30~40代のプレ更年期や、40~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの方が困っている悩みは膣のひきつれ感の症状です。
実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?
私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい! 根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
今回は「膣のひきつれ感」の原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。
膣のひきつれ感で夫婦生活にも支障が…恥ずかしくて友人にも相談できない
ゆり子さん 48歳からご質問をいただきました。
「少し前から、膣のひきつれ感に悩んでいます。こわばったり、皮膚が引っ張られている感覚があったり、最近はヒリヒリとした痛みを感じたりします。痛いので夫婦生活にも支障が出て困っていて、同世代の友人にも相談しにくく……。
この膣のひきつれ感、原因は何なのでしょうか? 大きな病気の前触れかもしれないと思うと心配です」
ご質問ありがとうございます。デリケートゾーンのトラブルはなかなか人に相談しづらく、つらいですよね。
しかし、きちんと適切な治療やセルフケアを行えば、膣のひきつれ感の症状の緩和を目指せます。まずは、膣のひきつれ感の原因をしっかり把握して対処しましょう。
膣のひきつれは「萎縮性膣炎」かも
萎縮性膣炎とは、閉経前後の更年期の女性に多くみられる症状です。女性ホルモンのエストロゲン欠乏により、膣の自浄作用が低下し、その結果、病原細菌が繁殖しやすくなります。膣の乾燥や萎縮、膣のひきつれのほか、痛み、かゆみ、分泌物、悪臭など、様々な不調の原因に。
まずは、チェックリストと、ほかにも注意しておくべき事柄について解説します。
1.チェックリスト
萎縮性膣炎のチェックリストです。該当する項目をチェックしてください。
□膣に違和感がある
□膣や外陰部に痛み、熱っぽさを感じる
□外陰部にかゆみがある
□不正出血がある
□排尿時痛がある
□おりものが臭う
□性交時、痛みや出血がある
当てはまる項目がある方は、萎縮性膣炎の可能性があるので、婦人科の受診をおすすめします。
2.膀胱炎にも注意
萎縮性膣炎の罹患から、膀胱炎に発展する場合があります。もともと、女性は男性よりも尿道が短いうえに、膣と肛門の距離も近いため、雑菌による感染が起こりやすいといわれています(※1)。
膀胱炎を繰り返す場合は、結石や、神経因性膀胱など、膀胱炎以外の病気が背景に隠れている場合もある(※2)ので、婦人科を受診しましょう。
婦人科を受診したほうがいい?
膣のひきつれに限らず、デリケートゾーンの不調は症状や状態を直接話すのが恥ずかしいため、適切な処置を行わずに長期間我慢してしまいがちです。
しかし、病気を放置することで悪化するケースや、悪性の病気や感染症リスクなどを考えると、なるべく早いうちに病院で診てもらうほうがいいでしょう。
婦人科では、まず問診、内診などを経て、検査、処置を進めていきます。萎縮性膣炎の場合、基本的には、女性ホルモン補充療法(HRT)や、エストロゲンの局所投与などを行なっていきます(※3)。
膣のひきつれを改善するセルフケア
病院での治療や、重病との鑑別も大事ですが、膣のひきつれにはセルフケアも重要です。日常的に行えるケアについてご紹介します。
1.洗浄と保湿
デリケートゾーンは皮膚が薄いため、洗いすぎないことが肝心です。熱いお湯は避け、ぬるま湯で洗浄しましょう。また、膣内まで洗うと膣の自浄作用が低下し、かえってトラブルの原因になるので気をつけてください。
また、肛門には雑菌が多いため、洗う際は前から後ろ(性器から肛門側に向けて)に洗いましょう。
そして、保湿も重要です。洗い終わった後に、クリームや軟膏などの保湿剤を使用してください。肌が敏感な方は、事前のパッチテストで肌に合うものを選びましょう。
2.漢方薬
「不調を根本から改善したい」
「いろいろと試したが更年期の膣トラブルの症状が改善しない」
「西洋薬は一度飲み始めたら、やめられないのではないかと不安」
そんな方には、医薬品として効果が認められている漢方薬がおすすめです。
漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。
「バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
膣トラブルには、「血流をよくして、膣に栄養を与え、膣粘膜の働きを回復させる」「水分の循環をよくして膣に潤いをもたらす」「女性ホルモンのバランスを整える」といった作用の生薬を含む漢方薬を選びましょう。
更年期の膣トラブルにおすすめの漢方薬
・温経湯(うんけいとう):子宮を温めることで冷えや血流を促し婦人科系の機能を高めます。
・四物湯(しもつとう):栄養や潤いを補い、体に届けます。
ただし、漢方薬はご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることがあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師などにご相談ください。
「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0215
膣のひきつれには適切な治療を
膣のひきつれは、萎縮性膣炎の可能性があります。まずは婦人科を受診して原因を特定し、生活のなかでセルフケアも行っていきましょう。
さて、次回は「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」です。ぜひご覧ください!
【参考】
(※1)(※2)兵庫県保険医協会「【木曜】 繰り返す女性の膀胱炎 – 2016年1月 – 健康情報テレホンサービス」
http://www.hhk.jp/kenko-telservice/2016/0102-171304.php
(※3)大東製薬工業株式会社「萎縮性腟炎(老人性腟炎)とは」 https://daito-p.co.jp/female/atrophic_vaginitis.html
<この記事を書いた人>
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0215
イラスト:lely