文/鈴木拓也
有史以前から日本の人々に親しまれてきた大豆と小豆。
馴染み深い食材だが、現代では、味噌、豆腐、納豆、あんこなど、加工された状態で食べることが多い。下準備や煮る手間が、調理のハードルとして感じられるからだろう。
しかし、調理済みのパック商品を利用すれば、実は簡単に豆料理は作れる。
こうした豆料理のレシピの数々を、書籍『「豆」を食べる習慣が体を守る! 蒸し豆、ゆで豆、煎り豆で作ろう』(文化出版局 https://books.bunka.ac.jp/np/isbn/9784579214587/)としてまとめたのは、今泉久美さん。
料理家・栄養士として活躍する今泉さんだが、豆を食べるようになって、「無理なくやせ、疲れにくい体になった」という。
意外にも豆は栄養の宝庫。たんぱく質、ビタミンB群、ミネラル、食物繊維などが豊富に含まれている。また、大豆イソフラボンやアントシアニンといった機能性成分も充実しており、生活習慣病の予防・改善に役立つ。ほかの食材とも相性がいいので、毎日の献立に取り入れてもOKと、いいことづくめ。
今回は、本書に収載のレシピから3点を紹介しよう。
「鶏手羽と大豆の煮物」
乾燥大豆は、栄養成分の約30%がたんぱく質を占め、「畑の肉」と呼ばれるほど。ただし、食べ過ぎは禁物。肉や魚といったほかのたんぱく源も食べることがすすめられており、「鶏手羽と大豆の煮物」は、バランスよく合わせた一品だ。
【材料(2人分)】
・蒸し大豆(ドライパック)……80g
・鶏手羽元……4本(骨付き200g)
・里芋(1cm幅の輪切り)……2個(120g)
・長ねぎ(4cm長さ)……1/2本(50g)
・しょうが(薄切り)……1かけ
・ごま油……大さじ1/2
・A:だし汁……3/4~1カップ、酒……大さじ2
・B:砂糖……大さじ1/2、しょうゆ……大さじ1
【作り方】
1. 鶏肉は水気をふき、骨に沿って縦に切れ目を入れる。
2. 里芋は塩少々(分量外)でもんで、水洗いをし、水気をふく。
3. 深めの小さいフライパンにごま油を熱し、1と長ねぎ、しょうがを入れて焼く。鶏肉の表面に焼き色がついたら、2と大豆を加えてさっと炒め合わせ、Aを加える。
4. 煮立ったらあくを取り除き、Bを加える。落しぶたをして、弱めの中火で15分ほど煮る。強火で煮汁をつめて器に盛る。
「じゃこと煎り大豆の炊き込みご飯」
節分の行事に欠かせない煎り大豆だが、料理での出番は少ない。そんな日陰の存在にスポットを当てたレシピ。
【材料(4~5人分)】
・煎り大豆……50g
・米……2合
・油揚げ……厚め1枚(60g)
・ちりめんじゃこ……大さじ3(15g)
・しょうがの薄切り……2枚
・A:酒……大さじ2、しょうゆ……大さじ1
・水……21/2カップ
【作り方】
1. 米は洗ってざるにあげ、ラップフィルムをかぶせて30分ほどおく。
2. 煎り大豆はAをふり、10分ほどおく。
3. 油揚げは油抜きをして水気をふき取り、5mm角に切る。
4. 炊飯器の内がまに1と2を入れて混ぜ、分量の水を加える。ちりめんじゃこ、3、しょうがをのせて炊く。しょうがを取り除いて、さっくりと混ぜる。
「かにかまぼことわかめと大豆のあえ物」
豆を酢につけた自家製食材を活用するレシピもいくつかある。こちらは、「蒸し大豆の酢漬け」を使ったあえ物。「蒸し大豆の酢漬け」は、ドライパックの蒸し大豆150gを密閉容器に入れ、酢を100~110ml注いで作る。冷蔵庫で約2週間保存できる。
【材料(2人分)】
・蒸し大豆の酢漬け……40g
・かに風味かまぼこ(ほぐす)……2本(20g)
・レタス(一口大)……3枚(90g)
・わかめ(塩蔵)……もどして30g
・A:水……1/2カップ、塩……小さじ1/2
・B:蒸し大豆を漬けた酢……大さじ11/2、めんつゆ(3倍濃縮タイプ)……小さじ1/2
【作り方】
1. わかめはたっぷりの水でもどして水気を絞り、食べやすく切る。
2. ボウルにAを入れて混ぜ、レタスを加えてもむ。しんなりとしたら、水気を絞る。
3. ボウルに1、2と、かに風味かまぼこ、蒸し大豆を入れ、Bであえる。
料理写真:木村拓(東京料理写真)
【今日のおいしい1冊】
『「豆」を食べる習慣が体を守る! 蒸し豆、ゆで豆、煎り豆で作ろう』
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram(https://www.instagram.com/happysuzuki/)に掲載している。