ダイエットといえば、あまいものやコクがある味の濃い食べものを我慢するという方法が一般的ですよね。しかし、「◯◯制限」などのダイエット法は、ストレスがかかって続かなかったり、リバウンドしたり、代謝が低下してやせにくくなってしまったり……。これでは一向に結果が出ません。
そこで、10万人ものダイエットをサポートしてきた医師・工藤孝文先生の著書『コクあま幸せダイエット』から、「あまいものをたべつつ、痩せる」という画期的なダイエット法をご紹介します。
文/工藤孝文
ダイエットにフラクトオリゴ糖がいい理由
フラクトオリゴ糖とは、一体どんな甘味料なのでしょうか? あまい調味料といえば、まずは砂糖、はちみつ。砂糖は強いあま味を持ちますが、精製しているため構造が単純で体内に吸収されやすく、多く摂ると血糖値が急上昇することが知られています。はちみつはコクがあるあま味が魅力的ですが、これも血糖値を上げやすいことを覚えておきましょう。
フラクトオリゴ糖もそのひとつである「オリゴ糖」は、糖質の中でも「多糖類」といわれ、ブドウ糖や果糖が2~10個、複数結合したものです。
ブドウ糖単体である砂糖などとは違い、糖類がいくつもくっついた構造となっているため、腸で吸収することができないのが「難消化性オリゴ糖」です。ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース(ビートオリゴ糖)などさまざまな種類があります。フラクトオリゴ糖は、サトウキビなどから作られた自然由来の甘味料です。
いろいろな種類がある難消化性オリゴ糖はそれぞれ研究が進んでいて、血糖値を上げない、整腸作用があるなど、同様の健康効果がうたわれています。
中でも、「コクあま幸せダイエット」でフラクトオリゴ糖に注目した理由は、第1に誕生から約40年経っており、研究が進み論文数が多いからです。また、体によい効果を得るために必要な量が1日1gと少量で、取り入れやすいというのもポイント。さらに善玉菌だけを増やすので、整腸効果が高いのもおすすめの理由です。
フラクトオリゴ糖の特徴とは
1 砂糖の代わりに使える安心安全の甘味料
フラクトオリゴ糖は、1983年に砂糖に代わる新しい甘味料として生まれました。35 年以上幅広く使われている実績があり、研究も進んでいる安心できる甘味料です。フラクトオリゴ糖の天然由来の味質は、砂糖に近いさわやかなあまさ。甘味度は砂糖の30%程度と若干穏やかですが、あま味が舌に早く感じられ、後をひかないところが砂糖にとても近く、違和感を覚えることなく置き換えられます。
2 砂糖と比べると、カロリーは約半分
フラクトオリゴ糖は、単糖類がいくつも結合している構造のため、人の消化器官では消化・吸収されずに大腸までたどりつきます。そのため体内で、エネルギーになりにくい甘味料です。砂糖のカロリーは大さじ1杯あたり、上白糖で35kcal、はちみつなら65kcalあります。しかしながらフラクトオリゴ糖のカロリーは、砂糖の約半分ほど。大さじ1杯で18kcal ほどです。
3 そのまま大腸に届くから、腸内環境の改善に大きく貢献する
胃や小腸で吸収されず、そのまま大腸まで入っていき、善玉菌のエサになります。善玉菌はフラクトオリゴ糖をエサにしてどんどん増え、フラクトオリゴ糖を1日3g摂るとビフィズス菌が3.2 倍に増えたという研究結果もあり、腸内環境の改善に役立ちます。また善玉菌はフラクトオリゴ糖をエサに短鎖脂肪酸も産生し、やせやすい体作りをサポートしてくれます。
4 血糖値がほとんど上昇しない
フラクトオリゴ糖は人の消化酵素では分解できないため、糖として血液中に吸収されません。このため、砂糖などのほかの甘味料と違って、フラクトオリゴ糖を摂っても血糖値が上のグラフのようにほとんど上昇しないのです。血糖値が上がりにくいのでインスリンの分泌が抑えられ、インスリンが行う血糖を中性脂肪にしてため込む働きも行われにくくなります。まさにダイエットの味方の甘味料なのです。
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『コクあま幸せダイエット』工藤孝文 著
アスコム
工藤孝文(くどう・たかふみ)
福岡県みやま市出身。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療に力を注ぐ。専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方医療・ダイエット治療など多岐にわたる。「より多くの人の病気を予防する」をモットーに、医療、健康に関する情報発信を積極的に行っており、NHK「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などのTVをはじめ、さまざまなメディアに出演している。著作も多く『1日1杯飲むだけダイエット やせる出汁』(アスコム)は15万部を超えるベストセラーになっている。