日本列島が梅雨入りし、ジメジメした天気が続いています。こういった天候の際に、いつもよりも頭痛がひどいとお感じになる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 頭痛がする場合、市販薬を飲んですまそうとするのではなく、その体質自体を改善するというのが漢方の考え方です。

実際のところ、悪天候の前に頭痛がひどくなるのは、なぜでしょうか? 慶應義塾大学教授の渡辺先生に聞いてみました。

「天気が悪くなるときには、一般的に低気圧となります。飛行機に乗ったときに上空でペットボトルが膨らむように、気圧が低くなると全身がむくみやすくなるのです。血管も拡張して、拡張した血管が近くの神経を刺激してしまうことが、悪天候の前の頭痛の原因と考えられています。他にもアレルギーなどに関連しているヒスタミンという物質によるとする説や、自律神経のバランスの異常で血圧が低下することによるとする説も言われています」

なるほど。では漢方医学としては、どのようにこの症状をとらえ、改善にもっていくのでしょうか?

「漢方医学的に考えた場合、悪天候の前に頭痛を起こしやすい代表的なものは水毒証(すいどくしょう)と呼ばれる状態です。二日酔いのときにも出てきましたね。日本は海に囲まれた島国なので、水毒症の人が多いのです。頭痛に関して言えば、ズキンズキンと脈うつ頭痛、雨天時に悪化する、むくみやすい、めまいがする、たちくらみがするというような症状を自覚することが多いでしょう。悪天候に反応して、身体の中の水の分布が乱れたために、頭痛がひどくなると考えます。そこで、身体の中の水の分布を改善するための処方や生活習慣が重要になってきます」

そうなんですね。こういった症状によい漢方薬ってなんでしょうか?

「代表的な漢方薬は五苓散(ごれいさん)です。頭痛に加えて、手足の冷えや肩こりが強い人には呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、冷えがひどくなくふわふわした目眩や動悸を伴う人には苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、胃腸の弱い人には半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)というお薬をドラッグストアでお求めになるか、医師に処方してもらうか、どちらかです 」

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