ダイエットといえば、あまいものやコクがある味の濃い食べものを我慢するという方法が一般的ですよね。しかし、「◯◯制限」などのダイエット法は、ストレスがかかって続かなかったり、リバウンドしたり、代謝が低下してやせにくくなってしまったり……。これでは一向に結果が出ません。
そこで、10万人ものダイエットをサポートしてきた医師・工藤孝文先生の著書『コクあま幸せダイエット』から、「あまいものをたべつつ、痩せる」という画期的なダイエット法をご紹介します。
文/工藤孝文
ダイエットの天敵・ドカ食いから「新しい糖質」がレスキューしてくれる
10万人以上のダイエットのサポートをしてきた私が、大切なことをいいます。「やせない原因」は、ずばり、「やせたいのに、食べてしまう」ことです。
「……いや、わかってるんだけど……」と皆さんが呆れ顔を浮かべながらつぶやいている声が聞こえてきそうですが、もう少しお付き合いください。
それでは、太るとわかっているのになぜ食べすぎてしまうのでしょう? その原因はストレスが大きいのです。
空腹感には「生理的なもの」と「心理的なもの」の2種類があります。「生理的な空腹感」とは、体がエネルギー不足を補うために食事を求めている状態。正常な食欲なので、お腹がいっぱいになれば食欲も収まり、食べるのを自然にやめられます。一方、「心理的な空腹感」は、不安やイライラなどのストレスを紛らわすために食べたくなること。イヤなことがあった夜にヤケ食いしたり、ドカ食いしてしまったりするのは、この「心理的な空腹感」が犯人です。
そして心理的な空腹感は、体が求めているのではなく脳が求めているため、満腹になってもなかなか満足感が訪れず、ついつい食べすぎてしまうのが特徴です。まさにデブの素、ダイエットの天敵ともいえるでしょう。この攻撃から逃れるいい手があります。
あまいものを食べると分泌される「セロトニン」はストレスを和らげる働きがあります。あま味を感じると分泌されるホルモン「β−エンドルフィン」にも、幸福感を感じさせてくれる働きがあります。あまいものにはストレスを発散し、心を落ち着かせるパワーがあるのです。
だからといって、砂糖を使ったあまいケーキやお菓子を際限なく食べれば、大量に摂った糖分が中性脂肪となり、太ってしまうのは当然です。そこで、あま味を摂取してドカ食いを抑えながら、なおかつ太りにくい新しい糖質、「フラクトオリゴ糖」の出番なのです。
太る・太らないの新基準に注目!「食後血糖値」の急上昇を防ぐ
「コクあま幸せダイエット」のポイントとなる新しい糖質・フラクトオリゴ糖。それについて説明する前に、そもそも糖質を摂るとなぜ太るのかを見ていきましょう。
食事で摂った糖質は、胃や腸の消化管で分解・吸収され、ブドウ糖として血液に流れ込みます。ブドウ糖が入ってくると、すい臓はインスリンというホルモンを分泌してブドウ糖を細胞に送り込み、そこでエネルギー源として消費されます。その結果、一時的に高くなったブドウ糖の濃度(血糖値)を元に戻してくれるのです。
しかし、たくさんの糖質が体内に入り、血中に大量のブドウ糖が一気に流れ込むと、すい臓が「間に合わない!」と慌てて、インスリンを大量に放出します。すると、エネルギーに変えるのではなく、脂肪の合成を促進してしまい、余分な糖分を中性脂肪に変えてしまいます。これが、体内に蓄積されて、その結果、太ってしまうのです。
さらにいえば、必要以上に血中のブドウ糖が吸収されるため、急上昇した血糖値が一気に降下。すると体がエネルギー不足だと勘違いして空腹感を覚え、また食べてしまうという悪循環にも陥るのです。
血糖値が急激に上がって、急激に下がる。これを「血糖値スパイク」といい、ダイエットをする私たちの天敵となります。この天敵を打ち負かすためには、食後の血糖値の急上昇を防ぐことです。つまり、食後の血糖値が上がらない糖質=太りにくい糖質を摂ることなのです。そして、フラクトオリゴ糖は、糖質でありながら食後の血糖値が上がらないことが、実験によって証明されているのです。
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『コクあま幸せダイエット』工藤孝文 著
アスコム
工藤孝文(くどう・たかふみ)
福岡県みやま市出身。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療に力を注ぐ。専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方医療・ダイエット治療など多岐にわたる。「より多くの人の病気を予防する」をモットーに、医療、健康に関する情報発信を積極的に行っており、NHK「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などのTVをはじめ、さまざまなメディアに出演している。著作も多く『1日1杯飲むだけダイエット やせる出汁』(アスコム)は15万部を超えるベストセラーになっている。