日本人の平均寿命は年々延びており、100歳を超える高齢者は8万450人に上り、今年初めて8万人を超えました。一方で健康寿命との乖離も問題となっており、男性の平均寿命が81.41歳、女性の平均寿命が87.45歳であるのに対し、健康寿命はそれより約10年短いのが現状です。健康寿命の延伸を目標として活動するキューサイ株式会社の「100歳まで楽しく歩こうプロジェクト」(https://100aru.com/)は、健康長寿の秘訣を探るべく、2016年から2019年にわたり、元気な100歳以上の方100名と、そのご家族・近親者様に生活実態調査を行っています。過去4年間、合計400名の方への調査の結果、秘訣として「食事」「運動」「交流」が多く挙げられていることが分かりました。

これから冬に向け、さらなる新型コロナウイルスの感染拡大やインフルエンザとの同時流行も懸念される中、皆さまの参考にしていただければと思い、キューサイ株式会社が過去4年間の調査結果をひも解き、元気な100歳から学ぶコロナ禍で実践したい健康維持の取り組みについて、過去のリリースでは未発表の調査結果も交えながらご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

■ 食生活で最も効果がある健康維持の取り組み1位は「三食欠かさず食べること」

元気な100歳以上の方に、『食生活で健康維持や体力維持のために最も役立っていること(2018年調査)』を聞いたところ、約4割が「三食欠かさず食べること」と回答しています。同様の質問で70歳の頃はどうだったかを聞いたところ、現在と同じ結果となり、三食の食事が長年習慣化されていることが分かりました。
また、食事の内容では、「たんぱく質」を積極的に摂取されているようです。元気な100歳以上の方に、『3日間の朝食・昼食・夕食の食事内容(2019年調査)』を聞いたところ、3日間の食事900食のうち、「たんぱく質」を摂取した食事は809食(約89.9%)と約9割の食事で「たんぱく質」をしっかりと摂取されていることが分かりました。
特によく食べられていた食材は、「鶏・うずらなどの鳥の卵」が31.9%、「豆腐(厚揚げ等も含む)」 22.7%、「牛乳」が22.6%で、続いて「ハム、ソーセージ、ベーコンなど肉の加工品」が15.6%、「豚肉」・「タイ・タラ・カレイ・鮭/サーモン等の白身魚」が13.9%となり、動物性たんぱく質を含む食材が上位にあがっていました。食事内容から「たんぱく質」が筋肉量を維持し、健康な体を支えていることが見受けられます。

■ 「健康維持や体力維持」のために最も役立っていることは「体を動かすこと」

元気な100歳以上の方に、『健康維持や体力維持のために最も役立っていること(2018年調査)』を聞いたところ、「クラブサークルで週1回の体操。朝、夜に体操を日課にしている。少しでも必ず外に出て歩く」(東京都/100歳/男性)、「年齢が上がると行動範囲が狭くなりますが、自分の力で歩けるよう、ほぼ毎日散歩をし、足が弱らないよう努力をしている」(埼玉県/100歳/女性)、「好きなゲートボールをはじめ、草取りなど手足を使い動かしている」(栃木県/103歳/女性)など、日常的に体を動かすことが健康維持に最も役立っているという回答が62%でした。無理のない運動を毎日継続することが、健康維持の秘訣のようです。
元気な100歳以上の方に、『人生を楽しく生きていく上で大切にしてきたこと(2018年調査)』を聞いたところ、97%が「身の周りのことを自分でするよう意識」と回答しています。また、『運動の程度(2017年調査)』を聞いたところ、約5割の方がご家庭や施設の中で、何らかの役割や日課を持っていることが分かりました。約3割の方が「仏壇のお供え」「洗濯、洗濯物の片づけ、アイロンがけ」「食事の支度・片付け」を日課として実施されています。自分のことは自分でするよう心掛けるなど、日課や役割等のルーティーンを持つことが毎日程よい運動を続けるコツのようです。

