皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第1回のテーマは、「漢方薬とは? 」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、篠原明宏さんに教えてもらいました。
漢方薬ってどんなもの?
漢方薬とは、自然由来の成分である「生薬」を組み合わせて作られた薬です。長い歴史のなかで、生薬の量や組み合わせを検証し、薬として確立されました。
そもそも「漢方」は、中国から伝わり日本で独自の進化を遂げた、日本古来の医学です。中国独自に伝わってきた「中医学」とは区別され、日本独自の伝統医学を「漢方医学」と呼びます。
漢方というと「漢方薬」だけを思い浮かべがちですが、ほかにも、睡眠や入浴、運動、食事、ツボや鍼灸といった様々なセルフケア方法も含まれます。
漢方医学では、「体にもともと備わっている治癒力を高めることで不調を治す」が基本の考え方。症状を体質から根本的に改善することを目的とするため、西洋医学の対症療法とは大きく異なります。
西洋医学では、熱があれば熱を下げたり、痛みがあれば痛みを止めたりなど、症状に対して局所的な治療を行います。対して、漢方では体全体のバランスを整えることで、症状の根本原因に対処できるのです。
また、西洋医学だけではカバーできない範囲を補う目的でも、漢方薬はよく用いられます。カバーできない範囲とは、たとえば「病名がつかないとき」や、「適合する薬がないとき」など。更年期に伴って生じる「なんとなく調子が悪い」といった不調や、冷えなどの体質からくる不調にも、漢方薬が適しているといえます。
生薬にはどんなものがあるの?
漢方薬の原料となる「生薬」とは、薬効のある自然由来の植物や動物、鉱物などを原料としたもの。
たとえば、みかんの皮なども漢方では陳皮(ちんぴ)と呼ばれ、薬効があるといわれています。ほかにも、植物として有名なハトムギの種は単体で医薬品として用いられることもあり、ヨクイニンという名前で肌荒れやイボなどに効果が認められています。
生薬には数百もの種類があり、一般的には複数の生薬を組み合わせて漢方薬が作られます。
たとえば、更年期症状に対し処方される「加味逍遙散(かみしょうようさん)」は産婦人科の三大漢方薬といわれますが、以下のような生薬が組み合わされてできています。
・当帰(とうき)……セリ科の植物。湯通しして乾燥させた根を用いる
・柴胡(さいこ)……セリ科の植物。乾燥させた根を用いる
・芍薬(しゃくやく)……ボタン科の植物。乾燥させた根を用いる
・生姜(しょうきょう)……ショウガ。乾燥させた根茎を用いる
・薄荷(はっか)……植物のミント。乾燥させた葉茎を用いる
・山梔子(さんしし)……クチナシの果実を乾燥して用いる
・牡丹皮(ぼたんぴ)……ボタン科の植物。根皮を用いる
・甘草(かんぞう)……マメ科カンゾウ属の植物。根などを乾燥させ用いる
・白朮(びゃくじゅつ)……キク科の植物。乾燥させた根茎を用いる
上記の生薬の組み合わせでできた加味逍遙散は、月経異常や更年期障害のほか、冷え性や不眠症といった症状に対しても効果があるとされています。
このように、漢方薬は複数の生薬を組み合わせることで、さまざまなな症状に対処できるよう構成されているのです。
ハーブ・民間薬・サプリメントとの違い
ハーブは漢方薬と似た存在ですが、いろいろな生薬を原料としている漢方薬と違い、ハーブは基本的に植物を元にした生薬が使われています。日本では薬効が認められていないものが多いのも、ハーブの特徴です。
また、漢方薬は民間薬やサプリメントとも違います。民間薬は庶民の間に脈々と受け継がれてきたものです。サプリメントは分類としては補助食品にあたり、あくまでも足りない栄養素を補給するという目的で使用されるもの。そのため、病気の治療に使われる薬とは根本的に異なります。
このように、漢方薬とハーブ、民間薬、サプリメントの目的や役割にはそれぞれ違いがあります。漢方薬は先人たちが長い年月を費やし効果を検証してきたもので、信頼性と実績が認められています。
漢方薬って本当に効くの?
