

■自覚症状をほとんど感じない「非アルコール性脂肪肝炎」

「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」は、比較的男性に多くみられる肝炎で飲酒してもしなくてもかかる可能性があります。中年期以降徐々に進行していくのですが、ほとんど症状を感じることがなく、ボディーブローのようにゆっくり、ゆっくり肝臓をむしばむ病気です。

従来、肝炎といえばウイルス性の肝炎、つまり、B型肝炎やC型肝炎のような感染症のことを現していました。しかし、NASHはウイルスや飲酒によるものではなく、肥満や糖尿病など、いわゆる「メタボリックシンドローム」が原因で発症し、生活習慣病を併せ持っていることが多い病気です。

もともと肝臓は再性能、つまり壊れても元に戻る能力が非常に高い臓器です。例えば、手術で半分切り取っても、残りの半分を再生することができます。タンパク質を作るの役割を果たしているので、その機能を生かして自力で再生するのです。

しかし、やはり再生するにも限界というものがあり、限度を超えるとNASHになることがあり、さらに。将来、肝硬変や肝不全、肝がんを発症する確率が非常に高まります。そして、恐ろしいことに悪化していく間も自覚症状に乏しいためなかなか気づくことができません。

ただ、NASHは食事や運動などの生活習慣を変えることで予防することができ、その取組が早ければ早いほど効果を上げることができます。具体的な予防法を3つご紹介しましょう。

■予防法1:自分が何を食べているのか正しく知る

まずは、食べているものの内容や量を正しく知ることが大切です。

多くの方が、自分の食べているものは他の人と同じ、平均的だと思っているのですが、食生活に問題がある人を集めて他の人と比べてみると決して同じではない。人の食事と比べることで、自分の食事のいいところも改善すべきところも分かります。

具体的には、医療機関で他の方と集団で栄養指導をしてもらったり、検診でメタボと診断された場合には、管理栄養士のいる病院で食事指導を受けたりするといいでしょう。肝臓は病気になっても症状が現れにくい臓器だからこそ、食べている量や食べているものの内容を管理栄養士に客観的に見直してもらう必要があるのです。

■予防法2:ライフワークバランスを見直す

NASHは40代、50代の働き盛りの頃から徐々に進行しますが、忙しい方の場合、ライフワークバランスを見直す必要があります。本当は今日やらなくてもいい仕事なのに、超過勤務しているのではないかと考えてみることが大切です。

私は外科医だった時、9時から5時までで仕事を終わらせるようにしていました。翌日できることは翌日やっていたのです。もちろん患者さんの状態など重要なことは考慮しますが、9 to 5を基本にすると十分リフレッシュすることができ、日中の集中力を高めて最高のパフォーマンスを出すことができます。

日本では、がむしゃらに働くのがいいことであるかのような風潮がありますが、それで何か世の中が変わったでしょうか。これは日本人にありがちな習慣ですが、あなたが健康であるためには見直したほうがいいのです。

■予防法3:日常生活の中にこまめな運動を取り入れる

高齢者のの筋肉の減少によって起こる「サルコペニア」や「フレイル」といった病気が問題になっていますが、そうした筋肉の減少や質の低下は65歳の誕生日がきた時に、突然始まるわけではありません。既に30代からじわじわと始まっているのです。

40代、50代のうちから時間を作ってトレーニングしている方としていない方では、60歳以上になった時に明らかに差が出てきます。60代になってからでも遅くはありませんが、働き盛りの時にNASHを予防することが大切です。自分をトレーニングすることも仕事のうちだと考えて下さい。

もちろん、スポーツクラブに行くことだけがトレーニングなのではなく、ひと駅分歩いてみるとか、エスカレーターやエレベーターを使わずに階段を使うとか、。日常生活の中でこまめに運動するよう心がけましょう。

*  *  *

以上、飲酒をしなくても発症する「非アルコール性脂肪肝炎(NASH、ナッシュ)」を予防するにはどうしたらいいのか、ご紹介しました。

ついつい頑張ってしまう40代、50代の働き盛りの方。しかし、そこで一度立ち止まって、自分の生活や健康について考えてみることが、60代以降の人生を大きく左右します。食事と運動、ワークライフバランスを見直してNASHを予防しましょう。

指導/雨海照祥(あまがい・てるよし)
武庫川女子大学 生活環境学部教授。1982年筑波大学医学専門学群卒。順天堂大学付属病院、静岡県立こども病院等を経て、1992~2004まで筑波大学臨床医学系。2004年茨城県立こども病院小児外科部長。1993年より1年間、英国・バーミンガム小児病院外科医院に出向。2007年より現職。

取材・文/わたなべあや
1964年、大阪生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。2015年からフリーランスライター。最新の医療情報からQOL(Quality of life)を高めるための予防医療情報まで幅広くお届けします。趣味と実益を兼ねて、お取り寄せ&手土産グルメも執筆。

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