白血病は漢方でも治療できるか?
ところで、渡辺謙さんといえば、急性骨髄性白血病の闘病生活を乗り越えたことでも印象的です。急性骨髄性白血病は、「血液のガン」とも言われる病気です。この闘病生活を乗り越え、現在パワフルに活躍されている渡辺謙さんには勇気をもらいます。
未治療の急性骨髄性白血病は極めて重篤な疾患となり、死に至るおそれもあります。
そんな白血病ですが、漢方での治療の例はあるのでしょうか?
白血病には慢性と急性があり、さらに骨髄性とリンパ性のものとに分けられます。
この病気は、白血病が無制限に増加するもので、血小板が少なくなって出血しやすくなり、貧血が起こり、脾臓や肝臓が腫れる傾向があります。患者は疲労倦怠感を訴え、食欲不振、動悸、息切れなどを訴えますが、また高熱が出ることもあります。
通常では、西洋医学の治療が行われます。渡辺謙さんが患った、急性骨髄性白血病(AML)の治療の基本は、骨髄中に増えた白血病細胞を死滅させ、正常な血液細胞を増やすというやりかたです。抗がん剤を用いた化学療法が、急性骨髄性白血病(AML)の第一の治療法になります。
漢方治療では、症状の軽快をみることがあり、ときに全治します。
漢方治療の例をご紹介します。
「31歳の婦人で、某大学病院で、白血病と診断され、あと半年の余名であろうと家族の者に告げられたという患者に、脾腫、肝肥大、貧血、出血性の傾向を目標に、帰脾湯を与えたところ、1ヶ月後には、脾腫半減し、肝は触れなくなり、出血やみ、3ヶ月後には、血色もよくなり、会社につとめるようになった。」
【引用:漢方診療医典 第6版 大塚敬節 矢数道明 清水藤太郎 著】
この例のように、漢方薬で軽快することもあるのです。
文/小屋原佳苗(こやはら・かなえ)
漢方デスク株式会社ディレクター、薬剤師。漢方・薬膳の総合ポータルサイト「漢方デスク(http://www.kampodesk.com)」の編集スタッフ。