30~40代前半のプレ更年期や、40半ば~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの人が困っている悩みは「生理の血量の増加」の症状です。

実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?

私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい!  根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。

今回は「生理の血量の増加」の原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。

仕事中、生理の血が漏れてしまう

明菜さん、38歳女性の方からご質問をいただきました。

「最近、生理の量が多くなり、気になっています。多い日用のナプキンを付けていても2時間ほどで真っ赤になっていることも多く、座っているだけで横モレしていることも。こまめな休憩をとりにくい仕事なので困っています。

経血量の増加の原因が何か別の大きな病気によるものではないかと心配になってきました。いったい何が原因なのでしょうか?」

ご質問ありがとうございます。生理の不調、つらいですよね。ご相談者の明菜さんのように、「周囲に迷惑をかけてしまうかも」と思ってしまい、なかなか言い出せず余計に負担を抱えてしまうというケースは少なくありません。

明菜さんの症状は、過多月経かもしれません。過多月経は、適切な治療やセルフケアを行えば症状の緩和をめざせます。まずは、過多月経の原因をしっかり把握して対処しましょう。

生理の血が多い人は過多月経の可能性あり

過多月経とは、月経の血の量が異常に多い状態で、貧血(鉄欠乏性貧血)やめまい、たちくらみなどの症状が起こります。

過多月経は、一般的には血量が150ml以上(※1)のものをいいますが、この量は必ずしも厳密なものではなく、150ml未満でも過多月経と診断される場合があります。

たとえば、レバーのような血の塊が混ざり、昼用のナプキンでは足りない場合は過多月経を疑ったほうがいいでしょう。

過多月経の原因

過多月経は、ストレスや無理なダイエットなど、生活習慣の乱れによって一時的に生じる場合があります。しかし、それ以外にも、疾患による過多月経があります。

具体的には以下の3つの可能性が考えられます(※2)。

・器質性疾患
臓器や器官自体に原因がある場合を器質性疾患といいます。主に良性腫瘍(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ)、悪性腫瘍(子宮体がん、子宮頸がん)などが原因です。

・機能性疾患
臓器や器官そのものには異常がないのに不調があらわれるのが機能性疾患です。ストレスや疲労、ホルモンバランスの乱れにより自律神経のはたらきに異常が起こることが原因です。

・内科系疾患
甲状腺ホルモンの分泌量に乱れが生じる甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症など、内科系疾患が過多月経の原因である場合もあります。

これらの原因をご自身で特定することは困難です。また、放置して症状が進行する場合もあるので、まずは病院の婦人科で診てもらいましょう。

生理の血が多いときのセルフケア

婦人科を受診して、とくに病気が見つからなかった場合は、以下のセルフケアを試してみましょう。

1.生活習慣を整える

生活習慣の乱れは女性ホルモンのバランスを崩し、過多月経の原因にもなります。まずは生活習慣を整えましょう。

とくに、質の高い睡眠は重要です。お風呂は寝る2時間前までに、少しぬるめの40度くらいのお湯に浸かりましょう。また、スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトという光は体内時計が乱れる原因になるので、寝る直前の使用は避けましょう。

2.ストレスをケアする

女性ホルモンは精神的・肉体的ストレスにも影響されるので、ストレスを解消することもおすすめです。

ウォーキングやストレッチなどの軽い運動、日光浴のほか、音楽や映画などに浸ってみたり、趣味の時間を作ったりするのもいいでしょう。

また、ストレスには心を落ち着けるアロマもおすすめです。鎮静作用があり自律神経を整えるラベンダー、スッキリ爽快感のあるローズマリー、リフレッシュ作用のあるベルガモットなど、好みのアロマでストレスをケアしましょう。

3.漢方薬を飲む

生理の血が多いときのセルフケアには、漢方薬もおすすめです。漢方薬は植物や鉱物などの自然由来の生薬から作られており、一般的に西洋薬よりも副作用のリスクが低いといわれています。

また、心と体全体のバランスの乱れを回復させて、根本的な体質改善を目的としています。

生理に関するトラブルの改善には、「血流をよくして子宮や卵巣の機能を回復する」「冷えやストレス、疲労によるホルモンバランスの乱れを改善する」などのはたらきがある生薬を含む漢方薬を選びます。

過多月経の緩和におすすめの漢方薬

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):滞った血の塊をとり去り、血液の巡りをよくすることで、出血、充血、炎症を抑えます。過多月経のほか、月経痛、生理不順に用いられます。

加味逍遙散(かみしょうようさん):気(エネルギー)の巡りをよくすることで精神を安定させ、イライラなどのストレスを緩和します。月経困難、月経痛のほか、神経症、のぼせに用いられます。

漢方薬は体質との相性も重要視するため、服用する際はきちんと体質を見極められる医師や薬剤師に相談しましょう。

最近は、オンラインで利用できる漢方薬サービスの「あんしん漢方」が評判です。あんしん漢方は、体質診断から漢方薬の購入まですべてオンラインで手続きできるのが人気。また、困ったときはいつでも相談でき、アフターフォローも万全です。

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おかしいと思ったらまずは病院へ

写真はイメージです

今回は、過多月経についてご紹介しました。過多月経は、生理の量が多く、レバーのような血の塊が混じっていることもあり、一般的に月経の血量が150ml以上の場合を指します。主に、精神的・肉体的ストレス、生活習慣の乱れが原因です。

しかし、過多月経は病気由来の場合もあります。経血量が多く、異常を感じる場合は、まずは婦人科で診てもらいましょう。

さて、次回は「糖尿病の多尿や口の渇きに『白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)』」です。ぜひご覧ください!

【参考】
(※1)株式会社杏林舍「過多月経」
https://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/43/12/KJ00001748091.pdf

(※2)日本女性心身医学会「過多月経|一般のみなさまへ」
https://www.jspog.com/general/details_10.html

<この記事を書いた人>

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師
/ 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

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