皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。

そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第52回のテーマは、「更年期に効く漢方薬(男性・女性)」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。

つらい更年期症状には漢方が効果的

一般的に、更年期症状は女性の悩みというイメージがありますが、男性にも更年期症状はあります。女性の場合は閉経による女性ホルモンの「エストロゲン」の低下が、男性の更年期は男性ホルモンの「テストステロン」の低下が影響し、様々な不調が出てきます。

今回は、つらい更年期の不調の症状を紹介しつつ、改善するためのおすすめ漢方薬もご紹介します。まずは、3つの代表的な症状をみていきましょう。

1.憂うつやイライラ

更年期には、心の変化があらわれます。何気ないことで落ち込んでしまったり、些細なことでイライラして周囲の家族や友人につらく当たってしまったりなど、人間関係にも影響を与えてしまうこともあるでしょう。

更年期を迎える時期は、定年退職や、子どもが自立して夫婦間の時間が増えること、親の介護問題など、頭を悩ませる問題が数多くあります。そういったストレスも一因となり、心に負担がかかってしまうのです。


2.顔や手足のほてり

とくに暑いわけでもないのにいきなり顔や手足がほてり、大量の汗をかいてしまうことを「ホットフラッシュ」といいます。寝起きにびっしょりと汗をかいている場合もあります。ホルモンの低下が自律神経に影響を与えてしまうため起こります。

自律神経が不調になると、血管の収縮や拡張といった体温調節や発汗のコントロールもうまくいかなくなります。ホットフラッシュの症状は1日のうちに何度も起こる場合もあり、抑えようと思っても抑えられないのが特徴です。


3.肩こりや頭痛

肩や首、背中がこる、腰や関節が痛むといった症状は、自律神経の乱れが血行不良を引き起こすことでおきます。男性にもみられますが、筋力が弱い女性に比較的多い症状です。日頃の運動不足や過労、精神的なストレスも影響します。

また、頭痛や頭が重くなるのも更年期を代表する症状のひとつです。こういった不調には、「更年期になると痛み自体に敏感になってしまう」という理由もあります。

更年期症状を和らげる漢方薬

更年期症状の治療では、ホルモン補充療法や向精神薬以外に、自然由来の治療薬として漢方薬も標準治療のひとつになっています。

漢方薬は、更年期症状の原因となる、血流や自律神経、ホルモンバランスの乱れを整えることで、心身の不調の根本改善を目指します。

また、更年期におこす精神症状(イライラや落ち込みなど)、身体症状(腹痛や関節痛など)、血管に関する症状(ホットフラッシュやほてりなど)にもアプローチができるでしょう。

漢方薬は自然の生薬の組み合わせで作られており、心と体のバランスを回復させるため、様々な不調を訴える更年期女性に対しては特に有効とされています。

以下では、更年期症状ごとのおすすめ漢方薬をご紹介します。なぜ更年期にこの漢方薬が効くのかという、効能も併せて解説していきます。

1.憂うつやイライラを感じる人に効く漢方薬

憂鬱な気分やイライラが募る女性の更年期症状には、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」が適しています。「気」の流れをよくすることで、精神的症状に働きかけます。のぼせやほてりなどの自律神経系の不調や生理不順などにも用いられます。

体力が中等度以上の男性なら、「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」がおすすめです。「気」のうっ滞を取り除き、精神の緊張を和らげることで、イライラや精神不安、不眠に用いられます。


2.顔や手足のほてりを感じる人に効く漢方薬

更年期の体のほてり、ホットフラッシュには「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)」がおすすめです。「腎」の機能を高めることで、体のほてりやのぼせを抑えます。

また、体力中等度以上の場合は「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」もおすすめです。「気」の巡りをよくして体にこもっている熱を冷ますことで、のぼせに働きかけます。


3.肩こりや頭痛を感じる人に効く漢方薬

「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、「血」と「水」の巡りをよくして、肩こりや頭重を和らげ、冷えも改善します。女性特有の月経痛や月経異常のほか、男性にも用いられる漢方薬です。

比較的体力がある方には「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が用いられる場合もあります。滞った「血」を取り除き流れをよくすることで、肩こりや頭痛、のぼせに働きかけます。

漢方は体質との相性で正しく選ぼう

漢方でもっとも大事なのは「体質と症状とのバランス」です。漢方は、患者ごとの体質を重要視し、バランスを整えるという考え方をもとにしています。

「病気を診る」西洋医学とは違い、「病人を診る」のが漢方医学の根本的な考え方です。原因がわからない状態の不調に対処できるのも漢方の強みで、体調を診ながら処方を行います。

漢方には体質を判断する様々な「ものさし」があり、適切な診断、そして処方により成り立っています。この診断と処方は、漢方を基礎から学んだ医師や薬剤師などのプロしか行えません。

そして、「もっと気軽に漢方を生活にとり入れたい」という方におすすめなのが、あんしん漢方です。ネットで簡単に利用できる漢方サービスで、診断、処方、漢方薬の購入までスマホひとつで行えます。

必要に応じて漢方医師に相談も行えるので、実際の病院に通う感覚で利用できます。専門のアドバイザーが体質と症状をしっかり見極め、オーダーメイドのように漢方を提供してくれるサービスです。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0127

更年期症状は男女共通の悩み

更年期症状は女性だけでなく、男性も発症します。加齢によりホルモンが減少してバランスが変化すると、体の様々な部分に不調があらわれます。

更年期症状は憂鬱やイライラ感、ほてりやめまい、頭痛など幅が広く、生活にも影響を及ぼします。食事、運動、睡眠など、日々の生活習慣にも気をつけ、健やかに過ごしていきましょう。

さて、次回は「腰に効く漢方薬(痛み・冷え)」です。ぜひご覧ください!

<この記事を書いた人>


あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
竹田由子
元漢方・生薬認定薬剤師。大学院で臨床薬学を専攻、日米で病院研修を受ける。病院薬剤師として10年間入院患者を担当しながら、化学療法・医薬品情報担当としても活動する。
患者さんから「本音を話しやすい」と言われ関わるうちに、日常のセルフケアの大切さを痛感。転居後は薬局に勤務する傍ら、ライターとしても活動する。病院時代の上司が漢方好きで、漢方の凄さを体感し魅了され「日常の不調はまず漢方」と生活している。
現在は、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0127

 

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