「醤(ひしお)」は、何にでも使える発酵調味料です。古代の醤は、魚、獣肉、大豆などに麹(こうじ)と塩を加えて発酵させ、熟成させた塩辛風のもので、調味料として重用されてきました。しょうゆよりもまろやかな風味で、いろいろな料理に使えて便利です。
そこで、発酵料理専門家の清水紫織さんの著書『はじめてでも、とびきりおいしくなる!発酵料理のきほん』から、基本の醤の作り方、醤を使った簡単料理をご紹介します。
文/清水紫織 撮影/野口健志
「醤(ひしお)」の作り方
材料(作りやすい分量)
・ひしお麹(豆麹と麦麹を1:1で混ぜたもの。ここでは、神楽坂発酵美人堂の「まろやか ひしおの素」を使用しています……300g
・昆布(5cm角)……1枚
・しょうゆ……300ml
・水……150ml
作り方
1.清潔な容器に材料をすべて入れ、よく混ぜる。
2.フタをして、常温に10〜14日おく。1日1回、清潔なスプーンなどで下からよくかき混ぜる。
3.麹がやわらかくなり、甘い香りがしてきたらできあがり。冷蔵庫で保存する。
醤は気温が高くなるとアルコール発酵しやすいので、できあがったら必ず冷蔵庫で保存し、使用するたびに全体をよくかき混ぜるようにするとよいです。納豆菌が入り込むと粘りのある納豆醤になってしまいます(食べても問題ありません)。納豆を混ぜた スプーンでうっかり混ぜるなどしないよう、気をつけてください(納豆菌は非常に強い菌なので麹菌に勝ってしまいます)。
それでは、醤を使った簡単料理をみていきましょう。
れんこんの醤すっぱ炒め
れんこんのシャキシャキ食感と米酢の酸味、ごま油の風味が合う。
材料(2人分)
・れんこん……2分の1節
・米酢……大さじ2分の1強
・醤……大さじ2分の1強
・ごま油……小さじ1
作り方
1.れんこんはスライサーなどで1.5cm程度に薄くスライスし、水に数分さらし、ざるにあげる。
2.フライパンにごま油を熱し、れんこんを炒め、半透明になったら米酢と醤を加えて全体をサッと炒める。
春菊と金柑の醤辛子和え
金柑で甘味とほろ苦さ、彩りをプラス。
材料(2人分)
・春菊……2分の1束
・金柑……2個
・醤……大さじ1
・練り辛子……小さじ2分の1
作り方
1.春菊は塩(分量外)を入れた熱湯に茎から入れ、1分ほどゆでる。ざるにあげて冷まし、水気を絞って食べやすい長さに切る。
2.ボウルに醤と辛子を入れ、よく混ぜ、1を加えてよく和える。
3.6等分のくし形切りにした金柑を加えサッと混ぜる。
* * *
醤を使った発酵料理は、簡単で体にもいいので、ぜひ醤を仕込んで試してみてください。
清水紫織(しみず・しおり)
発酵料理教室「神楽坂発酵美人堂」店主。日本ソムリエ協会認定ソムリエ、日本アンチエイジングフード協会アンチエイジングフードマイスターの資格を持つ。自身のアレルギー発症と妊娠をきっかけに、体質や腸内環境の改善を模索し、発酵食品の魅力を知る。発酵料理人の伏木暢顕氏に師事し、東京農業大学醸造科学科で学びを深める。教室では「美人の素は腸にあり!」をコンセプトに、発酵食品の仕込みや発酵食品を使った料理を教える。手軽に発酵を楽しめ、簡単で美味しいと評判。また、「0歳からの腸活」を掲げ、キッズ教室など食育にも力を注ぐ。