ここまでご紹介してきて、「漢方薬って本当に効くの?」と思われた方もいるかと思います。自然由来の成分と聞くと、効果があるのか疑問に思うかもしれませんね。
基本的に、漢方薬は医薬品として認められている薬のため、体質に合っていれば高い効果を得られるといえます。効果と安全性が認められている医薬品であり、処方を行っている医師の割合は9割以上にのぼります。
ここでは、漢方薬が得意とする症状に触れ、即効性があるのか、リスクはないのかなどについてご紹介していきます。
漢方薬がよく使われる症状
漢方薬は、理想の健康を目的とした体質の改善を得意としています。心と体のバランスを整えることで、体質から不調を根本的に改善していくのです。
漢方薬がよく使われる症状としては、たとえば、虚弱体質やアレルギー疾患、更年期症状、イラつきや不眠といった精神症状などで、用途と効果は多岐にわたります。ニキビやくすみ、シミなどの肌トラブルに対応する漢方薬もあります。
また、男性の不妊症やED治療にも使われることがあります。男性の更年期症状によるだるさ、気力のなさ、疲れやすさなどにも、漢方薬の効果が認められているのです。
即効性はない?
慢性的な症状に用いられるというイメージの強い漢方薬。しかし、なかには即効性のある漢方薬も存在します。
たとえば「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」は、急性期のこむら返りに対して処方される代表的な漢方薬のひとつです。こむら返りだけでなく、月経痛、腰痛や腹痛、尿路結石の発作時など、痛みが出てつらいときにも用いられます。
また、片頭痛に使う「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」も有名です。即効性のある呉茱萸湯は、片頭痛のほか、吐き気や手足の冷えの改善にも役立ちます。
冷えや更年期の不調など、慢性的な症状に用いる場合も、何か月も効果がでないわけではありません。実際に、筆者の所属する「あんしん漢方」では、1週間で75%の方が効果を感じていらっしゃいます。
好転反応が起こることも
漢方薬を服用後、一時的に症状が強くなる場合があります。同時にだるさや発熱が起こることもありますが、これらは「好転反応」と呼ばれ、副作用とは区別されます。好転反応とは、からだが正常な状態に戻るときに起こる、一時的な現象です。
あくまで一過性のものですが、好転反応か副作用かは見分けが難しい場合があります。異常を感じる場合は、素人判断を行わず、病院できちんと診てもらいましょう。
漢方薬にも副作用はある?
漢方薬を構成している生薬は副作用のリスクが西洋薬に比べて少ないといわれますが、それでもゼロではありません。副作用が起こるときのいちばん多い原因は、服用する際に用法用量を守らないことです。
気をつけなければいけないのが、市販薬品に生薬が含まれている場合です。意図せず生薬の重複が起き、効き目が強く出てしまう場合があります。漢方薬と他の薬品を併用する場合は、必ず専門家に相談してください。
「漢方に精通した医師や薬剤師等に気軽に相談したい」という場合は、スマホからでも簡単に利用できる「あんしん漢方」がおすすめです。
AI(人工知能)を活用している「オンライン個別相談」で、漢方に詳しいプロがあなたの体質に合った漢方薬を見極めてくれるうえ、自宅にいながらすぐ漢方薬を購入できます。
自分の不調に漢方薬を試してみたいと思われた方は、ぜひ一度ご相談ください。
根本からの改善をめざす漢方薬
漢方薬は長い年月をかけて作り出された人類の叡智の結晶です。医療現場でも当たり前のように使用されていて、西洋医学とは異なる治療を行えることに価値があります。
「慢性的な症状に悩んでいる」「西洋薬は依存性が怖い」という方にも、漢方薬は助け舟になってくれることでしょう。
<この記事を書いた人>
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0076