■楽しく生きていく上で大切にしてきたことは、「人とのコミュニケーション」

元気な100歳以上の方に聞いた『人生を楽しく生きていく上で大切にしてきたこと(2018年調査)』の中で、95%が「家族と一緒に過ごす」、84%が「おしゃべりする」と回答しています。また、元気な100歳以上の方に、『人生を楽しむための「コツ」「伝えていきたいこと」(2018年調査)』を聞いたところ、「家族兄弟、仲良く」(高知県/102歳/女性)、「人とのコミュニケーションを大切にして、よく話をすることを心掛ける」(北海道/100歳/男性)など、家族との時間や周囲とのコミュニケーションを大切にしていることが分かりました。
また、元気な100歳以上の方に、『同居者との会話頻度(2018年調査)』を聞いたところ、85%が「ほぼ毎日(週に6~7日)」ご家族などの同居者と会話されているという結果でした。『家族や友達の相談にのることがあるか(2019年調査)』を聞いたところ、36%が「ある」と回答され、周囲を気遣い、積極的にコミュニケーションを取られていることが分かりました。今年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、外出の自粛や、人と会話をする際は三密を避けるなど、例年とは異なる新しい生活様式が求められました。人との交流が大切であるということが調査結果からも分かりますので、電話や手紙、メール、SNSなどを活用し、ご自宅にいながらもご家族や友人とコミュニケーションを取るようにすることがおすすめです。

■『コロナ禍において、自身の食事、運動、交流の在り方を見直すことも必要』 

日本サルコペニア・フレイル学会理事、熊本リハビリテーション病院サルコペニア・低栄養研究センター長である、リハビリテーション医学と臨床栄養学を専門とする吉村芳弘先生にお話を伺いました。

「4年間の100歳100人の調査結果は極めて貴重なデータです。調査結果から確信したことは、健康長寿のコツとして食事、運動、交流が挙げられるということです。回答の上位にあがった『3食しっかり食べる』や『十分なたんぱく質の摂取』、『身体活動の維持』、『運動習慣』、『他者との交流』は、いずれもフレイル対策として重要視されているものばかりです。これらは私たちが健康で長生きすることの大きなヒントになると思います。
新型コロナの影響でこれまでの生活習慣や社会活動が大きく制限されています。私たちは自身の食事、運動、社会との交流の在り方を見直すことも必要です。過食や偏食はありませんか?運動不足ではないですか?外出の機会が減って他者との交流が減少していませんか?できない理由をあげることは簡単ですが、例えば『たんぱく質を意識して摂る』、『ホームエクササイズに挑戦する』、『ウェブで友人や家族とおしゃべりする』などもコロナ禍での健康長寿の秘訣かもしれません」

<吉村芳弘(よしむらよしひろ)先生プロフィール>
日本サルコペニア・フレイル学会理事。熊本リハビリテーション病院サルコペニア・低栄養研究センター長。専門分野はリハビリテーション医学と臨床栄養学。外科医師の経歴から術後のリハビリテーションの重要性を痛感し、現在はリハビリテーションと栄養管理に並行して取り組む「リハビリテーション栄養」という視点から、積極的に臨床研究や講演を行っている。

***

いかがでしたでしょうか? 三食しっかり食べ、「たんぱく質」を積極的に摂取すること、体を動かすこと、楽しくおしゃべりすること。どれも簡単なようですが、意識的に行うことが大切ですね!

調査概要
・調査時期:
(2016年)2016年5月30日(月)~6月15日(水)
(2017年)2017年4月5日(水)~6月12日(月)
(2018年)2018年4月27日(金)~6月20日(水)
(2019年)2019年6月19日(水)~7月16日(月)
・調査地域:全国
・調査方法:100歳以上の方ご本人に対するヒアリング、ご家族に対する質問用紙による自記入式調査
・調査主体:キューサイ株式会社「100歳まで楽しく歩こうプロジェクト」
・調査実施:株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント・抽出方法:調査実施機関のリクルートネットワークを用いた機縁法リクルート
・調査対象:100歳以上の男女100名、100歳以上の方のご家族・近親者(寝たきり生活者と病院入院者は対象から除外して実施)

 

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