30~40代前半のプレ更年期や、40歳半ば~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの人が困っている悩みはめまいの症状です。
実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?
私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい! 根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
今回は「めまい」の原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。
ベッドから起き上がった瞬間、めまいがひどい…
奈美さん、49歳からご質問をいただきました。
「最近、めまいがひどくて困っています。朝ベッドから起き上がろうとするとき、立ち上がるとき、上を見るとき、寝るとき……様々なときにクラクラとするめまいが襲ってきます。
まるで乗り物酔いのような感じでとても気持ち悪くなり、耐えられません。これって何か重大な病気の前触れなんでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。めまいの症状はとてもつらいですよね。不調を抱えていても、本人以外はわかりづらいので、悩みをひとりで抱え込んでしまいがちです。
しかし、きちんと適切な治療やセルフケアを行えば、めまいの症状の緩和を目指せます。まずは、めまいの原因をしっかり把握して対処しましょう。
めまいは大きく分けて3種類ある
めまいの症状は、主に3種類に分けられます(※1)。ひとつずつ見ていきましょう。
1.回転性のめまい
回転性のめまいは、自分や周囲がグルグルと回転しているように感じるめまいです。耳鳴りや、耳が詰まった感じ、難聴などをともなう場合があります。
耳の異常による原因のほかに、脳梗塞、脳出血など、脳の病気が原因になっている場合があります。
2.浮動性・動揺性のめまい
浮動性、動揺性のめまいは、ふわふわとした浮遊感のあるめまいです。頭痛、顔面や手足のしびれ、麻痺をともなう場合があります。
回転性のめまいと同じく脳の病気が原因になっている場合や、高血圧、うつ病が原因の場合があります。
3.失神性のめまい
失神性のめまいは、目の前が真っ暗になったり、意識が遠くなったりするめまいです。立ちくらみのように感じる場合があります。
失神性のめまいは、起立性低血圧、高血圧、不整脈など、循環器系の異常により血流が低下することが原因です(※2)。
めまいは病院で診てもらうべき?
めまいの原因は、内耳の器官異常の「前庭性(ぜんていせい)」、全身状態異常の「非前庭性(ひぜんていせい)」に分けられ、さらに前庭性は「中枢性」「末梢性」の2つに分類されます。分類は以下の通りです(※3)。
・前庭性
中枢性(脳梗塞、脳出血など)
末梢性(メニエール病、良性発作性頭位めまい症など)
・非前庭性
内分泌異常、精神疾患、自律神経失調症など
とくに、中枢性のめまいは、脳梗塞などの脳の病気が原因の場合があり、直接命に関わることがあるので、すぐに診てもらうことが大事です。めまいが頻発するときや、症状が長引くときは、迷わずに病院を受診しましょう。
耳鳴りや難聴をともなう場合は耳鼻咽喉科、頭痛などの異常をともなう場合は脳神経外科、脳神経内科を受診してください。脳が原因のめまいは緊急性が高い場合もあるので、意識障害やろれつが回らないなど明らかな異常があるときは、すぐに救急車を呼びましょう。
めまいの対処法とセルフケア
まずは病院を受診し、比較的軽度のめまいだった場合、セルフケアで対処していきましょう。日常生活で簡単に行えるセルフケアを3つご紹介します。
1.刺激を減らして安静にする
めまいが起きたときは、まずは横になって安静にし、しばらくの間休みましょう。野外や仕事中など、横になるのが難しい場合は、なるべくリラックスできる体勢で呼吸を整え、めまいが収まるのを待ちましょう。
めまいは頭の位置を変えることで悪化する場合があるので、激しい運動などは避け、なるべく頭を動かさないように、めまいが落ち着くまで静かに過ごしてください。
2.十分な栄養と睡眠をとる
生活習慣の乱れは、めまいの原因になります。食事が偏り、十分な栄養素を摂ることができないと、脳への血流が低下し、脳細胞へもきちんと酸素供給できなくなり、めまいの原因に。
また、睡眠時間が不規則になることで、自律神経のバランスが悪くなり、交感神経が働きすぎて血管が収縮、三半規管へ酸素と栄養が十分に行き渡らなくなり、めまいを起こします。
めまいを起こさないためには、規則正しい生活を意識し、バランスのとれた食事と十分な睡眠をとることが大事です。
3.漢方薬を飲む
「めまいを根本から改善したい」
「いろいろと試したが症状が改善しない」
「西洋薬は一度飲み始めたら、やめられないのではないかと不安」
そんな方には、医薬品として効果が認められている漢方薬がおすすめです。
漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。
「バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、漢方薬は症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できるでしょう。
めまいに対処するには、「血流をよくして脳や耳に必要な酸素や栄養を届け、三半規管の機能を整える」「内耳の水分の循環の乱れを整える」「自律神経を整えてストレスによるめまいを緩和する」といった漢方薬を選びましょう。
めまいを緩和する漢方薬
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう):体の余分な熱をとり、交感神経の緊張状態を緩和します。顔色が赤く、のぼせをともなうめまいに用いられます。
・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):体内の水分の滞りを解消し、余分な水分を尿や発汗で排出し、立ちくらみや耳鳴り、めまいを緩和します。
ただし、漢方薬を選ぶ際にはご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることがあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師などにご相談ください。
「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0211
軽視してはいけない「めまい」
めまいは回転性、浮動性、失神性など様々な種類があり、原因も耳や脳の病気など、それぞれ異なります。激しい頭痛をともなったり、長く不調が続いたりする場合は、病院を受診しましょう。軽度のめまいで収まる場合は、生活習慣などを見直すセルフケアもおすすめです。
さて、次回は「胃痛の救世主『安中散(あんちゅうさん)』のパーフェクトガイド」です。ぜひご覧ください!
【参考】
(※1)同友会メディカルニュース「めまいについて」https://www.do-yukai.com/medical/106.html
(※2)土浦市医師会「めまいを起こす病気について」https://www.tsuchiura-ishikai.org/3010.html
(※3)社会医療法人 甲友会「『めまい』の種類〜中枢性と末梢性〜 | KOYUKAI FRIENDS」https://www.nk-hospital.or.jp/friends/210615/
<この記事を書いた人>
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0211
イラスト:lely