本コーナーでは「大人の養生法」をテーマとして、西洋医学ではなかなか答えが得られない健康上の悩みに対して、現代版の養生訓になる読み物を目指しています。養生といえば、江戸時代に書かれた貝原益軒が記した「養生訓」が有名ですが、貝原益軒は「季節ごとの気温や湿度などの変化に合わせた体調の管理をすることにより、初めて健康な身体での長寿が得られる」として、食事や生活習慣、漢方薬の紹介をしています。
さて、前回は二日酔いでも「のぼせて嘔吐してしまうような」二日酔いについて扱いましたが、他にもどんな状態がみられるのでしょうか。慶應義塾大学教授の渡辺先生にお聞きしました。
「漢方医学では、二日酔いの状態を大まかに二つに分けています。一つは気逆証(きぎゃくしょう)+熱証(ねつしょう)と呼ばれ、前回お話しましたね。
もう一つは水毒証(すいどくしょう)+熱証(ねつしょう)と呼ばれ、身体がむくんで重い、めまいがする、たちくらみがする、クルマ酔いしやすい、身体が熱いと感じる、ほてるといった症状が中心の状態です」
たしかに、私は二日酔いの時、吐き気がしないまでも、翌朝、身体がとてもむくむ時があります。まさにそんな状態ではないでしょうか。
「はい、その通りです。この状態は、漢方医学では身体の中の水の分布が乱れたために、顔が腫れぼったくて頭がぼーっとするのに、尿の量は少なくなってしまうと考えられているのです」