年が明けて一段落された頃でしょうか。寒さが一段と増してくるタイミングで体調を崩されることも多いようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
日々の生活習慣の見直しだけではなく、実際になにかの症状でお困りの場合に漢方クリニックで治療してもらいたい場合、どうすればよいのか、どのような治療をしてもらえるのかといったよくある疑問について、実際に漢方クリニックに行くことをイメージしながらお答えしていきたいと思います。
前回は漢方の特徴的な診断方法について見てきましたが、今回は第3回目で、いよいよ漢方医から漢方薬を処方してもらう段階になります。
漢方医はどのように漢方薬を選ぶのでしょうか? 慶應義塾大学教授の渡辺賢治先生にお聞きしました。
「前回お話した漢方の四診を通じて患者の証(しょう)を判定します。最終的には患者の自覚症状や主訴と診断結果である証を組み合わせて最適な漢方薬を選択します。
よく風邪には葛根湯、っていう言葉を耳にしますが、症状に合わせて漢方薬を選択しているのではないのですか?
「もちろん現在の症状を考慮して漢方薬を選択するという側面もありますが、漢方医学は対症療法ではなく患者の体全体を診て判断するため、同じ症状、たとえば風邪でも、Aさんという患者とBさんという患者がいた時に異なる漢方薬を選択することがあります。これを同病異治(どうびょういち)と言います。
反対に、Cさんは冷え症で悩んでいて、Dさんは不眠症で悩んでいたとしても、同じ漢方薬を選択することもあります。これを異病同治(いびょうどうち)と言います。
そうなんですね、普通の感覚からすると不思議な感じがします。クリニックで処方される漢方薬にはどんな種類がありますか? 漢方薬は西洋薬と同じように錠剤や粉末剤なのでしょうか?
「基本的には煎じ薬かエキス剤の2つが代表的なものになります。
煎剤(煎じ薬)と鍋に刻んだ生薬と水を加え、煎じて抽出した成分を服用する方法です。 『葛根湯(かっこんとう)』『麻黄湯(まおうとう)』のように『湯』と名前のつくものは煎じて飲むといいです。煎剤は昔からある一般的な漢方薬の服用方法として知られ、時間と手間がかかる分、得られる効果は大きいと言われています。
この煎剤は、いかにも漢方薬というイメージですね。