30~40代前半のプレ更年期や、40半ば~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの人が困っている悩みは憂うつの症状です。
実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?
私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい! 根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
今回は「憂うつ」の原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。
原因不明の憂うつ感…いつも気分が落ち込んでしまいます
みどりさん(45歳女性)からご質問をいただきました。
「最近、憂うつ気分で悩んでいます。子育てもひと段落し、ほっとしたのも束の間、なぜか気分が落ち込む日が増えています。
とくに朝がきつく、ベッドから起き上がるので精一杯。起床した頃には夫は出社していて、昼頃やっと活動し出し……という生活です。現在私は夫とふたり暮らしなのですが、会話の相手も少なく、孤独感が強いです。
今まではアクティブに動いていたのに、最近はちょっと買い物に行くのも億劫で、家に引きこもってネットスーパーで済ませてしまいます。
将来を考えると漠然とした不安も襲ってきます。この憂うつの原因、何なのでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。憂うつ感の症状はなかなか周囲に相談しづらいので、つらいですよね。
しかし、きちんと適切な治療やセルフケアを行えば、憂うつの緩和をめざせます。まずは、憂うつの原因をしっかり把握して対処しましょう。
憂うつ感の原因
ここからは、憂うつ感の原因について解説します。
1.性格と環境の影響
憂うつ感が生まれる原因としては、性格と環境のふたつが挙げられます。
几帳面で生真面目、責任感が強い、完璧主義などの性格は、憂うつ感を生み出しやすいといわれています。
また、子どもの独立、離婚、親の介護、死別、昇進、失業など、年齢とともにライフステージが変わり、家族との暮らし方に変化が生まれると、それだけ精神的ストレスも増加し、憂うつ感の原因になりやすいのです。
2.ホルモンバランスの影響
30~40代前半のプレ更年期や、40半ば~50代の更年期の女性は、ホルモンバランスが変化しやすくなります。とくに、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が不安定になると、感情に安定をもたらすセロトニンの伝達機能に問題を起こし、憂うつ感を起こすことも。
また、もうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンも、分泌量が変化することで精神が不安定になり、気分の落ち込みがあらわれることがあります。
病院受診の目安
憂うつ感を抱えている場合、ひとりで悩まずに、まずは病院を受診することが大事です。
受診の目安としては、憂うつ感が2週間以上続いている場合です(※1)。早期受診で症状の回復が早くなることもあるので、まずは専門家に診てもらいましょう。
診療科は、精神科や心療内科だけでなく、婦人科や一般内科でも相談可能です。いきなり精神科や心療内科を受診することに抵抗がある場合は、そちらでも構いません。軽いうつ病であれば一般内科でも対応できます。
憂うつ感を改善するセルフケア
ここからは、憂うつ感を改善するためのセルフケアを3つご紹介します。簡単に行えるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
1.生活リズムを整える
生活リズムを一定に保つことは、精神の安定にとって非常に重要です。とくに、朝に太陽の光をきちんと浴びていない生活だと、気分も滅入ってしまいます。ホルモンバランスの項で触れたセロトニンは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、心の安定を保つ作用があります。
なるべく起床後すぐに太陽の光を浴び、できれば軽めのウォーキングなども行いましょう。セロトニンは太陽の光を浴びることで脳内に分泌され、睡眠ホルモンのメラトニンを作る原料にもなります。メラトニンは14~16時間後に分泌されるので、朝の6時に太陽の光を浴びれば、夜の20~22時に眠気を催す計算になります。
2.前向きな考え方を意識する
ポジティブシンキングで物事を考えることでも、一定の効果が期待できるでしょう。たとえば、将来のことではなく、明日のことを考えましょう。「抽象的で漠然とした目標はネガティブ思考になりやすい」(※2)という研究結果もあるので、すぐに実現可能で明確な目標を持つことが大事です。
3.漢方薬を試す
憂うつ感には、漢方薬もおすすめです。いきなり生活習慣を変えるのは負担も大きくなりますが、漢方薬なら毎日服用すればいいだけなので、お手軽に症状をケアできます。
漢方薬は、化学物質で構成される西洋薬と異なり、植物・鉱物といった自然由来の生薬をもとに作られています。また、一般的に、漢方薬は西洋薬に比べて副作用リスクが低いといわれています。
憂うつ感に対処するには、「ホルモンバランスの乱れを整える」「消化吸収機能を高める」「血流をよくして自律神経の乱れを落ち着かせる」といったはたらきを持つ漢方薬を選びましょう。
憂うつ感が気になる方におすすめの漢方薬
・加味帰脾湯(かみきひとう):エネルギーの「気(き)」や、栄養や潤いを巡らせ、貧血や疲れやすい方の精神不安や不眠などを改善します。
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):体内の「気」の巡りをよくして、気持ちを落ち着かせ、不安や不眠を緩和します。
ただし、漢方薬を選ぶ際にはご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることもあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師などにご相談ください。
「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。
あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0207
憂うつ感が続くようならまずは病院へ
憂うつ感は、性格・環境、ホルモンバランスの変化によって起こります。憂うつ感が2週間以上続くようなら、病院の受診を検討しましょう。生活リズムを整えるなどのセルフケアも駆使しながら、心と体をいたわっていきましょう。
さて、次回は「機能性ディスペプシアなど胃腸のトラブルに『平胃散(へいいさん)』」です。ぜひご覧ください!
【参考】
(※1)ユビー病気のQ&A「うつ病の症状がある場合に、受診する目安を教えてください。」https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/1br1av4l86j
(※2)WIRED.jp「『漠然とした目標』が負の連鎖を引き起こす:研究結果」https://wired.jp/2013/07/30/depression-and-purpose/
<この記事を書いた人>
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0207