文/中村康宏、内本菜穂
前回(https://serai.jp/health/1076242)はがんを発生させる危険因子や、がんを抑えるための食事に関して紹介しましたが、今回は人間の体の中でがん細胞の発生を抑えてくれているナチュラルキラー細胞(Naturalkiller細胞、以下NK細胞)についてや、そのNK細胞を活性化し、発がんを抑える生活習慣を解説していきます。
発がんを抑えてくれるNK細胞
人間の体の中では日々、新しい細胞が作られ、古い細胞が死滅を繰り返しています。
正常な細胞は、増殖がコントロールされており、必要以上に増える事はありませんが、がん細胞は正常な細胞の遺伝子に傷がつくことで発生し、それが増殖して周囲の正常な組織を破壊します。
体の中では、このようながん細胞や遺伝子に傷がついた細胞が日常的に発生していると考えられていますが、体内に備わった免疫力によってがん細胞を排除し、発がんを抑えてくれています。
このように、異常な細胞を修復したり、排除する働きのある免疫細胞のひとつがNK細胞(ナチュラルキラー細胞)です。
NK細胞の働きには個人差があり、NK細胞の働きが強い人ほどがんにかかる危険度は下がります。
NK細胞の働きは生活習慣の影響を大きく受ける事から、現状、働きが弱い方でも、今から働きを強めるような生活習慣を意識するだけでも発がん予防に繋がります。(※1)
※1: 国立がん研究センター
NK細胞を活性化させる生活習慣
NK細胞は、喫煙や過度なストレスなどで働きが弱くなります。
逆に、リラックスした時間を過ごす、日々笑うことを意識するなどでストレスが解消されるとNK細胞も活性化されます。
国立がん研究センターのHPには、「がんを防ぐための新12か条」(※2)が掲載されており、日々の生活の中で意識して取り組むことで発がんリスクを抑えることができます。
がんを防ぐための新12か条
1.たばこは吸わない
2.他人のたばこの煙を避ける
3.お酒はほどほどに
4.バランスのとれた食生活を
5.塩辛い食品は控えめに
6.野菜や果物は不足にならないように
7.適度に運動
8.適切な体重維持
9.ウイルスや細菌の感染予防と治療
10.定期的ながん検診を
11.身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
12.正しいがん情報でがんを知ることから
※2: https://www.fpcr.or.jp/data_files/view/75/mode:inline
医学が進んだ今では、がんは恐れることのない病気と言われるようになりました。
それでも、がんを患ってから「あの時こうしていれば……」と後悔する事の無いよう、日々の生活の中で発がんのリスクを抑える工夫をしていきましょう。
文/中村康宏
医師。虎ノ門中村クリニック院長。アメリカ公衆衛生学修士。関西医科大学卒業後、虎の門病院で勤務。予防の必要性を痛感し、アメリカ・ニューヨークへ留学。予防サービスが充実したクリニック等での研修を通して予防医療の最前線を学ぶ。また、米大学院で予防医療の研究に従事。同公衆衛生修士課程修了。帰国後、日本初のアメリカ抗加齢学会施設認定を受けた「虎の門中村康宏クリニック」にて院長。一般内科診療から健康増進・アンチエイジング医療までの幅広い医療を、予防的観点から提供している。近著に「HEALTH LITERACY NYセレブたちがパフォーマンスを最大に上げるためにやっていること」(主婦の友社刊)がある。
【クリニック情報】
虎の門中村クリニック
ホームページ:https://toranyc.com
住所:東京都港区虎ノ門3丁目10-4 虎ノ門ガーデン103
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