
皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。第16回のテーマは、「五味(ごみ)とは?」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。
五味(ごみ)とは?

「五味」とは、「甘(かん)辛(しん)、苦(く)、鹹(かん)、酸(さん)」という5種類の味のことです。漢方における五味は単なる味だけではなく、性質や体への作用も示しています。とくに、五臓(肝、心、脾、肺、腎)とは深い関わりがあり、それぞれが影響しあい相克関係にもなっています。
今回は、漢方の五味の性質や食材、五臓との関係について解説していきます。
五味の性質と代表的な食材
まずは、五味それぞれの性質やもたらす作用、代表的な食材を見ていきましょう。五味の特徴がわかれば体の不調にも対処しやすくなります。
1.甘(かん)

「甘」は痛みをとって和らげ、緊張を緩めるはたらきがあるほか、滋養強壮にも関係しています。様々な食材に含まれていますが、摂りすぎると胃もたれや体がだるくなることがあります。
■代表的な食材
砂糖、牛乳、大豆、鶏肉、マグロ、ナス、ヤマイモ、シイタケなど
2.辛(しん)

「辛」は「気・血・水」を全身に巡らせるはたらきがあり、発汗や血行不良に関わっています。摂りすぎると汗の排出しすぎで、乾燥を引き起こす場合があります。
■代表的な食材
酒、ワイン、大根、落花生、ショウガ、サトイモなど
3.苦(く)

「苦」は体の熱をとり、鎮静させる作用があるほか、利尿・便通をよくします。のぼせや炎症、高熱などに用いられますが、摂りすぎると肌がかさつき、体の冷えの原因になります。
■代表的な食材
お茶、ゴボウ、ホウレンソウ、春菊、ヨモギ、フキなど
4.鹹(かん)

「鹹」とは塩からさのことです。便秘や肥満を改善する作用があり、しこりや老化防止などにも用いられることもあります。摂りすぎると血圧が上がり、小腸や腎にも影響を及ぼします。
■代表的な食材
食塩、味噌、醤油、納豆、昆布、アサリ、ハマグリ、イワシ、サバなど
5.酸(さん)

「酸」は多汗や頻尿症状を改善し、体の水分が出すぎないように調節します。下痢や出血などにも用いられますが、摂りすぎると尿や胃に不調があらわれます。
■代表的な食材
酢、梅、リンゴ、レモン、スモモ、アンズなど
五味と五臓の関係

体のある部分のはたらきが低下し弱ってくると、五味のいずれかを欲するようになります。また、弱っているときに摂りすぎてはいけないものもあります。これを「五禁」といいます。五味と五臓の関係については以下の通りです。
■甘
脾臓と胃、口に関係します。腎が弱っている方は控えめに。
■辛
肺と大腸、鼻に関係します。肝が弱っている方は控えめに。
■苦
心臓、小腸、舌に関係します。肺が弱っている方は控えめに。
■鹹
腎臓、膀胱、耳に関係します。心が弱っている方は控えめに。
■酸
肝臓、胆、目に関係します。脾が弱っている方は控えめに。
求める味によって、体のどの部位に不調があるかがわかります。なお、五味は漢方の基本の考え方と同様に、バランスが重要です。五味のバランスがとれている食事を続けることが健康づくりにも役立ちます。
漢方は「体質との相性」が重要

漢方薬は西洋薬と異なり、症状を根本から改善することを目的としています。よって、人それぞれの症状や体質に合った適切な薬を処方(オーダーメイド)するのです。
いくらいい薬でもその人に合っていなければ意味はなく、効果が半減したり、副作用のリスクがあったりすることもあります。
そこで重要になるのが、医師や薬剤師などの漢方に精通したプロによる正しい診断と処方です。「なぜこの漢方薬を処方するのか」という部分が明確で、逆にきちんと説明できなければ専門家ではありません。漢方薬は体のなかに入るものですから、「なんとなく決める」のは危険です。
症状の改善度合いに応じて処方する量を調整し、漢方薬自体を変更するのも医師や薬剤師でなければできない判断です。
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五味は不調を知り改善のきっかけになる重要な要素!

漢方における「五味」は、一般的に使用される言葉よりも広く深い意味を持ちます。五味を摂取することで体の不調を改善し、欲する種類によって不調な部位がわかります。
漢方の基礎的な考え方にも通じますが、五味においてもバランスが大事です。そのため、日々の食事に偏りをなくすことが健康に過ごす秘訣です。
さて、次回のテーマは「舌について」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
竹田由子
元漢方・生薬認定薬剤師。大学院で臨床薬学を専攻、日米で病院研修を受ける。病院薬剤師として10年間入院患者を担当しながら、化学療法・医薬品情報担当としても活動する。
患者さんから「本音を話しやすい」と言われ関わるうちに、日常のセルフケアの大切さを痛感。転居後は薬局に勤務する傍ら、ライターとしても活動する。病院時代の上司が漢方好きで、漢方の凄さを体感し魅了され「日常の不調はまず漢方」と生活している。
現在は、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。
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