近年の披露宴での演出は、新郎新婦のみならず、ゲストを巻き込む「参加型」の演出が増加傾向にあります。しかし、いくらゲスト参加型の演出が主流になりつつあるとはいえ、ゲストへの配慮は欠かせません。

ゲストに求めることが多すぎると、相手に負担をかけ、ゲストの大切な時間を奪ってしまいます。披露宴の演出は、新郎新婦の希望と、ゲストを楽しませるバランスが大切です。

基本的に、披露宴の演出は、新郎新婦とプランナーが決めます。親が打ち合わせに関わることは稀でしょう。しかし、新郎新婦に率直な助言ができるのは、親ならではの役割です。そのためにも、今時の披露宴の演出を把握しておくと、スムーズにアドバイスができるかもしれません。

本記事では、披露宴でやってよかったと思える演出や注意点をご紹介します。

目次
披露宴での演出とは?
披露宴でやってよかった演出
披露宴を自己満足で終わらせないために
最後に

披露宴での演出とは?

会場によりますが、一般的な披露宴の所要時間は、およそ2~2時間半程度になります。披露宴の趣旨は、ゲストに新郎新婦をお披露目し、食事や歓談を楽しむものです。しかし、ほとんどの披露宴はそれだけでなく、何かしらの演出が取り入れられています。

披露宴の演出とは、映像上映やケーキカットなど、宴にメリハリをつける演出のこと。演出を取り入れることで、ゲストとともに楽しんだり、感動を共有したりすることができるでしょう。

最近の演出には、バブル時代に見られた「ゴンドラでの登場」のような派手さはなく、「ゲストと一緒になって楽しむこと」に重きが置かれている印象です。

披露宴の演出で大切なことは、

・ゲストが満足できるもの
・ゲストに感謝が伝わるもの

この2つを軸に、ゲスト全員が楽しめる演出選びを意識しましょう。

一方で、近年は少人数婚が増加していることもあり、「披露宴の演出は、なしでいいかな」と考える方がいらっしゃるかもしれません。しかし、どんな挙式形式であっても、何かしらの演出がないと、メリハリのない披露宴になる可能性があります。

披露宴でやってよかった演出

結婚式に数回参加すると、どれも似たような演出が多く、「またこれか」と思うことがあるかもしれません。しかし、最近は定番の演出にアレンジを加えたものが増えています。

ここでは、「披露宴でやってよかった」と思えるような、おすすめの演出をご紹介します。

サンクスバイト

サンクスバイトとは、新郎新婦から「感謝のしるし」として、特にお世話になったゲストを指名し、ケーキを口に運ぶ演出のことです。新郎新婦がウエディングケーキを互いに食べさせ合う、「ファーストバイト」が進化した演出といわれています。

指名されるゲストは、両家の親が多いですが、上司や友人が指名されることも珍しくありません。一方的に新郎新婦のやり取りを見ているのではなく、ゲスト参加型なので、会場全体が盛り上がるでしょう。

ムービー

ムービーは大きく分けると、

1:披露宴入場前のオープニングムービー
2:披露宴中の新郎新婦のプロフィール紹介
3:披露宴の最後のエンドロール

の3種類が存在します。

ムービー作成の注意点は、新郎新婦や家族だけの写真・映像にならないようにすることです。映像の中に、ゲストとの思い出を入れるなど、一方的にならないよう気を付ければ、ゲストは退屈しないでしょう。

披露宴にムービーは必須ではありません。しかし、ブライダル業界に勤める個人的な私の感触としては、ほとんどの方が取り入れている印象です。

サプライズ

一般的なサプライズ演出といえば、ゲストの前で「新郎から新婦へ」「新婦から新郎へ」日頃伝えられない気持ちを披露するものです。例えば、改めてプロポーズしたり、ダンスを披露することもあります。

素敵な演出ではありますが、何度も続けるのは控えましょう。理由としては、ゲストは見ているだけであり、何度も繰り返されると反応に困ってしまったり、退屈させてしまったりするでしょう。サプライズ演出には、メリハリが大切です。

