写真はイメージです。

文・五本木基邦

8月下旬、新型コロナウイルスに感染した。第5波がピークを迎え、東京都の感染者が連日4000人を越えていた最中のことだ。感染者の約9割は50代以下と発表されていたが、私は61歳。雑誌『サライ』の嘱託編集のほか、書籍の企画編集やライター仕事を生業としており、散歩と自転車が趣味で、人ごみが嫌い。そんな“おじさん”が、新型コロナにかかり、寝込み、回復する(現在も回復途中)までの一部始終を紹介する。

前回は、後遺症の予防策として漢方を飲み始めたことを紹介した。今回は、なかなか治らない味覚障害についてお伝えする。

【前回はこちら

9日目 味覚センサーの異常?

■体温 最高37.2℃〜最低36.3℃ 酸素飽和度(SpO2) 98

後遺症を残さず治すための漢方薬、『補中益気湯合麦門冬湯』が届いて飲み始めた。たぶん甘いんだと思う。土の味のような苦味も感じる。味も匂いもかすかに感じるのだが、何の味だかわからない。味覚のセンサーに異常があるのか、はたまた記憶のデータベースが稼動していないのか。

咳の頻度は減りつつも、咳き込むと止まらなくなるのは変わらず。頭痛がつらくてバファリンに頼る。

10日目 回復が遅く感じる

■体温 最高37.4℃〜最低36.4℃ 酸素飽和度(SpO2) 98

朝から体温が高く37℃台。咳、頭痛とも昨日とあまり変わらない。とはいえ2日前より明らかにラクになっているのはわかる。回復が遅く感じるのは、若い頃のイメージを引きずっているからかもしれない。

渡辺医師からは「くすぶっている炎症は、まだ体内に少しウイルスが残存しているせいだと思います。重症化はないですが、完全にウイルスを撲滅するためには体力で跳ね返すしかないです。栄養をしっかり取ってください」とのメール。

補中益気湯合麦門冬湯に加えて、生薬のカプセルを朝晩それぞれ8カプセルが継続となった。

11日目 苦味を「鉛筆の味」と認識

■体温 最高37.0℃〜最低36.3℃ 酸素飽和度(SpO2) 98

昼過ぎ、保健所から電話があり「発症から10日を経過して、感染させる危険性は低くなったので、この電話で自宅療養は解除になります」とのこと。とくに検査もなく、軟禁(?)解除となった。

昨夜は咳き込むことなく眠れた。ときどき咳き込むことはあるけれども、頻度は下がっている。棒でグリグリされるような頭痛は減少するも、昼ごろから締め付けられるような頭痛が強まるのは変化なし。

味の感じ方が妙なことになっている。塩気の感度が低く、苦味や渋味が強調された感覚。とくに小松菜やミョウガの土臭い苦味が、「鉛筆を削って煮出したような味」に感じる。鼻に抜けるときに感じる匂いも鉛筆風味。なんだかねぇ。

自宅療養中の注意事項が記されたパンフレットやウェブ上のハンドブックへの案内など。活字中毒者を自認している私だが、体調が悪く、文字を追う意欲がまったく湧かない。

15日目 味覚・嗅覚の歪み

■体温 最高37.0℃〜最低36.2℃ 酸素飽和度(SpO2 )98

12日目以降、体温は安定してきて、日ごとに強く咳き込むことは少なくなった。頭痛は午後になると強くなる傾向だが、バファリンでなんとか折り合いがつけられる。

となると最大の問題は、味覚・嗅覚の異常である。この数日、少しずつ回復傾向にあるものの、まだ少し「鉛筆風味」を感じる。加えてさまざまな「味覚・嗅覚の歪み」があることに気がついた。

本日、15日目になるが、苦味や渋味が強調され、塩味は相対的に感度が低い。甘みはわかるのだが、どのくらい甘いかはちょっと怪しい。酸味の感度はかなり低く、酢やレモンの匂いはよくわからない。コーヒーの香りにケミカルっぽさを感じるのも不思議である。

とはいえ「わからない」や「歪み」が固定化しているのではなく、日によってバラつきがある。変化・改善していくことを期待するしかない。

渡辺医師からは「経過良好。順調に回復していますね。まだ完全ではないようですので、もう2週間、補中益気湯合麦門冬湯でいきましょう」とのメール。

18日目 希望を持って治療を継続

■体温 最高37.2℃〜最低36.2℃ 酸素飽和度(SpO2) 98

修琴堂大塚医院を訪ねて診察を受けた。聴診器で慎重に肺の音を確かめた渡辺医師は、少し驚いたように言った。
「間質性肺炎特有の音がしませんね。肺の損傷がほとんどないから、回復は早そうですよ」とありがたいお言葉である。

さらに「発熱してすぐに『清肺排毒湯』を飲み始めたのがよかった。今だから言えるけど、結構症状が激しかったので、早期に漢方を飲んでいなかったら重症化したかもしれないケースでした」とも。

私が感染していたと思われるデルタ株は、感染力が高い上、上気道(鼻の奥や喉)でも増殖するし、肺胞でも増殖する。感染初期から間質性肺炎を起こし、症状が急激に悪化する危険性は変異以前の株と同じなのだそうだ。

ともあれ『重症化を防ぐ』という当初の目的は完遂できた。家庭内感染を免れた妻ともども、渡辺医師にはどんな言葉で感謝していいのかわからない。

次は後遺症からの回復である。厄介なことに、感染の重症度と、後遺症は関連がないようだ。軽症で済んだからといって、後遺症が軽いとは限らない。

外出するようになって、疲労感・倦怠感に悩まされている。あのしつこい頭痛からも開放されたわけではないが、体の回復は早いらしい。

「味覚と嗅覚は、時間がかかるかも知れません。でも必ず回復しますよ。今、飲んでもらっている漢方薬も後遺症を改善する効果があります。もともと漢方は全身状態を改善することで、結果的に部分の不具合が治っておくというアプローチだから、新型コロナの後遺症のような、多岐にわたる症状の治療は得意なんです」という渡辺医師の言葉に希望を見出している。


 

『漢方で感染症からカラダを守る!』(渡辺賢治著)
ブックマン社 
「感染しないためには何が大切なのか」「いざ感染したら重症化を防ぐためにどんな選択肢があるのか」を知り、備える本。


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