カッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、つらい頭痛 など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れることがあるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を漢方の専門家に解説してもらいます。
第61回のテーマは、「ホットフラッシュ」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。
1.つらいホットフラッシュから人間関係に影響が出る
眞由美さん 52歳女性 会社員の方からご質問を頂きました。
「現在52歳ですが、今年に入ってからホットフラッシュのような症状に悩んでいます。最初は顔がカーッと熱くなり、発汗や赤面もあります。顔だけでなく全体的に体温が上がりやすく、冬でも半袖になりたくなるんです。
11月ごろになっても職場に半袖で通勤していたこともあります。ホットフラッシュが起こると暑さや発汗などを強く不快に感じ、耐えることができません。イライラして周囲に当たってしまうことも多く、家族とも喧嘩が勃発。
先日は娘のお見合いの席でホットフラッシュに見舞われ、相手の親御さんから苦笑いされてしまいました。大事な人間関係にまで影響が出ています。どのように対処したらいいでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。更年期症状のなかでも代表的なもののひとつ、「ホットフラッシュ」は、時間と場所を選ばずいきなり症状が出ることが多いのでつらいですよね。ご相談者の眞由美さんのように周囲の人間関係に影響してしまうというケースもよくみられます。
今回はホットフラッシュの原因と対処法をご紹介します。
2.ホットフラッシュは女性ホルモンの低下が原因
のぼせやほてりなどが起きるホットフラッシュは、更年期症状による自律神経の乱れが原因だと考えられています。更年期症状のなかでも比較的多くの人が経験し、女性の6割近くが経験するというデータもあります。
女性ホルモンを分泌する卵巣に司令を出しているのは、脳の視床下部と下垂体と呼ばれる部分です。
通常はしっかり役割を果たしているのですが、更年期になり卵巣からエストロゲンなどの女性ホルモン分泌が少なくなると、視床下部が混乱をきたします。視床下部は体温調節や発汗などの自律神経を司っている部分でもあるので、そのまま体の不調にもつながってしまうのです。
女性ホルモン以外の原因としては、温度の急激な変化や、ヘアドライヤーの使用など、外部要因で誘発されることもあります。
続いては、ホットフラッシュのセルフケアの方法についてご紹介します。つらい更年期症状でも、普段の生活から見つめ直すことで改善できる場合があります。
3.ホットフラッシュを改善する4つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.呼吸法でリラックス
ホットフラッシュの症状は熱感や脈拍の増加などがありますが、落ち着いて呼吸を整えることで、症状を軽減できることがあります。浅い口呼吸ではなく、深い腹式呼吸を意識しましょう。
呼吸の最初はしっかり吐くことが大切。口からゆっくりと息を吐ききったところで、鼻から息を吸いこみます。息を吐くとお腹がへこみ、吸うときにお腹がふくらむことを意識しましょう。呼吸法を整えることで、リラックス効果や自律神経を整えることができます。
3-2.通気性のいい服を身につける
通息性の悪い服を着ていると汗で蒸れ、体温が上昇しやすくなり、ホットフラッシュを引き起こす原因のひとつになります。吸水性のある綿素材や、速乾性のあるドライ機能シャツは体温調節をうまく行える衣服です。
着脱しやすい服もおすすめです。たとえばノースリーブにカーディガンの組み合わせだと、冷え過ぎを防ぎながらこまめに着脱もでき、体温を安定させることができます。特に真夏のエアコンがよく効いた屋内など、自律神経のバランスを壊しやすい環境で過ごす場合などに最適です。
3-3.ストレスの少ない生活で自律神経を整える
自律神経は精神的な影響も受けやすく、心の問題でコントロールがうまくいかなくなってしまう場合もあります。なるべくストレスをためない生活を心がけるとよいでしょう。
更年期は子どもの自立やパートナーの定年退職、親の不幸などライフステージとしても大きな転機が訪れる時期です。あまり悩みを深刻に捉え過ぎず、おおらかな気分で過ごすこともストレスから逃れる有効な手段です。
音楽鑑賞や園芸など、自分だけの時間をつくれる趣味もおすすめです。また、SNSを日常的に利用しているなら少しネットから距離を置くなど、しっかり意識して心に余裕をつくることが大事です。
3-4.漢方薬でホットフラッシュの改善をめざす
「ホットフラッシュを根本から改善したい」
「西洋薬に頼らず別の方法を見つけたい」
婦人科でもホットフラッシュ、手足の冷え、動悸、イライラや不安などの更年期の症状には漢方薬が使用されています。
漢方薬のよいところは、複数の症状に対して効果があらわれることです。更年期にはホットフラッシュ意外にもさまざまな不調があらわれますが、漢方薬なら総合的に体調を整えていくことができます。
また自然に存在する植物や鉱物などの「生薬」から作られた漢方薬は、一般的に副作用リスクが西洋薬より少ないといわれています。
苦痛をごまかす対処療法ではなく、根本から体質を変え、悩みを解決するのが漢方薬のめざすところ。ホットフラッシュでお悩みの方や、「同じ症状を繰り返したくない」という方にも、おすすめです。
「食事や運動など習慣から見直すのは面倒」という方も、あなたに合った漢方薬を毎日飲むだけなので、気軽に続けることができます。
<ホットフラッシュに悩む女性におすすめの漢方薬>
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん): のぼせや肩こり、足冷えなどの症状から、皮膚炎や湿疹にも使われます。比較的体力がある方向けです。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう):のぼせや顔の赤みのほか、イライラや落ち着きのない場合にも処方されます。体力が中等度以上の方向けです。
漢方薬は効き目に個人差があり、体質という部分も重要です。素人判断では思わぬ副作用に見舞われることもあります。
しかし、医師や薬剤師など、専門知識を持った漢方薬のプロフェッショナルに任せれば安心です。適切な漢方薬をチョイスしてくれます。
最近ではスマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。医薬品の漢方薬だと比較的リーズナブルなのでおすすめです。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスも登場しています。お手軽な価格で自宅まで郵送してくれるため、若い方から年配の方まで多くの人が利用しています。
4.ホットフラッシュの悩みを解決して毎日を過ごしやすく
ホットフラッシュは更年期でも特に悩んでいる方が多い症状ですが、きちんと対処することによって症状を軽減できます。今回ご紹介した各セルフケアや、漢方薬もおすすめです。
なお、漢方薬を服用される際は専門家に相談することで、ご自身にあった漢方薬を知ることができるでしょう。つらい更年期症状を改善して、本来の自分らしい毎日を過ごしていきましょう。
<この記事を書いた人>
医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
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