サプライズ演出は、新郎新婦だけのものではありません。例えば、少人数婚であれば、ゲストひとりひとりにメッセージを伝えるのもいいでしょう。ゲスト参加型のサプライズであれば、皆で一緒に楽しめます。

中には、親から新郎新婦へ余興のサプライズをされる方もいらっしゃいます。希望する場合は、事前にプランナーに相談しましょう。

手紙

定番は「新婦から新婦の両親への手紙」です。このほか、最近は新郎が新郎の両親に手紙を読んだり、家族全員に向けた内容であるケースも見受けられます。

「ゲストの前で感情を出すのは、恥ずかしいから避けたい」と懸念される親御さんがいらっしゃるかもしれません。しかし、手紙の演出は、結婚式ならではの感動を味わえる瞬間でもあります。どうしてもゲストの前でのやり取りに違和感がある場合は、「手紙を渡すだけ」という形に変更しましょう。

披露宴を自己満足で終わらせないために

結婚式には、幅広い年齢のさまざまな立場のゲストが集まります。盛り上げる演出ばかりが続くと、年配のゲストや親族にとっては、居心地が悪くなる可能性があるので、注意が必要です。ゲストに「自己満足の演出」だと捉えられないためにも、ある程度ゲストが自由になれる時間や、新郎新婦と交流を図れる演出を心がけましょう。

ここでは、披露宴の演出を決める際に注意したいポイントをご紹介します。

お色直しが多い

近年の披露宴でのお色直しは1回が多いですが、中には2回以上、お色直しを希望される方もいらっしゃいます。会場にもよりますが、一般的なお色直しは洋装でおよそ15分程度、和装であれば着付け込みになるので、およそ30分程度かかるものです。

披露宴でお色直しが多いと、新郎新婦不在の時間が長くなります。待ち時間が長すぎると、「これは何の時間だろう」とゲストは不満をいだくかもしれません。

着用したい衣装が多い場合は、前撮りや後撮りで着ることをおすすめします。

ゲストと会話する時間がない

新郎新婦は、結婚式でやりたいことがたくさんあると、それをすべて叶えたいと考えるかもしれません。しかし、ゲストが満足できる披露宴のポイントは「演出は詰め込み過ぎない」ことといえるでしょう。

演出が盛りだくさんになると、どうしてもスケジュールが過密になってしまうものです。会場のスタッフは、スケジュールに遅れが出ないよう努めます。進行に余裕がないと、次から次へと演出をこなすことが優先になりがちです。そうなると、ゲストと会話を楽しむ時間が少なくなります。演出は適度に、余裕をもった時間配分を心がけましょう。

余興はなくても問題ない

一般的な披露宴での余興は、新郎新婦の会社の同僚・友人が引き受けるケースが多く見受けられます。しかし、その場合、内輪だけが分かる内容で、ゲスト全員の盛り上がりに欠けてしまう可能性があります。余興は「披露宴定番の演出」という印象が強いですが、必須ではありません。

余興なしでは物足りないと感じる場合、ゲストに負担をかけない一つの方法として、「プロに演奏やショーを依頼する」手段があります。従来の余興であれば、依頼されたゲストは、企画や練習時間の確保など、何かと負担がかかってしまいがちです。しかし、プロにお願いするならゲストに負担はかかりません。予算はかかりますが、どの世代のゲストでも楽しんでもらえるでしょう。

最後に

基本的に、結婚式には親しい人を招待します。しかし、親しい人の存在に甘んじることなく、自分本位にならない演出選びを心がけましょう。

結婚式や披露宴は、新郎新婦や両家のカラーが表現されるものです。やりたいことを叶える場ではありますが「親しき中にも礼儀あり」、このことわざのように、ゲストへの心遣いは忘れないようにしたいものです。

監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/

構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
https://kyotomedialine.com FB

 

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