30~40代前半のプレ更年期や、40半ば~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの方が困っている悩みは吐き気の症状です。

実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?

私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい! 根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
今回は「吐き気」の原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。

つわりのような吐き気……生活にも影響が出て困っています

志保さん、51歳からご質問をいただきました。

「最近、まるでつわりのような、胃がムカムカするような吐き気が起こり、生活にも影響が出て困っています。

急に吐き気を感じたと思ったら、本当に気持ち悪くなって吐いてしまうこともあります。人前で吐き気をもよおすかもしれない……と思うと、仕事もプライベートも常に不安で仕方ありません。

これって更年期が原因なんでしょうか? 更年期症状は10年以上続くと聞いて、落ち込んでいます」

ご質問ありがとうございます。吐き気の症状は人目も気になってしまい、つらいですよね。

きちんと適切な治療やセルフケアを行えば、吐き気の症状の緩和をめざせます。まずは、吐き気の原因をしっかり把握して対処しましょう。

女性に多い吐き気の原因

まずは女性の吐き気の主な原因について解説します。

1.女性ホルモンの低下

女性が更年期を迎えると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に減少し、自律神経が乱れます。交感神経が優位になり、副交感神経のはたらきが鈍くなることで、吐き気や嘔吐、胃のむかつきといった不調があらわれます。

2.精神的なストレス

度重なるストレスを感じていると、次第にそれが心身に不調をもたらします。そして、自律神経が乱れる原因になり、それが吐き気につながることも。自律神経のバランスが崩れると、胃のはたらきが悪くなり、胃酸の過剰分泌や、下痢、便秘などの消化器症状が出る場合もあります。

3.不規則な食生活

朝昼晩の3回の食事のリズムが崩れ、不規則な時間帯での食事や過食、間食が多い場合、胃に負担がかかり、吐き気の原因になります。また、睡眠中は胃のはたらきが低下するので、寝る直前に食事をとると、吐き気や胃のむかつきなどの原因になります。

更年期かな? と思ったら受診を

更年期以外にも、吐き気をともなう病気は、多く存在します。たとえば、吐き気とともにおなかの痛みをともなう場合は急性胃炎、めまいや耳鳴りを感じる場合はメニエール病、気分の落ち込みを感じるならうつ病などが考えられます(※1)。

重篤な病気の可能性としては、脳卒中です。今まで経験したことのないような激しい頭痛やめまいを感じた場合は要注意です。慢性的な吐き気や、症状が長引く場合はなるべく早いうちに病院で受診しましょう。

更年期の吐き気の対処法

ここからは、更年期の吐き気の対処法について3つご紹介します。

1.食事を変える

一般的に、胃で食べ物を消化するのにかかる時間は、2~3時間ほどです。しかし、肉や油ものなど、消化に時間がかかる食べ物の場合、4~5時間かかることがあります。

胃腸の調子が悪いときは、脂肪分の多いものや刺激の強いもの、冷たいものを避け、胃に優しいものを摂取しましょう。主食はおかゆやうどん、主菜はささみや豆腐料理、副菜はキャベツや白菜、果物はリンゴやバナナなど、消化のいいものを中心に摂りましょう。

2.ストレスケアをする

日々のストレスを軽減することで、吐き気の原因を抑えることができます。たとえば、適度な運動もそのひとつです。ウォーキングを中心に、ヨガやストレッチなど、低強度の運動を行うことで、体だけでなく心もリフレッシュできます。

仕事中でも、1時間に数分程度、体勢を変えたり関節や筋肉の凝りをほぐしたりして、脳や体の血流を増やすことが大事です。

3.漢方薬を服用する

「不調を根本から改善したい」
「いろいろと試したが吐き気の症状が改善しない」
「西洋薬は一度飲み始めたら、やめられないのではないかと不安」

そんな方には、医薬品として効果が認められている漢方薬がおすすめです。

漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。

また漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。

「バランスのとれた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できるでしょう。

吐き気に対しては、鎮嘔制吐作用に加えて「自律神経を整え、ストレスを軽減する」「胃腸の水分代謝をよくして吐き気を改善する」といった効果を期待できる漢方薬を使用しましょう。

吐き気を緩和する漢方薬

六君子湯(りっくんしとう):胃にたまった余分な水分を排出するとともに温め、胃腸の機能を高めます。体力がなく、胃腸が弱い方に。

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):胃のはたらきを高め、胃のむかむかなどの不調を抑えます。ストレスやみぞおちのつかえを感じている方に。

ただし、漢方薬を選ぶ際にはご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることもあります。

購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師等にご相談ください。

「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。

AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0213

吐き気は更年期や生活習慣、ほかの病気が影響している場合も

吐き気は更年期の代表的な不調のひとつで、女性ホルモンの低下のほか、精神的ストレス、不規則な食生活も原因になります。また、更年期由来以外の吐き気もあるので、異常を感じた場合はなるべく早く医療機関を受診してください。

さて、次回は「つらい便秘でのおなかのはりに『桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)』の効果と飲み方ガイド」です。ぜひご覧ください!

【参考】
(※1)大塚製薬 更年期障害・更年期のなやみのことなら更年期ラボ「吐き気の原因・症状と対処方法」https://ko-nenkilab.jp/symptom/nausea.html

<この記事を書いた人>

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師
/ 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0213

イラスト:lely

 

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