文/小林弘幸
「人生100年時代」に向け、ビジネスパーソンの健康への関心が急速に高まっています。しかし、医療や健康に関する情報は玉石混淆。例えば、朝食を食べる、食べない。炭水化物を抜く、抜かない。まったく正反対の行動にもかかわらず、どちらも医者たちが正解を主張し合っています。なかなか医者に相談できない多忙な人は、どうしたらいいのでしょうか? 働き盛りのビジネスパーソンから寄せられた相談に対する「小林式処方箋」は、誰もが簡単に実行できるものばかり。自律神経の名医が、様々な不摂生に対する「医学的に正しいリカバリー法」を、自身の経験も交えながら解説します。
【小林式処方箋】揚げ物や中華など、脂っこい料理を減らせない人は、食べすぎた後は、超簡単に作れる「長生きみそ汁」をごくり。
「長生きみそ汁」の秘伝レシピ
とんかつや天ぷら、唐揚げなどの揚げ物に、中華料理や焼き肉、背脂たっぷりのラーメン……。誰もが何となく体に良くないと認識しているし、食べた後に胃もたれして後悔することも多いというのに、人はなぜ、揚げ物や脂っこい料理をまた食べたくなってしまうのでしょうか。
答えは簡単。それが「おいしいから」に尽きます。
高温で加熱すると、味、におい、風味、食感など、おいしさが増すのです。人間がおいしく物を食べるために発明した技術なワケですから、当然の帰結です。
それでも体のことを考えれば、揚げ物など脂っこい料理を食べることは、一切やめたほうがいいのか?
もちろん控えるべきではありますが、先にも述べたように我慢しすぎると、逆にストレスが増えてしまいますので、これもマイナス。だったら、揚げ物を食べてしまうことで生じるリスクを、別の手段で、できるだけ軽減してあげればいいのです。
そこでお勧めしたいのが、私が考案した「長生きみそ汁」です。
もちろん、揚げ物や油料理が特に好きでないという方も、健康維持のために毎日、飲んでほしいものです。
とりあえずここでは、多忙なビジネスパーソン向けに、いちばんベーシックなレシピを紹介しておきます。ご興味のある方は、拙著『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)をご参考の上、さまざまなレシピをお試しください。
① 赤みそ:80グラム、白みそ:80グラム、タマネギ:150グラム(約1個)のすりおろし、りんご酢:大さじ1を用意する
② ①をボールに入れ、よく混ぜ合わせる
③ 製氷器に②を入れて、冷凍庫で2〜3時間凍らすと、硬めのシャーベット状のキューブができあがる。これが通称「みそ玉」。みそ玉1個でみそ汁1杯分
④ 食べたい時に、水150ミリリットルを鍋で沸かし、みそ玉を加えて溶かせば、できあがり
抗酸化力を高めるメラノイジンが豊富な赤みそ、ストレス軽減効果のあるギャバが含まれた白みそ、解毒効果のあるアリシン、ケルセチンが豊富なタマネギ、塩分排出効果のあるカリウムが含まれたりんご酢。
この4種類を「みそ玉」として時間のある時に作り置きしておけば、忙しい朝でもさっと食べられます。
この中に乾燥ワカメや豆腐など、思い思いの具材を入れれば、なおいいでしょう。
『不摂生でも病気にならない人の習慣』
小林弘幸 著
小学館
文/小林弘幸
順天堂大学医学部教授。スポーツ庁参与。1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。また、日本で初めて便秘外来を開設した「腸のスペシャリスト」でもある。自律神経の名医が、様々な不摂生に対する「医学的に正しいリカバリー法」を、自身の経験も交えながら解説した『不摂生でも病気にならない人の習慣』(小学館)が好評発売中。