PMSは、生理(月経)前に3日から10日の間続く身体的あるいは精神的症状で、生理開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。その症状も程度は人によって異なり、女性同士ですら理解に差のある健康課題です。身体の構造が異なる男性にとっては無縁の悩みですが、身近な人が苦しんでいる内容を知ることで、思いやりのある行動をとれるかもしれません。
そこで、(株)エムティーアイ(https://www.mti.co.jp)が運営する健康情報サービス「ルナルナ」では、多くの女性が悩む「月経前症候群(以下、PMS)」に関する意識調査を行いましたので、ご紹介します。
多くの女性が一人でその苦しみを抱え、つらい思いをしている内容について、詳しく知る参考にしてください。
PMS(月経前症候群)を感じる女性は94.5%!
Q. PMS(月経前症候群)による身体的・精神的な症状を感じたことがありますか。
まずPMSによる症状を感じたことがある女性がどの程度いるかを聞いた結果、「症状を感じたことがない」と回答した人はわずか5.5%にとどまり、PMSが多くの女性にとって非常に身近な健康課題であることがうかがえます。
Q. いつ頃から感じはじめますか。
続いて、PMSを感じる期間について聞きました。最も多いのは「生理日の10日〜6日前」で48.3%、次いで「生理日の5日~3日前」が34.6%となりました。
PMSの期間は人によってばらつきがあるようですが、仮に生理日の10日前から症状があったとすると、PMSでも生理でもない期間は1か月のうち10日ほどしかない計算となり、大事な予定の際に体調を万全に整えることの難しさなどを考えさせられます。
Q.いつが一番つらいですか。
PMSの症状がピークになる時期として最も多い回答は「生理日の2日〜直前」40.6%となり、次いで「生理日の5日〜3日前」36.6%でした。
具体的な症状とは
では、具体的にどのような症状を抱えているのでしょうか。
Q. PMSの症状として、どのような身体的症状を感じたことがありますか。(複数回答:上位7つ)
「下腹部痛」、「乳房がはる」については過半数の人が感じていました。また、「肌あれ・ニキビができる」、「頭痛」、「腰痛」なども4割以上の人が回答しており、自由回答では眠気を感じるという声も多く集まりました。
身体に痛みを伴う症状から肌の不調まで、PMSには様々な身体的症状があることが改めてわかります。
Q. PMSの症状として、どのような精神的症状を感じたことがありますか。(複数回答:上位7つ)
症状にはもちろん個人差がありますが、「イライラ」に関しては8割以上が経験しているという結果となり、代表的な症状のひとつと言えそうです。そのほか、「怒りっぽくなる」、「倦怠感」などが挙げられ、自由回答では「涙もろくなる」という声も多数寄せられました。
身体的症状と比べて精神的な症状は、症状を感じても原因すらわからず、対処法もわからないため、本人も困っている場合があります。周りの人がPMS症状について知識を持っていれば、女性が感じているつらさや苦しさに寄り添いやすくなるかもしれません。
人にあたってしまう、喧嘩してしまう、など自責の念に駆られている女性が多数
PMSの症状による失敗談や反省があるかを聞いてみると様々な自由回答が寄せられたので、その一部を紹介します。
対人関係のエピソード
・相手にとって私の存在価値はないのではないかと思い、しんどくなる。
・相手の思いやりに応えられない自分が嫌だった。
・嫉妬心や不安な気持ちが強くなり、不安、不満をより感じてしまう。相手に吐き出すことも出来ず、自分の中でもやもやが溜まり、泣いたり悪い方向へ考えてしまったりする。
・愚痴をたくさん言ってしまった。話す気力がなくなって急に対応が雑になってしまった。普段全く泣かないのに号泣してしまった。
・離婚の話になるほど喧嘩したり、娘に怒りすぎたり。
仕事・家事関係のエピソード
・やる気が出ず身体がだるく、数日間出社せず寝続けてしまった。
・感情に任せて上司と口論や冷戦に。
・集中力低下のため、失敗するというよりは、普段より不安や心配が増えます。確認が多くなり、慎重になったり判断が遅かったりします。
・納期がある仕事をうまくこなせなかった。
体調に関するエピソード
・便秘気味になるのに、なぜか食欲が抑えられず、つい食べ過ぎてしまい、体重が増えてしまった。
・身体的にも起き上がれなくなり、常に倦怠感、腰痛、胸のはり、時に頭痛、そしてやる気が全く出ず非常に苦しい。
PMSの対処法は? 低用量ピルや漢方薬などでの治療も
PMSに詳しい医師に、コメントを伺いましたのでご紹介します。
≪成城松村クリニック 院長 松村圭子先生からのコメント≫
本調査結果から、PMSを感じている女性が94.5%にものぼることがわかりました。月経トラブルだけでなくPMSも、社会全体で改善していくべき女性の健康課題であると改めて感じます。PMSの症状は個人差が大きいですが、低用量ピルや漢方薬などでの治療で改善が期待できる疾患です。身体的な症状でも、精神的な症状でも、症状を抱える本人が困っているのなら、その時点で婦人科を受診して欲しいと思います。
また、PMSに関する周囲の知識・理解不足によって女性がつらい思いを抱え、治療から遠ざかることのないよう、性別を問わず社会全体のリテラシーを向上させていくことが必要です。
PMSについて一人ひとりが考え、我慢しながら日々を送っている女性が、PMSは自分のせいではないということを理解し、適切なケアに結びつけられること、またそれに気づいてくれる人が増えることを願っています。
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PMSの正しい知識を持てば、今まで見えてこなかった身近な人の些細な変化やその背景に気が付くかもしれません。もし「母が」「娘が」「パートナーが」、またはあなたの身近な人が知らないうちに苦しんでいたとしたら? そのような小さな想像力が、PMSでつらい思いをしている女性の支援になります。まずは知ることからです。
調査実施時期:2021年10月22日(金)~2021年10月25日(月)
調査方法:『ルナルナ』、『ルナルナ 体温ノート』、『ルナルナ ベビー』にて調査
14歳以上の女性:3,922名